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自分に合った住宅ローンの選び方と将来を見据えた返済プラン 金利の種類を知って、自分に合った住宅ローンを選ぶ

住宅ローンは大きくわけて、全期間固定金利型、固定金利期間選択型、変動金利型があります。それぞれのメリット・デメリットや無理のない返済プランをCFP®で岡山商科大学専任講師の海宝賢一郎さんにお聞きしました。

CFP®・宅地建物取引士
海宝 賢一郎 氏

1. 金利は長期固定金利が先行して上がる

Q金利の変動はどうやって知ることができるのでしょうか?

A住宅ローンは、大きくわけて、全期間固定金利型、固定期間選択型、変動金利型があります。

全期間固定の金利は、長期金利が基準になっています。固定期間選択型は、5年や10年など借入れ当初一定期間の金利を固定するものです。
変動金利に関しては、「短期プライムレート+1%」が基準です。この短期プライムレートは、銀行が優良企業などに短期間融資をする場合の金利のことで、住宅ローンの変動金利は、これに連動しています。
現在の金利は最低まで下がっていると考えられますから、今後大きく金利が変動するのは日本の景気が良くなっていき、インフレ傾向になると日銀が利上げ等の金融政策を行い、そこで初めて金利が上昇すると考えます。

●景気が良くなると日銀が利上げを行う⇒金利が上がる
●景気が悪くなると日銀が利下げを行う⇒金利が下がる

長期金利とフラット35金利の推移

長期金利とフラット35金利のグラフ

  • ※長期金利:財務省、フラット35:住宅金融支援機構のデータを基に作成 ※2015年5月現在

変動金利型住宅ローンの金利推移

変動金利型住宅ローンの金利推移のグラフ

  • ※日本銀行等のデータを基に作成 ※2015年5月現在

昭和63年以降の変動金利の平均は3.41%。将来の平均金利(予測値)は、これらを参考に4.0%または3.5%とする。

2. 全期間固定金利と変動金利のメリット・デメリット

Q全期間固定金利と変動金利の違いは? どちらを選べばお得ですか?

A全期間固定金利のいいところは、金利上昇のリスクがないことです。

変動金利よりも金利が高い分は、金利が変動しない(返済額が一定)という将来に向けての安心、リスクを取り除くための保険料を支払っているのだと考えればいいと思います。
変動金利は、金利が低いので返済額が少なくなりますが、将来上昇のリスクがあります。現在の金利は歴史的に見ても低い状態で、将来金利が上昇する可能性が高いです。返済額がぎりぎりの方は、全期間固定を検討しましょう。

固定金利がおすすめな人
① 将来、返済額が増えると家計が圧迫される可能性がある人。
② 借入金額が多い人。
③ ローン返済で家計がぎりぎりになる人。
④ 教育費など、今後、支出が増える可能性がある人。
変動金利がおすすめな人
① 将来、返済額が増えても家計が赤字にならない人。
② 借入金額が少ない人。
③ 借入期間が短い人。
④ 繰り上げ返済を積極的に行い短期間で完済する予定のある人。
⑤ 貯蓄が十分にあり、金利が上がったら繰り上げ返済ができる人。

長期固定金利と変動金利 総返済額比較

●試算条件
借入金額:3,500万円(ボーナス返済なし)
借入期間:35年

下記、表は左右にスクロールできます

  変動金利 全期間固定金利
借入金利 当初5年間:0.975%
残り30年間:2.500%
(店頭金利を4.0%とし、1.5%の金利優遇適用)
全期間:2.200%
返済方法 元利均等返済 元利均等返済
毎月の返済額 当初5年間:98,392円
6年目以降:121,304円
全期間:115,941円
年間返済額 当初5年間:1,180,704円
6年目以降:1,455,648円
全期間:1,391,292円
総返済額
(うち利息分/利息割合)
49,572,717 円
(14,572,717 円/29.4%)
48,695,500 円
(13,695,500円/28.2%)

融資手数料 定額:32,400円 定額:32,400円
保証料 全額前払い:721,385円 不要
団体信用生命保険 不要 毎年払い
総支払い額:2,490,800円
(金額は返済期間と借入額、借入金利で決まります。)
  • ※全期間固定金利型の金利、金利優遇等については、金融機関などにより、条件が異なります。
総返済額 50,326,502円 51,218,700円
  • ※その他、登記費用や火災保険料などの諸費用がかかります。

保証料・団信特約料の有無によっても総返済額に差が出てきます。
ローン費用だけでなく、その他にかかる費用も確認し、総返済額を比較しましょう。

3. 変動金利は将来金利が上がる前提で選ぶ

Q変動金利や固定期間選択型は金利が低いのでお得では?

A変動金利型や固定期間選択型で、住宅ローンを借りる場合は、数年先の支払い額について考えて借りてください。

たとえば5年固定金利を選ばれた場合は、返済額は5年後に見直しされますので、6年目以降の返済額を考えておく必要があります。今後、景気が回復していけば、6年目の金利は今よりも上がっていると考えておくのが確実です。変動金利は、半年ごとに金利が見直され、返済額は5年ごとに見直されます。金利は上がり始めたら早いペースで上がっていくことが考えられますので、借入時に6年目以降に金利が上がったとしても、その金額で返済できるかどうかをまず検討してください。
1988年以降の変動金利の平均は約3.44%です。銀行が融資するときの審査は金利4.0%で計算しているところが多いことから考えて、変動金利で借りるときは、6年目以降に4.0%の店頭金利となった場合でも月々支払っていけるかというのを見てください。(下図参照) 6年目に金利が上がっていても、その金額が支払える人は、変動金利で借りても大丈夫だと考えます。当初5年の金額だけを見て借りるべきではありません。
仮に6年目以降も金利が上がらなかったら、その分は得をしたと考えて、貯蓄に回したり、繰り上げ返済に回せばよいのです。
また、住宅ローン控除が受けられますが、住宅ローン控除で戻ってくるお金は無かったものと考えて、教育費や繰り上げ返済の資金にあてることをおすすめします。

変動金利タイプの月々の返済額比較

前提条件:借入額3,500万円で35年元利金等返済。店頭金利が2.475%。
1.5%の金利優遇で適用金利が0.975%として試算。6年目以降も1.5%の金利優遇が適用。

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