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ホームシアターが“ブーム”になっています。わが家に居ながらにして、映画館や劇場の雰囲気を味わえるホームシアター。映像や音にこだわりたいというユーザーのニーズと、高性能で値ごろ感のある機器やシステム類の普及があいまって、新築やリフォームを機に設置する人が急増しています。ホームシアターで快適な映像・音環境を手に入れるためのポイントを、インストーラーの三浦祐士さんに伺いました。
音や映像のシステムなど、ホームシアター全般に関わる提案をする専門家のことです。
急速に普及してきたホームシアターですが、自分に一番適した機種を見つけることは簡単ではありません。そこで、「インストール(設置)する」という考え方から、その部屋にあった機種選択やスピーカーの置き方、配線の仕方などスタイリッシュに生活動線に組み込み、ホームシアターに関する提案をしてくれるのがインストーラーという仕事です。ですから、早い段階でまず相談してみることが最適なホームシアターへの近道です。
部屋の広さなどの条件と、映像や音響の特徴や好みをよく考えて選択するのがいいでしょう。
ホームシアターの醍醐味は、なんと言っても大画面の映像。最近は、プラズマテレビや液晶テレビの大画面化、薄型化、低価格化が進み、テレビを利用したホームシアターも増えてきています。プラズマテレビ、液晶テレビにはそれぞれ違った特徴がありますが、選ぶ際のポイントの一つとして、黒の再現性を見ることで、一般的に、“きれいな映像”と言われています。
また、プロジェクターを使ってスクリーンに映像を映し出すと、本格的な感じがします。100インチを超える大画面はまさに映画館そのもの。テレビとはまた違った、大迫力の映像が部屋の中で楽しめます。しかし、部屋の広さなどの条件から、スクリーンは必ずしも大きければ大きいほど良いとはかぎりません。
普段はプラズマテレビの大画面テレビで鑑賞。
スクリーンで臨場感のある劇場の雰囲気を楽しむ。
スクリーンと並んで、ホームシアターの魅力を大きく左右するのが音響機器の設置です。音響空間が上質であれば、映画や音楽を聴く楽しみも倍増します。スピーカーを選ぶ際のポイントは、ジャズを楽しみたい時とクラシックを聴く時では好む音が違うように、聴く音楽によっても適したスピーカーは変わってきます。
実際に好きなCDを持って店に行き、音を聞き比べて、納得のいくスピーカーを購入するのがいいでしょう。しかし、音響効果は部屋の形などの条件によって変わるので再現するのは難しいのですが、いろいろ工夫したり試してみることも、ホームシアターをつくる楽しみの一つです。
リアスピーカーの設置場所は、ソファの後ろです。高さはソファに座った時に耳と同じ位置が適しています。天井につける場合は、スピーカーの角度を視聴位置へ向けましょう。
サブウーハーは、低音を担当します。低音は、床や壁の影響がこもりの原因になるので、壁からはできるだけ離し、床には振動しないように直置きを避けブロックなどの上に置くとよいでしょう。
スピーカーから出る音の数を、5本のスピーカーと1つのサブウーハー(低音専用スピーカー=0.1本と数える)からとって5.1chと呼んでいます。
ホームシアターの映画館さながらのサウンドは、5.1chと呼ぶスピーカーで再現されています。スピーカーにはそれぞれの役割があって、それらの音が鑑賞している場所(リスニングポイント)に届くことで、まるで映像の中にいるかのような臨場感を味わうことができます。
【センタースピーカー】
スクリーン中央のテレビの下や、キャビネットに設置されている
スピーカー。主に人の音声(セリフ)を担当しています。
【フロントスピーカー】
スクリーンの両サイドに設置される2本のスピーカー。人の声以外の音がここから出てきます。
【リアスピーカー】
視聴している場所(リスニングポイント)の後方に設置されるスピーカー。効果音を担当。
【サブウーハー(低音専用スピーカー)】
0.1と数えられているサブウーハーは、低音専用のスピーカーです。
5.1ch 以外にも、6.1chから9.1chまでスピーカーの数を増やすこともできます。この場合はリアスピーカーを増やすので、5.1chで得られる効果が飛躍的に変わるということではありません。臨場感は高まりますが、5.1chのスピーカーがあれば、十分ホームシアターを楽しむことができます。
また、2.1chという、5.1chを疑似体験できるスピーカーも登場しています。5.1chの音を2本のフロントスピーカーから部屋を包み込むように出します。ただ、サラウンド感を味わうなら、やはり5.1chが基本です。
できれば10畳ぐらいのスペースは欲しいところ。最近は、家族の集まるリビングルームに設置する人が急増しています。
ホームシアターとしての機能とともに、家族団欒の場にふさわしいくつろぎ感も大事にしたい。
部屋の広さは6畳程度あれば可能です。しかし、ホームシアターをくつろぎの空間と考え、家族で楽しむ娯楽の場として導入を考えているのであれば、家族が集まってゆったりとできるスペースが欲しいものです。狭い空間での鑑賞は目や首が疲れます。ホームシアターを快適に楽しむためには、最低10畳の部屋が必要だと考えられています。現在、ホームシアターを導入する人の約7割がリビングルームを利用しているというのも、そういう理由があってのことです。
また、天井の高さについては、いい音のためには2.4mあれば十分です。低ければ、音の反響が複雑になり、効果的な音を得ることが難しくなります。反対に、天井が高い場合は問題になることはありません。吹き抜けのような天井が抜けた空間でも大丈夫です。
配線や電源の取り方でも音は変わってしまいます。音は回線状況にもとても敏感です。
音が記録されているCDには、多くの情報が詰め込まれているのですが、アンプやケーブルを経由して、情報が削られていってしまうことがあります。スピーカーがCDの情報を出し切れない場合もありますが、ケーブルなどが原因でCDの情報を伝え切れていない場合もあるので、ケーブルの種類にもこだわりたいものです。
また、電源の取り方の影響も大きいです。仮に、洗濯機などの電源と一緒にしてしまうと音にも振動が伝わってしまいます。同じ回路で他の電化製品を使わないようにしたり、オーディオ機器専用の電源を取ることもあります。
楽な姿勢で見られるものがいいでしょう。
ホームシアターは、映像や音が快適でも、座り心地が合わなくて疲れてしまっては台無しです。ソファやチェアを選ぶ際のポイントは、座ったときに頭が支えられていて、視線の高さが画面の中心にくるようなものがベストです。
また、投げ出した足を置くオットマンを付けたり、飲み物などの置けるサイドテーブルを設置するなどの工夫で、より快適な空間を作り出すことができるでしょう。
リビングシアターの場合には、リビングチェアとしても違和感がないようなデザインのものにしておくことも大切です。
画面に映り込まない照明、それに手元ライト、バックライトといったほのかなあかりも癒しの空間を演出するのに必要です。
プロジェクターでは、部屋を暗くすることが条件ですが、大画面のテレビでも照明を控えめにすることで、ほのかなあかりがもたらす癒しの効果も期待できます。テレビのバックライトや、フットライトなど、暗い中にちょっとしたあかりがあることで、落ち着いた空間になります。 リビングシアターでは、食事や団欒、パーティーなどさまざまなシーンにあわせて照明を変化させることができる「調光機能付タイプ」にすると便利です。
テレビを見るときは、照明は控えめにして、画面へ映り込まないようにします。
テレビ画面と背面の明るさは同じくらいが良い。
天井のあかりや後方のあかりが映り込まないようにする。
プロジェクターを使うときは、部屋を暗くします。
スクリーンへの投影光を遮らないように、天井の照明に気を付ける。
スクリーン近くのあかりは消灯、離れたものは調光させる。部分照明や手もとのあかりで雰囲気を演出。
防音材や防音ドアで周囲に配慮した音空間にしましょう。
サウンドを楽しむために、音漏れや外部音の侵入を抑える防音ドアが効果的です。
せっかく映画館と同じようにスピーカーを設置して、サラウンド感たっぷりに映画を楽しむのですから、大音響を出したいもの。設計段階から、近隣へ音漏れしないような対策をとり、同居する家族にも配慮をしましょう。
新築でホームシアターを導入する場合は、あらかじめ部屋に防音材や防音ドアを取り付けることで、かなりの音漏れを防止できます。他にも、空調設備(ダクト)からの音漏れも考えられるので、防音カバーを付けることも必要です。特に集合住宅では、サブウーハーのスピーカーをボードの上に乗せたり、吸音材を置くなどの対策をして、音が響かないように気をつけましょう。他にも、音響による家具の震えにも対策が必要です。しかし、リビングは家族が集まり、お客様を招いたりする場所ですから、インテリア性を考えながら防音効果に配慮しましょう。