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住宅の高気密・高断熱化が進むにつれ、夏は涼しく冬は暖かいなどの快適な一方で、室内の空気が汚れやすくなっています。そこで、換気と空気環境に関する疑問を募集したところ、30歳代〜40歳代の方を中心に健康にも関わる「空気の汚れ(ダニやホコリ、カビ)」に対する質問が多数寄せられました。その一方で、省エネや電気代などから、「なぜ24時間換気が必要なのか」といった声も多く寄せられています。質のいい空気環境を望みながらも「空気質環境=換気設備」とは結びつきにくい一面も見られました。
多く寄せられた「空調(温度や湿度)」に対する疑問や質問をメインテーマに、換気設備の最新情報などについて、パナソニックグループのパナソニック エコシステムズ株式会社 高橋紀美子さんに話をうかがいました。
募集告知方法/すむすむ、すむすむメールマガジン
有効回答数/209人
■年齢構成比
■男女構成比
「住まいに関する疑問を募集! 換気と空気環境編」に疑問をお寄せいただきました皆様、ご協力ありがとうございました。今後も、すむすむ読者の皆様に、テーマごとの疑問を募集していく予定です。ご協力をよろしくお願いいたします。
(すむすむ編集局)
換気のために1日に2回程度窓を開けていますが、
住宅にとって十分ですか?
窓を開けるだけでは十分とはいえません。室内の空気の汚れの程度や発生の仕方によって必要な換気量は違います。また、空気が入れ替わって始めて換気したといえます。
都心の生活は窓を開ける機会が減り、住宅も気密化しており、室内に汚れた空気がこもりやすくなっています。この汚れた空気を外の新鮮な空気と取り換えるために、「機械換気」が必要なのです。
室内の空気は、建材や家具・カーテンなどから発生するホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)の発散、湿気、煙草の煙、調理時の油煙など、常に汚れやすい環境にあります。皆さんも耳にすることが多いと思いますが、ホルムアルデヒドは「シックハウス症候群」の原因ともいわれています。その対策として2003年の建築基準法改正で、新築や一定のリフォームをする住宅に対して24時間機械換気設備の設置が義務付けられました。
「電気代がもったいない」などと、24時間機械換気のスイッチを切ってしまうと、窓を開けることの少ない生活では、換気不足になってしまいます。換気が不足すると、シックハウス以外にも人の健康や建物の老朽化などにも影響します。例えば、嫌なニオイが不快感につながったり、タバコの煙による受動喫煙、クロスの黄ばみの原因になったりします。こもった湿気からは、カビやダニが発生してアレルギーを起こしたり、結露やカビは建物を劣化させる原因にもなります。
また、酸素が不足すると生あくびが出たり、集中力が低下するなどの悪影響も見られます。
昔のように隙間風のある住まいとは違い、現代の生活では、住宅全体に空気の流れを作り出して計画的に空気を入れ換える24時間機械換気が必要なのです。
住宅の気密化は省エネの一方で、汚れた空気が滞留しやすい欠点も。健康な暮らしや、住宅自体の劣化を防ぐためにも換気が欠かせない。
住宅全体をいつも換気する24時間機械換気だけで、
家の換気は十分ですか?
住宅の換気には、24時間機械換気と、局所換気があります。建築基準法で義務付けられている24時間機械換気は、2時間に1回部屋全体の空気が入れ換わるシックハウスのための換気として定められています。しかし、生活の仕方によっては、24時間機械換気だけでは、換気が不十分な場合があります。この換気が不足した特定の場所に設置するのが局所換気です。
部屋での過ごし方や人数などによって空気の汚れ方は変わってきます。例えば、焼肉や鍋物を食卓でした場合、油煙や湿気で空気が汚れやすくなります。多くの人が集まる場合や、煙草を吸う方がいらっしゃる場合も同様です。きれいな空気環境にするために、24時間機械換気と局所換気の2つの換気を併用することをおすすめしています。
換気でニオイを100%消すことはできませんが、軽減することはできます。ニオイや汚れた空気がいつまでも滞留しないように、住宅全体に空気の流れを作る計画換気が必要です。ニオイがこもりやすい原因には、空気の流れのほかにも、必要換気量が確保されていないなどが考えられます。ニオイがトイレなどの特定の場所から発生するのであれば、そこに局所換気を付けることをおすすめします。
住宅全体に空気の流れを作り、24時間機械換気と局所換気での計画的な換気がポイント。
住宅全体に新鮮な空気で取り入れる24時間換気と、汚れた空気を集中的に換気する局所換気の併用で空気環境が快適に。
気になるニオイでよく挙げられるのが調理時のニオイです。特に対面キッチンなどでは、調理時のニオイがリビングにまで広がってしまうのも気になるものです。キッチンには、レンジフードが付いています。これも局所換気の一つです。調理時はみなさん運転していると思いますが、ニオイ対策は、調理が終わってもすぐにスイッチを切るのではなく、しばらくは切らずにスイッチを入れておくのをおすすめします。
カレーなどのニオイの強いものは、レンジフードなどでの局所換気をすることで、ニオイの軽減や拡散を防ぐことができます。
調理中の蒸気など湿気が発生しやすいキッチン。24時間機械換気とは別に、レンジフードファンで必要な時だけ目的に応じた風量で局所換気が必要。
換気のスイッチを入れると寒くなります。室温が影響を受けにくい換気設備はありますか?
熱交換形の換気扇があります。空気を入替える(換気する)ときに室内と室外の熱を交換しながら換気することができる換気扇です。
換気で湿気や汚れた空気を排出する一方で、暖房時に冷気が入ってきたり、逆に冷房時に外気の熱気を帯びた空気が取り込まれると不快なものです。そこでおすすめなのが、全館冷暖房と熱交換気タイプの24時間計画換気システムです。
熱交換気は、換気による熱のロス(損失)を回収して、外気から取り入れた新鮮な空気と回収した熱が一緒に室内に吹き出されます。冬は冷たい外気が予熱されて給気される仕組みです。夏は同様に、外気を冷やしてから室内に吹き出されるため、不快に感じる温度差のある空気がなくなります。
さらに、冷暖房コストも削減されるなどのメリットがあります。高気密・高断熱住宅のメリットを活かしながら、温熱環境のバリアフリーや省エネをもたらします。
※冷暖気調システムに最適な「高気密・高断熱住宅」とは、気密性・断熱性・冷暖房時の遮蔽性に優れた住宅のことで、パナソニック エコシステムズで定める住宅の条件を満たしている場合です。
全館冷暖房と24時間計画換気冷暖房システムなら、熱交換で住宅全体の部屋間の温度差もなくなる。
部屋の中でも北側壁面だけに起こる結露。換気で解決できますか?
結露の一番の要因は、温度差から発生するものです。原因が特定できませんが、まずは断熱対策が必要かと思われます。結露などの湿気の放置は、ダニやカビの発生につながりニオイの原因にもなってしまいます。換気には、ニオイや汚れた空気を排出するほかにもいろいろな効果があります。その一つが除湿効果です。室内の湿気は換気で取り除くことができます。
換気には、汚れた空気を排出して新鮮な空気を取り入れるほかに、除湿や除塵効果も。
空気の汚れを防ぐにはどんな方法がありますか?
空気の汚れの原因は、CO2、タバコの煙、カビ、微生物、建材から揮発する有害なガス、外気からの花粉や排気ガスなどが考えられます。それぞれ原因により、「発生させない」、空気清浄機などで「取る」、換気扇で「外へ出す」、フィルターで「中に入れない」などの個別の対応が必要になります。 中でもフィルターは、住む人の要望やライフスタイルにより、ホコリ、花粉、NOX(一酸化窒素と二酸化窒素)対応などを選び、使い分けることで暮らしに適した健康的な空気の環境に近づけることができます。
換気設備のお手入れ性はどれくらいアップしているの?
汚れにくい加工をはじめ、お手入れがしやすい形状や羽根が外れるなど、さまざまな機能を搭載した換気設備が登場しています。中でもお問い合わせが増えているのが、本体から羽根が外せるタイプです。
汚れた空気を吸い込む換気設備は、住宅の中でも汚れやすい部分です。汚れをそのまま放置すると換気量が落ちるばかりではなく、運転時の音が大きくなるなど、故障の原因にもなります。換気扇のお手入れが面倒という方も少なくありませんが、道具を使わずにワンタッチで羽根を外せるなど、お手入れのしやすい換気設備が主流になってきています。
これまで本体・羽根部分のお手入れは、専門会社に頼むメンテナンスが主流でしたが、道具を使わずにワンタッチで簡単に羽根が外せるようになっています。天井埋込形換気扇も同様に、ワンタッチで羽根を外すことができます。
油汚れのつきやすいキッチンのレンジフードファンなどでは、フード部分が凹凸のないフラットな形状で拭き取りやすくなっています。フィルターも油汚れが付着しにくいタイプや、約15分間水に浸すだけで頑固な油汚れがはがれ落ちるフィルターなど、簡単でラクにお手入れができるようになっています。 換気設備を選ぶ際には、メンテナンスのしやすさも考慮することが大切です。
※羽根が外れる等、パナソニック エコシステムズのお手入れ性能を中心に紹介しております。他社商品では異なる場合があります。
※お手入れについての詳細は、取扱説明書でご確認ください。
■パイプファン
羽根の取り外しが簡単なパイプファン。汚れやすい換気扇のお手入れがしやすい。
■天井埋込形換気扇
ワンタッチで羽根も本体から外せるタイプなら、お手入れもラクラク簡単に。