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チェック図を見ながら梁のかけ方を確認します。
屋根荷重を基礎まで直接流せる青○の柱に、小屋梁をかけるのが望ましいです。
チェック図を参考にしないで伏図を書くと、このような組み方になりがちです。
しかし、この物件の場合、チェック図を見れば、×の柱にはあまり荷重をかけないほうが良いことがわかります。
印部の梁を架けかえた例です。
×の柱には、●の小屋束からの荷重が流れなくなり、その分青○柱に流れるようになりました。
火打梁は構造ブロックの四隅に配置します。構造ブロックが大きい場合には、その内部にも追加して配置します。その本数の目安は、火打ち1本あたりの負担面積が3.3㎡程度です。つまり8帖の四隅に火打梁を配置するくらいの感覚です。
最低でも、火打梁1本あたりの負担面積が5.0㎡以下になるように配置します。火打梁の本数が多いほど、水平構面の剛性はあがります。
屋根の剛性はあまり高くないので、特に小屋組は十分に火打梁を配置します。
振れ止め(甲乙梁、つなぎ梁)
梁桁が乾燥収縮等によって、横方向に変形したり、ねじれるのを抑えるために小屋梁間に渡す小梁のことです。振れ止めを配置するルールは統一化されていませんが、4モジュール(2間)以上は空けないのが一般的なようです。
勾配天井の場合の小屋組の方法
例として、南側洋室を勾配天井とする場合の組み方を2種類紹介します。
登り梁(勾配梁)を用いる場合はこのように組みます。登り梁の上に母屋を転ばす場合もあります。
チェックすべき個所は、登り梁を受ける材です。下に柱や小屋束があれば良いですが、梁で受ける場合には、登り梁が受け梁(又は母屋、棟木)からこぼれてしまわないか注意してください。勾配しているので、鉛直方向の厚さは梁せいより大きくなります。
母屋のスパンを飛ばす場合には、このように組みます。
母屋せいを大きくして、母屋スパンを飛ばします。
屋根構面は剛性が低いので、たとえ勾配天井であっても構造上特別な配慮をしない場合は、おおよそ4モジュール(2間)以内ごとには水平梁を配置し、その四隅には火打梁を配置します。
小屋裏収納の四周に小屋梁が配置されているか確認します。
小屋裏収納の内部には小屋束がない方が使い勝手が良いですが、構造上無理をしてまで小屋束を抜かないように気をつけます。
例えば、寄棟屋根の隅木と母屋が交わる位置の小屋束は安易に省略しないようにします。
収納ハシゴを使用する場合は、その中を小屋梁が通っていないか確認します。
母屋下がり(桁下がり)は、このように組みます。下がった桁は柱に差します。ここに柱がない場合などは、登り梁にします。
原則としては、地廻り(軒桁高さ)位置には軒桁が必要です。その両端には柱を立てるように配慮します。
・筋かいの役割
水平荷重が加わると接合部が回転するので、軸組が図のように変形します。このように軸組が大きく変形すると、建物全体も大きく傾き、倒壊する危険性が高まります。この軸組の変形を抑えるために、筋かいを入れています。
この内容については、第1章「木造軸組構法の構造の基本 水平荷重に対して丈夫な構造」でも詳しく説明しています。
・筋かい上の継手
しかし、ここに継手があると、筋かいがつっかえ棒のように働いて、継手を押し上げてしまいます。
そうすると、この軸組が変形してしまい、筋かいは水平荷重を負担できません。
筋かいの耐力が発揮されないために建物全体での耐力が不足したり、継手が外れてしまったりすれば、建物が崩壊する危険性があります。
・火打内の継手
火打梁も筋かい同様、梁組変形を抑えるために配置しています。
その火打の中に継手があると、この梁の交差部が回転し、梁組が大きく変形してしまいます。
しかし、これを避けようとすると、もっと構造強度上問題のある個所に継手を移動させてしまう危険性があります。外周で、隣にも火打梁がない場合のみ注意し、それ以外の場合は気にかけなくて良いでしょう。
・受材が同寸以上あるか
受材はかかる材の同寸以上ないと梁がこぼれてしまいます。しかし、受材の下に柱があるときは柱持たせにできます。
・柱持たせ
寸法差が大きいときは、たとえ柱持たせでも好ましくありません。木材は繊維方向はほとんど乾燥収縮しませんが、繊維と直交する方向には大きく乾燥収縮します。つまり下柱はほとんど縮まないのに対し、かかる材は大きく縮むので、柱との間に隙間ができてしまい、柱がない時と同じ状態になってします。
・桁差しに大きな荷重がかかっていないか
桁差部の仕口断面積は小さいので、大きな荷重がこの桁(梁)にかかっているとせん断耐力が不足する可能性があります。荷重が大きい時はスパンが短くても桁(梁)せいを大きめにします。