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プレカット伏図のチェック

2階床伏図1画像

チェック図を見ながら梁のかけ方を確認します。

スパンの長い梁に赤柱が乗っています。しかも床梁がたくさん架かっています。
この梁に荷重がかかり過ぎているので、梁が大きくたわみ、床が傾く危険性があります。

2階床伏図1画像

1本の梁に荷重が集中しないように架け替えた伏図の例です。
このようにチェック図を見ながら伏図をチェックすると、構造上の問題点が視覚的に分かりやすく、チェック漏れが少なくなります。
大切なのは、
?@赤柱を受ける梁は、スパンを飛ばさない
?Aどうしてもスパンが飛ぶ場合は、床荷重をかけない
?B赤マーカー線が長いところには、2階耐力壁をのせない

2階床伏図1画像

荷重を受けている梁を柱で支えず、梁で受ける場合の受梁を2次梁といいます。その2次梁を受ける梁を3次梁といいます。
このように、梁を梁が受けると、受梁もたわむので、たわみ量が累積されて、床が大きく傾く可能性があります。
原則としては、2次梁までに抑え3次梁は使用しないようにします。やむを得ず3次梁を使う場合には、3次梁のスパンを短くします。4次梁は決して使わないようにしましょう。

2階床伏図1画像

左の伏図では、3次梁まで使っています。
右の変更図では、2次梁までしか使っていません。
このように、梁から梁へと荷重を流さずに、なるべく早く柱に伝達することが、構造上とても大切です。

2階床伏図1画像

厚合板(24mm以上)を床梁に直張りする際の仕様は上図の通りです。
「川の字釘打ち」の場合は、合板の短手方向に釘を3列打ちます。合板の向きを90度回転させてはいけません。
「四周釘打ち」の場合は、合板の4辺にのみ釘打ちするのではなく、「日の字」に釘打ちします。受材は、釘N75を2列に打てれば良く、必ずしも梁でなくて良いです。90mm角程度あれば十分です。
これらの床仕様は剛性が高いので、火打梁を省略できます。この他に、根太を梁に落とし込み、床合板を床梁にも直接釘打ちできる「根太落とし込み」仕様の場合も火打梁を省略できます。

2階床伏図2画像

階段の降り口を、通り芯等のモジュールに合わせている場合、その位置には梁が入らないので、ずらします。通常は、梁幅分ずらします。

2階床伏図3画像

跳ね出しバルコニーなどの跳ね出し梁は、断面欠損に十分注意します。
曲げ材の引張側断面欠損は原則禁止です。これは木造に限ったことではありません。普通の床梁であれば、梁の中央付近の下端がそれにあたりますが、跳ね出し梁の場合は、支点の梁上端が引張側になります。
この跳ね出し梁に両側から梁がかかるアリ仕口加工と柱のほぞ穴が集中すると、大きな欠損になります。かかる梁のせいにもよりますが、曲げ強度を65%低減しなければならないくらいの欠損です。
残る断面を十分に確保するため、梁せいを大きくしたり、アリ仕口をやめるなど構造に十分考慮しなければなりません。

2階床伏図3画像

跳ね出し梁は、跳ね出し寸法(a)の2倍以上控え部分の長さ(L)が必要です。L≧2a を確保できているか、確認しましょう。
又、バルコニー床を下げる場合は、跳ね出し梁を下げるか、例のように、両端の梁のみ跳ね出して、その中で床を組むか、のどちらかになります。
いずれにしても、跳ね出し部は構造上の問題を抱えやすく、十分配慮しなければなりません。間取りが悪いと伏図だけでは対応できませんので、無理な組み方になっている時は、プラン変更を検討しましょう。

2階床伏図4画像

2階に和室を計画し、フローリングの部分との床段差をなくす場合、床梁を下げます。(根太を使用する場合は、根太彫り深さで調整することも可能です。)図のようなフローリング厚さと畳厚さの場合は、床梁を48mm程度下げます。畳を敷く範囲の床梁が下がっているか、確認しましょう。

2階床伏図4画像

2階浴室内には胴差レベルの梁は配置できません。浴室内部にレベルを下げていない梁が配置されていないか、確認します。

2階床伏図5画像

2階の和室や浴室など床を下げたり、床を張らない部分の4辺の下には、1階の壁があることが望ましく、たとえ壁がなくても2モジュール以内ごとに柱を立てられる設計にしてください。そのような配慮がされていないと、構造上無理のある梁伏せになってしまいます。
また、2階浴室がまたぐ位置の1階に耐力壁は配置できません。梁を下げて耐力壁を配置しても、その耐力壁は水平構面(2階床構面)と接していませんので、水平荷重が流れてきません。

2階床伏図6画像

柱や間柱は図のように土台や梁に固定します。つまり、壁の上下には梁や土台が必要です。1階と2階の壁がずれている場合、2階床伏図では、1階壁上と2階壁下に梁が必要です。ずれ幅が梁幅よりも小さい場合は、通常通りに組めませんので、構造躯体としての強度は期待できません。
梁が込み合うと、施工する際にも金物が取り付けられなかったり、ビスが打てない箇所が出てきます。

また、梁の本数が増えるので、材積が上がり、コストが上がります。 このような理由からも、上下階の壁はなるべく揃えた方が良いのです。

継手部分は継手がない状態より強度が極端に落ちます。そこに大きな力が加われば、継手が外れたり、継手加工部が壊れて建物の崩壊に繋がるかもしれません。それを避けるためには、継手はなるべく大きな力が加わらない箇所に設けなければいけません。
大きな力が加わる箇所に継手を設けていないかをチェックします。

梁の継手位置をチェック!集中荷重付近
2階床伏図7画像

継手の近くに大きな荷重がかかると継手部で折れ曲がってしまいます。集中荷重は柱とは限りません。床梁がかかってきても同じです。

梁継手位置をチェック!吹抜けや階段室内
2階床伏図7画像

外壁に面している梁(胴差)は強風時には横から風圧力を受けます。このときは、この梁の支点は下柱ではなく、直交する梁です。継手は梁にかかる力が小さい支点近くに設けなければいけません。この図では、継手位置が支点から大きく離れています。このような場合、横からの力に対しては当然大きく折れ曲がってしまいます。
解決策としては、継手位置を動かすか、直交横架材を追加して支点を作ります。

梁仕口をチェック!
2階床伏図7画像

胴差に大きな荷重がかかっていないか
胴差部の仕口断面積はアリ仕口等に比べて小さいので、大きな荷重がこの胴差にかかっていると、せん断耐力が不足する可能性があります。荷重が大きい時はスパンが短くてもせいを大きめにします。

通し柱の断面欠損が大きくないか
通し柱は胴差を受けるために大きな欠損が生じます。梁せいが大きな胴差を差さないようにします。