ここから本文です。

合理的な構造にするために

  • 構造上特に注意が必要なプラン1
  • 構造上特に注意が必要なプラン2
  • 構造上特に注意が必要なプラン3
  • 構造上特に注意が必要なプラン4

左図の2階平面図の場合、[は通]〜[ち通]間に作用した地震力や風圧力は、1階[い通]の耐力壁には伝達されません。
水平荷重を耐力壁に伝達するのは、水平構面(ここでは2階床)の役割です。
[い通]〜[は通]間には床が張られておらず、全く床剛性がないので、水平荷重を伝達することができません。
[い通]の耐力壁に水平荷重を流すためには、この吹抜けにも4モジュール以内ごとに水平梁を配置し、その四隅に火打梁を配置します。
このように、一方の外壁[一通]から向かい合うもう一方の外壁[九通]まで吹抜けが貫通する場合は、必ず火打梁を入れなければなりません

先ほどの吹抜けと同じで、勾配天井の範囲が広い場合には、水平構面の剛性を確保するために火打梁を配置します。特に計算等によって確認しない場合には、1坪(3.03㎡)を超えるときには、火打梁を配置しましょう。 大きな小屋裏収納を設ける場合には、耐力壁が通っている小屋梁上には、雲筋かい等を設けましょう。屋根と耐力壁が接していないと、屋根面を流れてきた水平荷重は、耐力壁に伝達されません。

構造上特に注意が必要なプラン3画像

2階耐力壁の下に1階柱がない場合、図のように耐力壁が梁の上に乗ります。ここに水平荷重が加わると、耐力壁は回転しようとし、梁を押します。この力により梁がたわみ、壁が回転します。そうすると、この耐力壁上部が動いてしまいます。 つまり、この耐力壁は他の耐力壁よりも小さい荷重で変形してしまうので、壁倍率が小さいのと同じ状態になります。壁量計算などする場合は、このような耐力壁の壁倍率は×0.6として計算しましょう。 また、この耐力壁が梁を押す力はとても大きいので、この梁せいは、耐力壁がない場合の寸法+90mmとします。

構造上特に注意が必要なプラン4画像

最初に説明したように、水平荷重は屋根や床に作用し、屋根面や床面を伝って耐力壁に伝達されます。では、スキップフロアでは、地震力はどこに作用するのでしょうか? 床のレベルがバラバラな場合、どこにどれだけの力が加わり、どこを伝ってどこに流れるのか?を想定するのがとても難しく、一般的な木造軸組構法の構造モデルでは検討できません。 スキップフロアにする場合は、床の高低差がつく位置を一直線とします。構造の検討では、そのラインで建物を分割し、それぞれが壁量や壁バランスを満たすように設計します。そして、その境界線でバラバラにならないよう十分に補強します。