# ENJOY YOUR ROOM 09
玄関を入ってから一番奥に位置するダイニングまでの空間に設えたのは、
壁の役割を担っている、カスタムパーツを組み合わせたオリジナルの造作棚。
玄関周辺には靴を、キッチン付近には食材やワイン。
ところどころに書物を飾りながら、
ダイニングには世界各所を訪れた時に連れて帰ってきたお気に入りたちを。
ひとつひとつのモノに宿る物語がこの部屋の雰囲気をつくり出す。
撮影協力:AWABEES/TITLES/UTUWA
存在感を放つカスタムパーツの造作棚が主役となった、メゾン南柏綾を手掛けたのは、若手建築家の鈴木淳平さん(写真 左)と森安洋幸さん(写真 右)。事業主である双日新都心開発株式会社、総合プロデュースを務めた株式会社カブトスとチームを組み、リノベーションを行った。
「今回のメゾン南柏綾のリノベーションはおもしろい部屋をつくろうという話から始まりました。
マンションのリノベーションは賃貸で提供するとなると、無垢のフローリングにして水回りを入れ替えて…と、コストパフォーマンスよくリノベーションすることが多くなります。ただ今回は、そのようなリノベーションではなく、おもしろいことをやりたいという話があり、ひとつのアイディアとして廊下が本棚になっていたらいいよねと、本棚というキーワードが出てきました。だったら廊下の一部だけではなく、部屋を縦断するように全面本棚にしたら見たことがないような部屋になるのではと思いました。
そして、ネットで気軽にショッピングできるようになったことで物が多い暮らしをしている人が多いイメージがあり、棚が多い分には収納スペースにも困らないし、暮らしに寄り添った形で提案できるかなと」
(鈴木さん)
具体的なデザインは、大学時代同じ研究室で学んだという建築家仲間である森安さんと共同作業。アイディアを出し合いながら構築していった。
「当初デザインしていた造作棚は、背面を壁にして各エリアを区切って考えていました。でも、壁すらも家具の一部にすれば、よりコンセプトが強くなるのではないかと思い、家具を選ぶような感覚でデザインしていきました。玄関、キッチン、ダイニングと、それぞれのエリアでマスの大きさも変えていますし、背板の取り入れ方もフレキシブルにしています。賃貸物件なので、さまざまなライフスタイルの人が暮らすことが前提。僕たちのこだわりは適度な形で落とし込み、柔軟性を持たせることでライフスタイルを限定せず、それぞれのスタイルで使っていただきやすくなったと感じています。
造作棚をつくる時は機能面、デザイン性、コストも含めてバランスのいいパーツが仕上がりの鍵を握ります。今回使用したカスタムパーツは性能が一定に保たれていますし、色ムラもなくて安心して使えました。カラーバリエーションがあったので、ところどころにブルーグレーを取り入れようかとも考えたのですが、ホワイトオーク柄に統一したことで造作棚の存在感がより高まったと思います」
(森安さん)
Profile
鈴木 淳平/Jumpei Suzuki
一級建築士、建築写真家。東京工業大学奥山研究室にて研鑽を積む。建築設計・写真事務所HIGASHIYAMA STUDIOを主宰。
Profile
森安 洋幸/Hiroyuki Moriyasu
建築家、一級建築士。NAP建築設計事務所にてリゾートホテルレストラン、住宅などを手掛け独立。森安洋幸建築設計事務所を主宰し、コンペティションで受賞するなど、若手建築家として活躍している。
カスタムパーツ 造作棚用化粧ボード+有孔化粧ボード
造作棚用化粧ボード色柄:ホワイトオーク柄(WY)
有孔化粧ボード色柄:ホワイトアッシュ柄(GY)
ベリティスフロアーW クラフト
色柄:フォギーホワイト色(WU)
ラピスタイルフロアー[3尺長]
色柄:モルタルグレー(GH)
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THE MIX IKEBUKURO
今すぐリフォームを始めたい方
カスタムパーツで造作した棚の背板に有孔ボードを取り入れたことで、部屋からの明かりがこぼれ、風の巡りを感じることができる。
空間につながりをつくる仕掛けにもなっている。