# ENJOY YOUR ROOM 07
日本の文化を発信している両国は世界中の人々が集う場所。
そこで交流できる場所として話題を呼んでいるのが、
泊まれる映画館がテーマの「Theater Zzz」だ。
ドライフラワーや芝、テントと、室内にいながら
アウトシーンにいるような宿泊空間には
自然を感じられるエッセンスが散りばめられている。
壁にはワイルドオーク柄の有孔ボードを採用し、
遊び心あるレイアウトを楽しんでいる。
若手空間プロデューサーとして注目を集めている包怡萱(バオイーシャン)さん。幼少期から家が好きでいつかつくってみたいと夢を抱き、高校生の時、進路を決める際にはなんの迷いもなく建築を学ぶことを選択。株式会社三菱地所設計に入社後は滝沢市複合交流拠点施設や日清オイリオ研究所などの、幅広い分野のプロジェクトを担当し、建築設計の実務経験を積んだ後、株式会社グローバルエージェンツへ。そこでは不動産投資、開発、ホテル運営などを学んだという。
「商業施設などの大きな建物をつくるプロジェクトを担当することができ、とてもいい経験ができたと思う一方で、空間をデザインし、具現化することに限界を感じている部分がありました。当時の私の仕事は空間をつくるまでで、時間の経過やそれとともに変化していく事柄を見ることができず寂しさを感じていて…。そんな思いもあり、設計事務所を退職し、不動産会社で開発、運営などのデザイン以外の部分を学びました。
私はつくりたい空間のイメージがすぐ頭に浮かんできますが、こだわってデザインしたけど実用性とのギャップが生じることもありました。デザイナーとしてそのこだわりは大切にしていますが、運営を学んだことで需要をいかに形として落とし込むかの重要性も理解できるようになりました」
より愛される空間への創造につながる経験だったと話す包さんは蒼樹(SOOWOOD)株式会社を設立し、空間プロデューサーとして活躍の場を広げている。手掛けるプロジェクトは、会社名にもあるように木の使い方が特徴的。両親のためにデザインしたというB様邸は、まさに木が主役の住宅である。
「マンションでのコンパクトなライフスタイルやバリアフリーについても話し合ったのですが、広いキッチン、庭付きなど、両親の希望を聴いているとマンションでは難しいなと。だったら思い切って希望がすべて叶えられるエリアに建てようと考えました。都心では叶えられない…逆を言えば、都心を離れたからこそ叶えられることは何かなと考えた時、自然の豊かさかなと。階段の勾配は穏やかに、手すりをしっかりつけるなど、シニア世代の暮らしでの最低限はケアしたうえで、私が大切にしている木のぬくもりを活かし、自然をキーワードに構築していきました」
B様邸で目を引くのは、床に取り入れたアーキスペックフロアーのアッシュクリアをはじめとする木材使い。木材の種類を変えながら階段やベンチシートにまで広範囲に取り入れている。
「木材は種類が豊富だからこそ、さまざまな表情が楽しめるのが魅力だと思っています。光の当たり方でも変化が出るので、家の中で過ごしていても自然を感じられますよね。今回の床材、アーキスペックフロアーは特殊な水熱処理で木目のリアルさを出していると伺って、この家にぴったりだと思いました。
実は、パナソニックの建材がこんなに充実しているとは知りませんでした。品質の良さはもちろんなのですが、細かいサイズのオーダーにも対応してくれますし、なによりデザインがこんなに優れているんだ!と。デザイン性は妥協できない点なので、バランスのいい建材が揃っているという印象です。両親の家もこの床材がなかったら、こんなにも自然を感じる家にはならなかったと思います」
包さんは泊まれるシアターという新感覚の宿泊スタイルを提案した「Theater Zzz」も手掛けている。
「Theater Zzzは設計だけではなく、運営も自社で行う初めての施設です。東京で国際化が進む中、交流できる場所をつくりたい、私たちがやる意味のある施設は何かなと考えました。アイデアのベースはもともと映画が好きだという気持ちです。映画を観るために人が集まり、カフェスペースあって、夜はそのまま泊まれたらいいよねと。そういう施設ならひとつの空間を最大化できると考えました」
宿泊スタイルをテントにしたのは、包さんが今まで旅してきた中で感じていたことを具現化したもの。空間の可変性がキーワードになっている。
「私が旅をする中で数々のカプセルホテルやゲストルームに泊まってきたのですが、もっと攻めたいという思いがありました。そんな時、障子を開けると違う空間が広がる、可変的な空間がイメージとして浮かんできて、布一枚を広げるだけでプライベートエリアを確保できるテントに辿り着きました。
カプセルホテルに2名で宿泊する場合は、上下に分かれて泊まることになると思いますが、Theater Zzzはテントをつなげて2名分のスペースを作ることができます。これも、空間の可変性によるものですよね」
テントを広げず、開放的に眠りたい人はそのまま眠ってもOK。自由なスタイルが交流しやすい空間づくりにひと役買っている。
Profile
包 怡萱/Yixuan Bao
空間プロデューサー(一級建築士)。京都大学大学院を卒業後、株式会社三菱地所設計、株式会社グローバルエージェンツで様々な分野のプロジェクトを担当。2018年に蒼樹株式会社を設立し、CEOに就任する。
「ただいま」と言いたくなるような、温かくなつかしさのある空間創造を目指している。
カスタムパーツ 有孔化粧ボード
色柄:ワイルドオーク柄(PV)(塗装対応)
※現場にてクリア塗装済
ベリティス クラフトレーベル 上吊り引戸 引違い
色柄:ネイビーオーク柄(NV)
ベリティス クラフトレーベル 戸袋片引き
色柄:ワイルドオーク柄(PV)(塗装対応)
※現場にてクリア塗装済
カスタムパーツ 有孔ボード
色柄:ワイルドオーク柄(PV)(塗装対応)
※現場にてクリア塗装済
# ENJOY YOUR ROOM 01
T様 邸
# ENJOY YOUR ROOM 02
Y様 邸
# ENJOY YOUR ROOM 03
N様 邸
# ENJOY YOUR ROOM 04
W.Y様 邸
# ENJOY YOUR ROOM 05
B様 邸
# ENJOY YOUR ROOM 06
フクロウハウス池袋
# ENJOY YOUR ROOM 07
Theater Zzz
# ENJOY YOUR ROOM 08
トントンちくちく製作所
# ENJOY YOUR ROOM 09
メゾン南柏綾
# ENJOY YOUR ROOM 10
ローザ赤坂
# ENJOY YOUR ROOM 11
赤坂レジデンス
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クリオ船堀親水公園
# ENJOY YOUR ROOM 13
THE MIX IKEBUKURO
今すぐリフォームを始めたい方
カフェスペースにはDIYしたというZ型のテーブルが存在感を発揮。そんな木材が活きた空間の奥に位置するスタッフルームのドアにはネイビーオーク柄を採用し、全体を引き締めた。