「これまでは施主様の意向を伺って工務店である我々がスタイル、プランを提案するのが当たり前でしたが、SNSの普及によって工務店が提案する時代は終わったと思っています。だからこそ、施主様のこんな部屋にしたいというイメージを共有し、ディレクションすることが工務店にとって重要な役割に。そのイメージは部屋づくりの核となるものだから、時間をかけて徹底的に行います。
施主様の立場で考えると、イメージを共有できる工務店を根気よく探すことが自分らしい部屋づくりの第一関門。そして、イメージの共有にはSNSが役立つので、インスタグラムで見つけた気になるポストを保存し、ピンタレストで気になるインテリア写真があったらピンをつけておく。それを見ながらイメージ共有をするととてもスムーズです」

さらに、施主様それぞれが自分らしい部屋をつくり、その部屋でハッピーに暮らしていくためには暮らしの問題を解決することも大切なことだと話す。

「家を建てることで暮らしの問題点を解決しなくてもいいのであれば、それは家を建てる必要がないことに等しくなります。賃貸物件で十分になってしまう。だからこそ、暮らしの問題を解決することは工務店には必要なスキルだと考えています。
僕が手掛けた事例でお話ししますと、施主様とイメージ共有をする過程の中で、居心地のいい家にしたいという話がありました。居心地がいい＝ストレスフリーだと考え、暮らしの中でストレスに感じていることは何？　どのエリアで過ごしているとストレスを感じる？と質問していき、それらを解消していきました。その結果、部屋から出たくないくらい居心地がいい部屋に。僕たちは、積極的に引きこもりたくなるから“引きこもりの部屋”と呼んでいます。
暮らしの問題点はそれぞれ異なりますし、施主様が自覚していなくても、実はストレスになっていることが隠れていることもあります。イメージ共有に時間をかけるのは隠れた問題を見つけることにもつながるからです」