木材を持ち上げている
木材を持ち上げている

対談│建築設計者様×商品営業担当者

テーマ

リノベーションの最前線から

サステナブルフロアーTMの商品営業担当者が、リノベーションの最前線でご活躍されている石井様に、
施主様との関係性の中で環境配慮型商品はどのように評価されるのか?率直なご意見をお聴かせいただきました。

対談中の石井様と南出

取材協力:株式会社ブルースタジオ様
https://www.bluestudio.jp/
東京オフィス(本社)
東京都中央区築地4丁目5-9 築地安田第2ビル4F

福岡オフィス
福岡県福岡市中央区清川2丁目4-29
新高砂マンション 1F清川ロータリープレイス 107

対談中の石井様

株式会社ブルースタジオ 執行役員 石井健様

「公正に採取・取引されたものか?」

環境保全への貢献度を見える化

南出
(商品営業担当)

2023年4月に、「森林保全」「資源有効利用」「脱化石燃料」という3つのテーマに取り組んだ「サステナブルフロアーTM(以下、サステナブルフロアー)」を発売させていただきます。
住宅解体時に出る廃材や森林整備の中で出る未利用材を利用したリサイクルボード(サステナブルボード)を基材とし、表面の塗装にバイオマス塗料を採用しているという特長があります。加えて、購入することで「ぐんまつむぎの森」の整備へ寄付貢献ができる商品となります。
サステナブルフロアーをご購入いただくことで、環境保全に貢献できますよということを判りやすく理解して頂くため、貢献度の見える化を考えています。
「あなたは●坪ご購入いただいたので、これだけ環境貢献をしていただいていますよ」と数値でお伝えし、住宅販売につなげていただければと考えています。

石井様

石井様 地産地消というわけではなく、寄付形式ということですよね?

南出

南出  私どもには群馬県沼田市の工場で長年にわたり床材の製造をさせていただいていますので、まずはお膝元から始めたいという思いでいます。

石井様

石井様 なるほど、工場が群馬県にあるから、群馬から始めるというわけですね。

南出

南出  山に囲まれたようなところにある工場なのですが、その環境を守っていきたい。そこからもっと発展できたら良いなと考えています。

石井様

石井様 理想的には製造にかかわる原材料輸送の負担を0にしていくということが、これからの物づくりでは一番大事ですよね。ただし、現実的には地球の裏側から送ってもらう方が早い、もしくは安いといったことがあったりします。
建設資材は重いので、重いものは近場からみたいな、サイクルができて循環が起きていく、いろんな地方でそれがあたり前になっていくといいですよね。

床材は家づくりのメインだから

南出

南出 御社がリノベーションをご提案される中で、環境に配慮された商材を積極的に取り入れたいというお施主様はいらっしゃいますか?

石井様

石井様それはいらっしゃいます。とくに床材は家づくりのメイン、象徴になるじゃないですか。
そういったところには、環境に配慮したものを使いたいと言われる方もいらっしゃいます。
これからもっと選択肢に入れる人は増えていくんじゃないでしょうか。
床とか壁とか天井といった大きな面積でニーズが増えるでしょうね。その中で材料の出自がわかるといいかも知れない。
例えば珪藻土を塗りたい、その珪藻土はどこから来ていて、それを買うことによって、どういう人たちにお金がいきつくのか、そういうところはもっと知りたいんじゃないかと思います。
どこでどういう人たちがそれをつくっていて、製造することによって自然に対してどういう影響を与えているのか、ということも含めて知りたがっている方は増えていると思います。

対談中の南出、笑顔
木材を見る石井様

南出

南出 私たちは今までお施主様には性能寄りのご説明や意匠性をメインに訴求させていただくことに注力してきました。
今回はモノづくりの工程の中で森林資源の循環・有効活用をしているんだよということをお施主様であったり、代理店様や住宅会社様に物語として伝えていきたいと考えています。
なので、社会がそういったことに関心があるというお話はとても嬉しいです。

石井様

石井様コーヒーや化粧品におけるフェアトレードへの意識同様、消費者が商品を選ぶ際に、公正に採取・取引されたものかを理解してから購入することの意識が徐々に高まってきていると思いますね。
特に家って、めでたく、縁起かつぎの心情というものが必ずあるし、そういうときにバチ当たりなものを使いたくない。
日本にはそういうカルチャーがあるんじゃないかなと。

木を積極的に使うことによって植林につながる

南出

南出 エシカル消費という観点から環境配慮型の商材を積極的に取り入れているといったケースはございますか?

石井様

石井様木を積極的に使うことによって植林につながる、という意識は皆さんお持ちだと思います。
例えば、接着剤からはなるべく遠ざかるとかは、僕たちもそうだし、お客様もなんとなく意識している。
とは言いつつも、いま建設コストが急騰して不動産価格も急騰していて、 現実的にはコストの問題がすごくシビアではあります。

南出

南出 為替の影響で輸入品の材料も…。

石井様

石井様現実的には無垢材のフローリングはいずれは高価になってくるだろうし、どこで採れているのかわからないというのが、ちょっと気持ち悪いんですよね。この木は本当に合法的に採取されている木だろうか?とかね。

南出

南出 若い方でもエシカルに関心があって地方・地域に興味がある。
環境保全や環境配慮というような言葉や活動がすごく身近なものになってきているというのは、いち消費者としても感じます。
サステナブルフロアーのコンセプトを社会が受け入れてくれると期待しています。

石井様

石井様今の世代、Z世代の方々はエシカルなことが実は最終的には合理的である、というマインドをすごく持っていると思いますよ。
意外と正しいことってみんなが行えば経済効果は高いですよね。
東京などはとても綺麗になりましたけど、30年前とか汚かった。
都心の繁華街などは、ゴミだらけだった。
ゴミが捨ててあることの経済損失はすごく大きいですよね。
回収費のコストもそうだし、普段のみんなの日常生活とか経済活動におよぼす影響も考えると街は綺麗なほうが良くて、汚い街を綺麗にしようみたいなところから始まっていますけど、いまなぜ綺麗にしておくか、気持ちいいというのもあるけれど、経済的な合理性もある。
こういった環境配慮をなぜしているのかというと、自分達が生き延びていくためにやっている。
その合理性みたいなものがちょっとずつ色々なところで出てくるようになるんじゃないかな。

南出

南出 結果的に自分たちのために、ということですか?

石井様

石井様そう。

南出

南出 このままだと先が成り立たなくなるよね、ということでみんな気づいてなんとかしようよと。

石井様

石井様いろんなところで、それぞれの事業者は何ができるのか?ということを考えていくのは大切なことじゃないのかな。
ところで、現在、円安でいろんな人たちの意識が変わってきていますよね。
自分たちが払わないといけないお金が、結局どこにいくかというと、全部国外にいく。
なので、お金を使うえば使うほど幸せになれないという、嫌な循環になってしまっている。
そのあたりを変えていかないといけないと思います。
お金を使うことによって社会に貢献できる環境を整えないとね。

南出

南出 今まで輸入に頼ってきた現実から、マインドセットされるのではないでしょうか。

石井様

石井様これがきっかけになって広がりがでてくると、とても良いんじゃないかと思います。

ひとつひとつの材料には物語がある

南出

南出 自分が環境貢献できているんだということを分かりやすく普及できる商品だと思っています。
消費者がサステナブルフロアーを使うことで、どこに、なにに貢献できるのかということが分かりやすい。

石井様

石井様いかに近所に自慢できるか、ですよ。そういうことだと思いますね。
まあ、見ただけでは分かんないかも知れないけどさぁ、実はこの床は・・・、みたいなね。

南出

南出 そう言う意味では日頃から御社が推進している「物件を物語」に、ということですよね。

石井様

石井様ひとつひとつの材料をみても、物語が必ずあるわけで、みんな知りたいと思っている。
先ほど話をしたように家って縁起担ぎのようなところがあるので、まさにそういった建材を使ってもらう。
ヒノキを使うなんていうのは性能のこと以上に、縁起的なところがありますから。
床柱だけはヒノキにするというのは、やはり縁起をかつぐとか、少しでも立派なものを取り入れたいという気持ちの現れです。
そんなニュアンスからも、お客様には、使う商材の物語を伝えていきたいですね。
ノーブランドで安いものって、どうしても何か裏があるのだろうなという感じがあって、住まいの中で見えるものにはそういった怪しげなものを使いたくない。
それこそ、触れるところ、見えるところ、印象に残るところはちゃんと出自が分かったものを使いたい。

南出

南出 環境配慮型の建材に関心はございますか?なんていうような無粋な聞き方や提案ではくて、この商材にはこういうストーリーがあって、安心できる商材にご関心がありますか?とか、そういうものをご活用されますか?というような、そういう物語の提案がいいのかなと。

石井様

石井様環境に配慮した商品と言われると、なんか予定調和に追い込まれる様で苦痛じゃないでしょうか?
気持ちいいエシカルみたいなことを家づくりの中で増やしていくことが大切じゃないかな。SDGsとかはその中のひとつの方向性だし、ストレスを感じながら固執する必要はないのでしょう。

南出

南出 貴重なご意見、多様な角度や視点からのアドバイスをありがとうございます。
中でも、先に環境配慮というよりは、これにはストーリーがあって、そのストーリーが結果として環境配慮なんだよという理論の組み立てはとても勉強になりました。

石井様

石井様自ら環境配慮だと言うのではなくって、ストーリーとしてお話した結果、先方から環境配慮なんですねって言っていただくような状況が望ましいですよね。

南出

南出 ありがとうございます。
そのようなコミュニケーションを目指していきたいと思います。

横を向いている石井様

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