2024/09/30
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マンションでのリノベーションの目的は?
リフォームとの違いやポイントを事例と共に紹介
古くなったマンションをリノベーションしたい、築古物件を割安な価格で購入してリノベーションして快適に住みたいと考えている人はしばしばいます。一方で「リノベーションとリフォームは何が違うの?」と疑問に思われる方もいます。
今回の記事ではリノベーションとリフォームの違いについて紹介しつつ、リノベーションの基本的な役割や施工を検討すべき箇所、逆にマンションにおいてリノベーションが難しいポイントなどについて紹介していきます。これからマンションのリフォームを検討している方は、ぜひ読んでみてください。
マンションのリノベーションとは?
まずはリノベーションの基本的な考え方についておさえておきましょう。リノベーションとは、古くなった物件を現代的な機能や、そこに住む人のライフスタイルに合わせて改修を行うことを意味します。
機能や居住性を向上させることにより、築古物件の資産価値を再生する効果も期待できます。戸建てに行うケースも多いですが、分譲マンションであれば所有する区画内について、一定のルールのもとで大幅な改修をする権利があるため、マンションでもリノベーションを行う方はいるようです。
長年住むマンションをリノベーションして、居住者の今の暮らしに合った住宅にする場合が多い一方で、築古の物件を割安な価格で購入し、リノベーションして自分が住みやすい形にマンションをアレンジして住む人もいます。
リフォームより大規模に工事を行うことで居住性を向上できる一方で、新築物件の購入や住み替えと比べると費用を抑えられるケースが多いため、近年リノベーションは盛んに行われています。
リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームはいずれも古くなったマンションや住宅を改善する方法ですが、それぞれ工事の規模や目的などが異なります。自分にとってリノベーションとリフォームどちらが良いのかを明確にするためにも、まずは両者の違いをみていきましょう。
リフォームとリノベーションの違い
リフォームとリノベーションの違いは大きく分けて次の3点にあります。
- ・工事の目的
- ・工事の成果
- ・工事の規模
リフォームの目的は基本的に新築時点の状態に「戻す」ことにあります。老朽化した箇所・劣化した箇所を修繕することで、新築時点と同様の見た目や機能を果たせる状態を取り戻す目的でリフォームを行う方が多いです。これに対してリノベーションは、時代や居住者のニーズに見合った新たな機能を果たす住居づくりを目指す場合が多くみられます。
例えば、水廻りの設備や間取り・収納のトレンドなどは時代とともに変化しますが、リノベーションでは旧タイプの設備を最新のものに変換したり、間取りを大きく変えたりといった工事も行う場合もあります。
以上の違いによりリフォームでは新築の状態に戻ったマンションが手に入ります。一方でリノベーションを実行すれば、新築当時の状態以上に現在の状況にマッチしたマンションに生まれ変わる可能性もあります。
工事の規模で言えば、ほとんどの場合リノベーションの方が大きくなります。その時の住居ニーズにあった物件にするためには、居室内の作りを大きく変える工事をしなければならないためです。基本的に費用もリノベーションの方が高くなる傾向にあります。
リノベーションのメリット
リノベーションを行うメリットは、たとえば次のような点にあります。
- ・施工の自由度が高い
- ・デザインにこだわりやすい
- ・現在の状況にマッチした住環境が手に入る
リノベーションは大掛かりな工事になる分、施工の自由度が高いのが特徴です。リフォームでは実現できないニーズを充足できる可能性があります。またうまくリノベーションをすれば、新築当時以上に高機能で快適な居室にできる場合もあります。
またリノベーションでは居室内のデザインも大幅にアレンジできます。リノベーションでは居室内全体を作り替えるケースが多いため、居室全体のデザインについて統一感を持たせつつ、作り替えることができます。
最後に、リノベーションでは現在のライフスタイルにあった居室に作り替えることも可能です。
例えば新築購入時と現在で家族構成が異なる場合、新築の状態に戻しただけでは快適な住宅とならない場合もあります。その点、リノベーションなら間取り変更や設備の交換・更新を含めて大掛かりな施工ができるため、現在のライフスタイルを踏まえて、ベストな居室が手に入るでしょう。
リフォームのメリット
リフォームのメリットは、たとえば次のような点です。
- ・費用を抑えられる
- ・施工期間も短縮できる
- ・完成がイメージしやすい
リフォームはリノベーションと比較すると費用を抑えられる可能性が高いです。リノベーションと異なり居室全体で工事することを前提としないため、施工箇所を絞ればさらに費用を抑えられる場合があります。
さらに、施工期間も短く済む可能性が高いです。大掛かりなリノベーションとなると、施工する間の暮らしが不便であったり、時には一時的にホテル暮らしになったりするなどの弊害がありますが、リフォームであればこうした影響も少なく済むかもしれません。
また、リフォームは居室内を大きく作り替えることはなく、あくまで新築当時に戻すのが目標です。そのため完成形がイメージしやすく、想定外の住環境となるリスクが小さいことをメリットと考える方もいます。
マンションのリノベーションの目的
マンションのリノベーションは、現在のライフスタイルに合った居室にする目的で行われる場合が多いです。築古物件を購入した後にリノベーションを行なって、機能的な物件を割安な価格で手に入れる方もいます。
中古物件や築古物件を住みやすくする
中古物件や築年数が経過した物件の住環境を改善することを目的にリノベーションを検討する方が多くみられます。築年数が古い物件は、そもそもの間取りの特性や設備などが古いため、そのままでは住みづらいのはもちろん、リフォームなど部分的な修繕では住環境が改善しない可能性があります。
リノベーションでは、現在の居住者が求める機能性を手に入れることができ、築年数が経過した物件でも快適な住環境を実現できる場合があるのです。
割安で新築同然のマンションを手に入れるために活用されることも
近年はリノベーション技術も向上したため、あえて築年数の経過した物件を割安な価格で手に入れたのち、リノベーションで自分が求める住環境に作り替える人もいます。物件の状態や、居住者が求める住環境にもよりますが、自分のニーズにあった新築を手に入れるよりも割安に物件を手に入れられるケースも少なくありません。
これから物件購入を考えている人は、新築だけに拘らず、中古購入+リノベーションで理想の住居を手に入れる方法も検討してみましょう。
間取りをライフスタイルに合わせて変更する
「間取りを変えたい」と考えて、リフォームではなくリノベーションを選択する方は少なくありません。リフォームでは新築「同然」の状態を取り戻すのが目的なので、間取りを変えることは想定されない場合が多いです。
たとえば新築時は三人家族だったところ、リノベーション時点では子供が増えて4人家族になった場合、部屋数を増やしたいと考える人は多いでしょう。逆に、子供が巣立って夫婦二人だけになった場合は、部屋を減らしてリビングや夫婦の部屋を広げるといったケースも考えられます。
このように家族構成が購入時点と変化した方、もしくは今後家族構成の変化が予想される方などのニーズを実現するためには、リノベーションで間取りを変更するのが有効な選択肢となります。
2世帯住宅にする
マンション購入当時は親から独立して生活していた方でも、親が高齢化して同居を余儀なくされるケースは少なくありません。近年は長寿化が進む中で、同居して親の身の回りをサポートしながら生活するケースは増加傾向です。
しかし、マンションの構造によっては、高齢の親を迎え入れるのに不向きな場合もあります。親がまだ元気であれば自分専用の部屋を欲しがるでしょう。また、段差や動線は高齢者にとって負担が大きいため「バリアフリーに配慮したマンションにしたい」と考える人もいます。
リフォームだけでは高齢者との同居を想定したニーズを充足できないケースも少なくありません。リノベーションにより高齢者に配慮した2世帯住宅を実現するのが有効な選択肢の一つとなるでしょう。
設備を新しいものに変える
マンションの設備は日進月歩で、新しい物件ほど快適な住環境が実現できるよう、さまざまな工夫がなされている傾向にあります。
オートバスや、温水洗浄便座、食器洗い乾燥機などがビルトインされたキッチン、消費電力が少ないLED照明やウォークインクローゼットなど、ここ20〜30年だけで見てもマンションに広く普及した設備が複数みられます。
残念ながらリフォームだけでは、これらの現代的な設備を備えることはできない場合があります。一方でリノベーションを行う中では、最新鋭の設備や間取りに作り替えることも可能です。フルラインナップでリノベーションを行った場合には、その物件の新築時点よりはるかに高機能な住環境が手に入ると期待できます。
マンションのリノベーションの施工箇所
リノベーションでは複数箇所の工事を一気に実施して、機能性を高めつつ、統一感のあるデザインを目指すケースが多いです。ここから主な施工検討箇所を紹介しますが、これらの施工を組み合わせて、理想のマンション居室を手に入れましょう。
壁・天井
マンションにおける壁や天井のリノベーションについて、天井および物件の最も外周に当たる壁については、多くの場合大がかりな施工はできない可能性が高いです。例えば天井を高くする、壁を防音壁に作り替える、という施工は他の区画やマンション全体の構造に影響を与えるため、困難なケースが多いです。
そのため、壁や天井への施工については、主に塗装や壁紙の交換などによりデザインの変化を目指す場合が多いです。近年は塗装材や壁紙材にも汚れが長期間付きにくいなど高品質なものもあります。リノベーションを機に、汚れにくい壁を手に入れるのも良いでしょう。
また、区画内の部屋同士を仕切っている内壁の工事は、マンション全体の耐震性などに影響を及ぼさないのであれば自由度高く検討できる場合があります。防音性の高い壁を導入して部屋同士のプライバシーを守るなどの配慮をすることが可能です。
逆に区画同士を仕切る外側の壁には内部に配管が通っており、さらに耐震性能などにも影響を及ぼすため、施工が難しい物件が多いといえます。
少し細かいですが、部屋と部屋の仕切りの壁を建てるときには、コンセントやインターネット、テレビや電話などの配線位置を工夫することもポイントです。生活動線や家具の配置を加味して設置されていると、生活がより便利になる場合があります。
リビングダイニング
リビングダイニングは、家族が最も長い時間を過ごす部屋となるケースが多いです。また、複数人の家族が共に過ごす場面も多いため、家族それぞれが暮らしやすいデザインを検討するのがよいでしょう。
デザイン面については、家族それぞれの意見を反映して壁紙・天井の色、窓の採光や照明、家具のデザインなどを検討してください。現代のマンションでは来客時にもリビングに通すケースが多いと想定されるので、個性は維持しつつも、極端に奇抜なデザインは避けた方がよいでしょう。
また、家具の配置や生活動線にも配慮してみてはいかがでしょうか。家族の人数をふまえて、それを充足するソファを置かなければなりませんし、テレビとソファの位置関係、リビングで使用する物の収納場所など、家具や収納の配置で工夫すべきポイントが多数あります。複数人が快適に過ごすため、スペースを広く確保する工夫も検討してみましょう。
そのほか、ダイニングで食事をするケースが多いなら、ダイニングと台所間で料理や食器類を運搬しやすい設計が望ましい場合があります。各居室とリビングが極端に遠くなく、家族みんながストレスなくリビングに滞在できるよう工夫することも、居住環境を高めるうえで有効な手法となるでしょう。
間取り
リノベーションにおいて間取りの変更が重要な目的の一つとなっているケースは多いです。購入時点より家族が増えた、逆に子供の独り立ちなどで、今後減ることが想定されるなら、間取りを増減することで住環境を最適化できる場合があります。
単純に特定の部屋を二つに分ける、あるいは内壁を撤去して部屋を広げる、といった施工だけなら、施工費用なども相対的に安く済む可能性があります。
一方で、例えば2LDKを3LDKにする時に、既存の部屋を単に二つに分けるだけでは、極端に狭小な部屋となってしまう場合もあります。そのときは、リノベーションによってマンション居室内全体の間取り配置を大胆に入れ替えて、各部屋の広さを確保するのが有効な手段となるでしょう。
また、リノベーション時点から将来にかけて更に家族が増減するケースも想定されます。例えば、現代が4人家族なら、いずれ子供が巣立って2人のみになるかもしれませんし、高齢の親と同居が発生する可能性もあります。
将来の家族の増減に対応できるように、一部の壁をスライド式の間仕切りにしたり、簡易な壁にするなどして、間取りの可変性を高める施工もしばしば取り入れられます。
その他、最近ではリモートワークに対応した間取りプランを検討する人も増えています。コロナ禍からの正常化は進んだものの、2021年ごろの労働スタイル、教育スタイルが継続して、今後も一定程度は自宅から仕事・受講などをするケースが想定されます。
複数人が同時にリモートワークに入っても良いよう、人数分のスペースがあるとよい、と考える方がしばしばみられますが、マンションの専有面積によっては充分なスペースを確保できないケースも少なくありません。
専有面積の制約も加味しながら、リモートワークを行ううえで支障の出ない間取りづくりの工夫が求められる場合もあります。
リモートワークのためのワークスペース作りについては、こちらの記事も参考にしてください。
収納
マンションの住環境において、収納の少なさに課題を感じる人は多いです。近年は一般化したウォークインクローゼットやシューズインクロークなどの収納スペースも、築古物件になるとないのが当たり前。クローゼット(古い物件では押し入れ)が不充分な物件も少なくありません。
収納については「間取りの中に形成するか」「収納家具で賄うか」を考えながら、うまく居室内に配置していきましょう。例えばすぐに使う日用品は収納棚などに入れておいた方が便利ですが、季節感の異なる衣服はしばらくクローゼットの奥にしまって、衣替え時に出し入れする方がよい場合が多いでしょう。
またアウトドア用品や傘など外で使用するものは玄関の近くに配置する、食器をはじめ食事に利用するものは全て台所周りに置けるようにするなど、用途や使用場所に合った収納スペースを確保する工夫も有効です。
現在ある荷物、今後増えると想定される荷物の容量や種類を元に、適切に収納スペースを配置する必要がある場合もあります。
荷物にマッチした収納の容量や配置を決めるのは容易ではない場合が多いですが、リノベーションを専門に扱う会社や建築士などと相談しながら、収納スペースを配置していくことで、過不足なく使いやすい収納スペースをデザインできるでしょう。
リノベーションに合わせて収納を工夫して、室内をスッキリさせたい人は、こちらの参考にしてみてください。
バスルーム
最低限で済ませるなら、浴室のデザイン変更や、カラン・シャワーなどを高機能なものに交換するなどの選択肢があります。築古のマンションならこれだけでも充分快適な住まいが手に入る場合も。風呂床を滑りにくく、冷えにくいものにする、浴室の空調を強化するといった機能を取り入れるのも有効な選択肢と言えます。
暖かいバスルームへのリノベーションを検討している人はこちらも読んでみてください。
自動湯沸かし機能がない古い物件は、ぜひリノベーションの際に設置を検討しましょう。自動湯沸かし機能は20年ほどのうちにほぼ一般化した設備で、お風呂の準備の手間が減る場合があります。また追いだき機能の活用などにより、水の消費も抑えられる可能性があるでしょう。
少し費用をかけてこだわるなら、浴室自体を広げるのも一案です。マンションの浴室は、0.75坪など戸建てよりも狭めに作られている物件がしばしばみられます。少し広げるだけでも快適性が大きく向上すると期待されます。
一方で、水廻りの整備、内壁の施工に加えユニットバスの全交換などが発生するため、浴室を広げる工事の費用は高めになる場合があります。また、浴室にこだわる方の中には、天井から水が降り注ぐレインシャワーやスチームサウナ、ジャグジーの設置などを検討する方もいます。
キッチン
キッチンはまず、リビング・ダイニングとの関係性も踏まえた配置が重要となる場合があります。
壁に面して器具が揃う基本的なキッチンのほか、リビング・ダイニング側に面したカウンター型キッチン、コーナーに配置して動線がコンパクトになるL字型キッチン、使いやすいがスペースを広く取る必要があるアイランド型キッチンなど、さまざまな選択肢が考えられるでしょう。
現代ではキッチン設備のデザインも豊富なので、色みや材質について、内装にあったものを選択してみてください。
キッチンスペースを広めに確保して、食器や食材を収納しても使いやすい構造とする工夫も重要となる場合があります。また、コンロの口数や熱源(ガスかIHか)、シンクと水道の性能などもこだわりポイントです。
古いマンションと比べると、近年のキッチンは大幅に機能性が向上している場合が多いので、リノベーションに合わせて使いやすい設備を導入しましょう。
また、食器洗い乾燥機付き、ディスポーザー付きのキッチンは、以前は高級マンション中心でしたが、現代では一般的な設備の一つになっているケースがしばしばみられます。リノベーションをよい機会として、高性能なキッチンに交換するのも一つの選択肢となるでしょう。
キッチンのリフォームについてはこちらの記事でも詳しく取り上げているので、合わせて読んでみてください。
その他水廻り
トイレや洗面所(洗濯スペース)といった水廻りもリノベーションでの重要な検討箇所となる場合もあります。
トイレは周囲の壁にパイプが走っている、壁が隣の区画と面しているなどの理由で、リノベーションにおいて比較的制約が多い物件がしばしばみられます。それでも、トイレ内部のデザインや便器の一新などは検討できる場合が多いです。
温水洗浄便座など、近年一般化した設備の設置を検討してみましょう。また、トイレットペーパーや衛生用品などの収納場所の工夫も有効な選択肢となる場合があります。スペースに余裕がある場合は、手洗い用の水栓を別に設置する人もいます。
家族が多い場合や高齢者との同居が想定される場合「トイレを増やしたい」と考える方もいますが、これはパイプ配置の関係からハードルが高い物件が多いです。どうしても実現したい場合は、管理会社やマンション組合との相談も視野に入れておいた方がよいかもしれません。
洗面所・洗濯スペースについては浴室・トイレとの位置関係も踏まえて、利便性の高い場所に設置するのが大切な場合もあります。また着替えや洗濯をおこなううえでスペースを充分に確保しましょう。
共働きなど忙しい家庭では、洗面ボウルを2つにするなどの施工を行う場合も。少し費用はかかりますが朝の忙しい時などには便利なので、ニーズがある方は是非検討してみてください。
マンションのリノベーションの注意点
マンションのリノベーションを考える際には、まず施工期間が長期化するリスクがある点に留意しておきましょう。また、リノベーションで全てのニーズが充足できるとは限らない場合もあるので、注意しておきたいところです。
小規模なリフォームにとどめる、新築への住み替えも検討するなど、リノベーション以外の方法とも比較検討しながら、ベストな選択をしていきましょう。
完成に時間がかかる
どのリノベーションでもネックとなりがちなのが、施工期間が長くなって完成まで時間がかかる場合があることです。大掛かりなフルリノベーションになると、まず工事に入るまでの計画や調整に時間がかかります。工事内容によっては工期自体も長くなるかもしれません。
工事内容によっても大きく変わってはくるものの、リノベーションの工期は数ヶ月〜半年程度に及ぶと見ておいた方が良いでしょう。さらに間取り変更など大掛かりな施工を行う場合には、工期の一部の期間をホテルやウィークリーマンションなど外で暮らさなければならない場合もあります。
工期が長くなれば、それだけ生活が不便な時期が続く可能性があります。また、購入した中古物件にリノベーションを施して住もうと考えている場合は、転居の時期が後ずれすることになります。リノベーションにおいて工期の長期化は回避が難しいことが多いので、慎重に計画を立てるようにしましょう。
かえって費用が高くなるリスクもゼロではない
多くのケースではリノベーションは新たに物件を購入するより割安に済みますが、今の物件の面積が広い場合、高層階に位置する場合、施工があまりに大掛かりな場合などには、物件を購入して住み替えるのとあまり変わらない可能性もあります。
特にローンを完済している、完済が近い場合などには、住み替えならマンションの売却資金も購入費用にあてられるため、見た目のマンション価格が高くても、実質的な負担が小さく済む場合も。住み替えた場合とも費用対効果を比較しながら最適な方法を検討してみましょう。
新築には及ばないと感じる可能性も
リノベーションをしたとしても、築年数の経過を完全にカバーできるとはできません。構造上、設備の一新が難しかったり、リノベーションを経てもなお、内装の雰囲気などから築年数の経過を感じてしまう可能性があります。
また、居室内をリノベーションしたとしてもマンションの共用部分や外観は変わらないため、これらの部分の古さが気になってしまう場合もあります。
全てのニーズをかなえられるとは限らない
マンションのリノベーションは戸建てと異なり、施工できる範囲や内容に制限がある場合があります。
次の章で詳しく紹介しますが、マンション全体の構造や管理に支障をきたす内容や、共用部分に影響を及ぼす施工はできない場合が多いです。これらの部分に手を入れないとニーズを満たせない場合には、やはり新築などへの住み替えが有効な選択肢の一つとなるでしょう。
マンションのリノベーションでできないこともある
リノベーションなら費用さえ払えば、希望通りの居室が必ず手に入るかというと、そうはいかない場合もあります。建物が丸ごと自分の所有物である戸建てと異なり、マンションは自分の区画だけが所有物であるため、マンション全体や他の居室に影響を及ぼす施工はできない場合が多いのです。
耐震性の向上
耐震性の向上は、マンション全体の構造に補強しなければならないため、マンションの一区画のリノベーションだけでは実現できません。
日本は地震が多い地域であるため、耐震性を高めたいというニーズはしばしば寄せられます。しかしマンションの場合は、耐震工事は管理組合などを通して大掛かりな修繕が必要な工事となる場合が多いということをおさえておきましょう。
玄関ドアの交換
玄関ドアは一見小さな工事に見えるのですが、多くのマンションではデザインの変更は許容されていないことが多いです。マンションの玄関のドアは廊下側からの外観を統一させるために制限がかけられていて、自分の思い通りのデザインに交換することはできないという物件がしばしばみられます。
ただし、破損・汚損したドアを、マンション全体のドアと同じデザインで新しいものに交換することは可能な場合が多いので、これはマンションの管理組合などに相談してみるとよいでしょう。
パイプスペースの移動
マンションの壁の内側には空調や配水・排水用のパイプが多数走っています。これらを移設するとマンション全体の空調や水道に影響を及ぼすため、許可されない場合が多いのです。
内壁に見える場所にパイプが走っていたり、壁のすぐ内側にパイプがあって簡単な施工ができなかったりといったケースもあるので、あらかじめパイプが走る箇所を確認しながら、リノベーションの計画を進めてください。
サッシの交換
戸建てのリノベーションではさかんに行われるサッシ交換も、マンションの外観が変わってしまうため許可されないケースがほとんど。ドアと同様で、同じデザインの新品に変える程度の相談しかできません。
サッシの交換が前提となる窓枠や窓サイズの変更なども困難なケースが多いです。窓を大きくして彩光を改善したい、シャッターをつけたり、付属のシャッタの色味を変えたいといった工事は、技術的には難しくないのですが、マンションのリノベーションとしてはハードルが高くなります。
不可能ではないが確認が必要な施工も
また、次の施工については全く不可能ではないですが、制限があったり、事前の許可を求められる場合もあります。基本的に大掛かりなリノベーション工事を行う場合には、事前に管理会社や管理組合などに確認したうえで進めるのが良いでしょう。
水廻り設備の移動
水廻りの設備は、先に紹介した通りマンション全体の基幹となるパイプの移設を伴うような移設はできない場合が多いです。そのほか配管の勾配や軌道がうまく設計できない場合、隣や上下の部屋の配管に支障を来たすような移設もできないケースなどもみられます。
間取りの変更
間取りの変更は、内壁を移設する分には自由度高くできますが、居室の外壁への施工はできないため、例えば占有面積を広げるような施工はできない場合があります。また内壁に見えても、耐震性能を維持するうえで移設や壁の撤去ができないといったケースも考えられます。
床材の変更
防音性などの規約が定められている場合があります。近年の床材は多くが防音性を意識しているので、床材の制限によって床のデザインが著しく制限されるリスクは低いものの、高性能な床材を選択してコストが高くつく可能性があります。
マンションのリノベーションの価格目安
リノベーションの価格は間取りや施工内容によって大きく変動します。ここからは価格帯別の施工内容について、パナソニックのWebサイト「マンションのリフォーム費用の相場・目安」で紹介されている事例を元にしながら紹介していきます。
なお、同じ施工内容でもマンションの改装や導入する設備の質などによって費用は増減します。施工業者の工賃も時期や地域によって変わる場合があるなど、費用の変動要因は多数存在します。あくまで目安の一つとして、詳細の費用は施工業者やリフォーム会社に確認してください。
300万円以内での施工事例
300万円以内でおさめる場合、全面リフォームには予算不足となる可能性があります。一方でトイレや、洗面所などのリフォームは数十万円、寝室や個室のリフォームも100万円に収まるケースが少なくないため、複数個所の部分リフォームを実行できる可能性があります。
「大掛かりな工事なし!収納プチリフォームでスッキリ空間」で紹介しているケースでは居室の一部をクローゼットに変換し、壁面収納なども設置することで収納スペースを拡大させています。
その他にもモダンなデザインでの統一を図るなど、居室の多くの部分にリフォームを実行しています。45平米と比較的コンパクトな物件であることもあり、複数個所のリフォームを合計しても約290万円に収まっています。
301万円~600万円での施工事例
一般的なサイズのマンションであれば大がかりな間取りの変換を伴わないリノベーションが視野に入ってきます。「空間別のリフォーム費用相場」によると、各所の施工がこの金額範囲内もしくはそれ以下に収まっているため、リーズナブルな手法を組み合わせればマンション全体のリノベーションも可能に。
一方で、キッチンやリビング・ダイニングは導入する設備や施工規模の大きさによっては、部分的なリフォームでも高額になることがあります。間取りを大胆に変更する、高級設備を導入するといった場合には、全面リフォームにさらに高い予算が必要となる場合も考えられるでしょう。
若干金額はオーバーした例ですが「お身体の弱いお母様をやさしく見守る工夫がいっぱい思いやりマンション」では、約670万円でバリアフリーを意識した全面リフォームを行った事例が紹介されています。和室を撤去してリビングを拡大することで、リビングを日あたりの良い窓側の広々とした場所に移動しています。
さらに食事などの際に負担にならないよう、高齢の親の個室をリビングの隣に設けるなどの工夫を行っています。
601万円~1,200万円での施工事例
こちらの金額帯になると、全面リフォームでもさまざまなプランニングが検討できるようになるでしょう。キッチンや浴室の設備にこだわったり、内壁を一度撤去して大胆なリノベーションを行うなどの工事も選択しやすくなります。
「マンションのリフォーム費用の相場・目安」によると、マンションでのリフォームの90%弱が1,200万円までに収まっていることから、多くのリフォーム、リノベーションがこの価格帯までで実現可能と考えられます。
たとえば「カフェのような空間に機能的な動線をプラス」では、子供の独立に合わせて夫婦二人暮らしにマッチした住環境を実現するために、全面リフォームを実施しています。奥様の希望でカフェ風で白を基調としたデザインに室内全体を統一しています。費用は約956万円です。
また台所はリビングと玄関の土間スペースに通じる2WAY仕様に。買い物やゴミ出しの際にすぐにキッチンと玄関を行き来できるよう、工夫を施しています。
1,200万円~での施工事例
一部大型の物件のリフォームや、大幅な区画変更を伴うリノベーションになると、1,200万円を超える場合もあります。たとえば「夫が定年を迎える夫婦の程よい距離の快適マンションつかず離れず夫と妻のいい関係」の事例は約86平米の居室の全面リフォームに約1500万円の費用がかかっています。
こちらのケースではもともと4LDKだった室内を、2LDKへと大胆に変更。夫婦それぞれが趣味などを楽しみながら暮らせる広々とした個室を整えることで、適度な距離を保つことを意識して設計しています。壁面収納やウォークインクローゼットを各所に設置して、整理整頓しやすい室内を実現しました。
リノベーション・リフォームはパナソニックに相談を
リノベーションやリフォームは設計だけでなく、設備や建材選びも重要になる場合があります。パナソニックでは、リノベーションやリフォームに使用できるさまざまな製品を取り扱っています。詳しい製品はパナソニックの「住まいの設備と建材」をご覧ください。
さらに、パナソニックでは「リフォーム・リノベーションのヒント集」にて住宅リフォームに役立つ情報を多数掲載しています。リフォームやリノベーションで、快適な暮らしを実現するためのヒントをテーマ別にご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
監修協力
亀田 融(かめだ とおる)さん
1級建築施工管理技士/宅地建物取引士/マンション管理士/JSHI公認ホームインスペクター
東証一部上場企業グループの住宅会社に現場監督及び住宅リフォーム事業の責任者として約33年間勤務。その後2015年10月よりホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を立ち上げて運営すると共に、小規模リフォーム会社の顧問としても活動中。