サステナブルな社会を実現するためには、一人ひとりが環境にやさしいライフスタイルを実践することが大切です。ただ、サステナブルな社会とは一体どのようなものでしょうか。
この記事では、サステナブルな社会とその実現、また一人ひとりが実践できる環境にやさしいライフスタイルをテーマに掲げています。身近なところから取り組めるように再生可能エネルギーの活用や太陽光発電の利用など、具体的にわかりやすい視点で解説します。
サステナブルな社会とは
サステナブルとは、日本語で「持続可能」という意味です。国連に採択されたSDGsが注目されてから広く使用されるようになりました。簡潔に説明すると「サステナブルな社会とは、環境破壊や資源の無駄づかいをせず、すべての生き物の生活を守りながら自然豊かな環境を持続させる社会」のことです。
また、SDGsは「Sustainable Development Goals」の略語です。日本語に訳すと「持続可能な開発目標」です。持続可能な環境を次世代へとつなぐため、多くの国や企業がそれも目標に行動計画を立て、SDGsをもとにサステナブルな社会の構築に取り組んでいます。
サステナブルな社会を実現するためには、次の2つのテーマが重要になります。
化石燃料を減らすため、エネルギーの自給自足を目指す
人々の暮らしを豊かにする産業の発展は、これまで化石燃料の使用とともにあったといっても過言ではありません。しかし、化石燃料による発電は膨大なCO2を排出し、地球温暖化を加速させています。2020年度の世界のエネルギー起源CO2排出量は317億トンにも及びました。
また、石炭や石油などの化石燃料には限りがあるため、使い続けたら資源は枯渇します。未来につなぐ持続可能な社会を築くためには、化石燃料から新たにエネルギーを自給自足する仕組みを作る必要があります。そこで注目されているのが、再生可能エネルギーです。
- 参考「2020年度の世界のエネルギー起源CO2排出量」(環境省)
https://www.env.go.jp/content/000098246.pdf
再生可能エネルギーを活用し、CO2排出の削減に取り組む
再生可能エネルギーとは、自然の力を利用したクリーンエネルギーのことです。主に次のような種類があります。
- 太陽光発電
- 風力発電
- 水力発電
- 地熱発電
- バイオマス発電
- その他
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、自然にある資源を活用するため、化石燃料と比較するとCO2排出量が少なく環境に負荷をかけません。近年、さまざまな国や企業によって再生可能エネルギーの開発が進んでいます。ただし、再生可能エネルギーは天候などに左右されるため、安定供給に課題を抱えている点は頭の片隅においておかなければなりません。
- 参考「なっとく!再生可能エネルギー」(経済産業省・エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/index.html
サステナブルな社会には地球温暖化防止が欠かせない
近年、地球温暖化によって人々の暮らしにさまざまな影響が出ています。サステナブルな社会を実現するためには、持続可能な地球環境を残すことは必須条件です。そのために、ここ数年各国や各企業が地球温暖化防止に取り組んでいます。このテーマでは、地球温暖化防止の重要性を紹介します。
地球温暖化防止とCO2削減の関係
まず、地球温暖化の仕組みについて簡単に解説します。温室効果ガスという言葉を聞いたことがありますか。温室効果ガスは大気にある熱を吸収して蓄積し、地表に戻す「温室効果」の性質を持っています。この「温室効果」のおかげで地球の温度が保たれ、人間などの生き物が暮らすことができています。
しかし今、温室効果ガスが増えすぎてしまい、地球温暖化が進んでいます。これ以上地球温暖化が加速するとさらに気温が上昇し、気候変動をまねいてしまう恐れがあります。気候変動は豪雨や干ばつ、乾燥による火災などを引き起こし、重大な災害を発生させる危険性があります。
温室効果ガスの中でも、もっとも排出量が多いのがCO2です。しかも、国ごとのCO2排出量を調べると、中国、アメリカ、EU、インド、ロシア、日本など経済大国と呼ばれる国がほとんどです。地球温暖化防止のためには、人為的に排出されるCO2の削減を行わなければなりません。
身近な課題は化石燃料の使用量を減らすこと
日本でも、石油や石炭などの化石燃料が多く使用されています。なかでも、石油は化石燃料使用の4割を占めています。前述したとおり、化石燃料の多用はCO2を大量排出する上、資源の枯渇につながります。
世界の燃料資源は現在の生産量を前提した場合、石油は約50年、天然ガスは約50年しか持たないといわれています。日本はこれらの化石燃料のほとんどを海外から輸入しており、国際情勢が不安定になると燃料価格が高騰することは避けられず、たとえば電気代が上昇するようなことが起こります。
限りある資源を有効活用するためにも、これからは化石燃料の使用を減らし、自分たちでエネルギーの自給自足を目指すことが求められています。
- 参考「世界のエネルギー資源確認埋蔵量ほか」(関西電力)
https://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/nowenergy/world_energy.html
身近なところから取り組む化石燃料の使用量削減
このテーマでは、身近に取り組める化石燃料の使用削減方法を紹介します。化石燃料の使用量削減は環境にやさしいライフスタイルの実践にも通じます。
日常から実践できるCO2排出削減の取り組み
日常で実践できるCO2排出削減には、次のような取り組みがあります。
- 再生可能エネルギーを有効活用する
- 省エネに取り組む
- 電気自動車(EV)に切り替える
- プラスチックを減らす
・再生可能エネルギーを有効活用する
再生可能エネルギーといえば、身近なところに太陽光発電があります。住宅に太陽光発電システムを導入することで、電力の自給自足が可能です。実は、電力会社による電力供給は化石燃料を使用した火力発電に頼っているため、CO2の排出につながっています。
もし自宅で太陽光発電による電力の自給自足が実現できれば、CO2排出が削減でき、地球環境に大いに貢献できます。もちろん、太陽光発電がまったくCO2を排出しないわけではありません。 ただ、化石燃料は1kWhあたり約690gのCO2を排出しますが、太陽光発電は1kWhあたり17~48gほどしか排出しないといわれています。
- 参考「太陽光発電の温室効果ガスの排出量について」(産総研)
https://unit.aist.go.jp/rpd-envene/PV/ja/about_pv/feature/feature_1.html
・省エネに取り組む
新たなエネルギーの自給自足を目指すと同時に、現在使用する化石燃料を枯渇させないために「省エネ」を実践することも急務です。化石燃料の省エネはCO2排出の削減にも通じています。
例えば、ZEHの導入、省エネ家電を買うなどの取り組みが挙げられます。一人ひとりが問題意識を持ち、多くの人が省エネを実践すれば大きな成果が得られます。
- 参考「省エネって何?」(経済産業省・自然エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/what/
・電気自動車(EV)に切り替える
現在、世界的に電気自動車(EV)が急速に普及しています。電気自動車(EV)は電力を燃料として走行する自動車なので、ガソリンを必要としません。また、走行時のCO2排出量が少ないため、エコカーとしても注目されています。電気自動車(EV)については国や自治体が補助金制度を設けるなど普及に力を入れています。ほかにも、全国各地に電気スタンドを設置するなど電気自動車(EV)の使用環境の整備が進んでいます。
・プラスチックの使用量を減らす
プラスチックは石油から製造され、製造過程で多くのCO2を排出します。また、廃棄の過程でも膨大なエネルギーを必要とし、さらに多くのCO2を排出してしまいます。日本のプラスチックによるごみの廃棄量は2022年度世界第2位でした。
プラスチックの使用量を減らすことはCO2排出量の削減につながります。例えば、レジ袋の使用を止めてマイバックを持ち歩く、食品トレーを使っていない商品を購入するなど、一人ひとりが日常生活の中で心がけたら実践できることは数多くあります。省エネと同様、個々の意識が大切です。
- 参考「日本人のプラごみ廃棄量は世界2位。国内外で加速する「脱プラスチック」の動き」(日本財団)
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/79985/sustainable
太陽光を利用した住宅設備でサステナブルな生活を実践する
自宅に太陽光発電システムを導入することも、環境にやさしいライフスタイルの実践の1つです。このテーマでは、太陽光発電導入がもたらすメリットを紹介します。
住宅設備を整えたらエネルギーの自給自足が実践できる
自宅で実践できるエネルギーの自給自足には、主に次の3つの方法があります。
- 太陽光発電による電力供給
- 蓄電池による自在な充放電
- 電気自動車(EV)による電力の有効活用
1.太陽光発電による電力供給
太陽光発電システムを導入することで、自宅で電力を生産することが可能になります。生産した電力をそのまま家庭に使用できれば、電力会社から購入する電力を減らすことができます。太陽光発電は再生可能エネルギーを活用した電力の自給自足システムのため、CO2排出量が少なく、環境にかける負荷は小さく済みます。
また、災害による停電が発生しても家庭内に電力の供給ができます。また、余剰電力が出た場合は売電することで収入を得ることができ、家計を助けてくれます。
2.蓄電池による自在な充放電
太陽光発電は蓄電池を同時に導入すれば、電力を蓄電しておくことができます。蓄電池は電力を自在に充放電させられる機器のため、太陽光発電で生産した電力を有効に活用することが可能になります。
ここ数年は電気代の削減方法として、もし蓄電できる環境が整っていれば電気代が高い昼間に電気代が安い夜間の電力を回せたり、余った電力を夜に使用したりできます。太陽光発電と一緒に蓄電池を設置すれば、使い方の選択肢を増やすことが可能です。
3.電気自動車(EV)による電力の有効活用
電気自動車(EV)のバッテリーを蓄電池として利用する方法もあります。電気自動車(EV)のバッテリーは住宅用蓄電池と比べると大容量のため、災害などによる停電時にも長時間電気を供給することが可能です。
2019年の台風15号による被害が出た際には、自動車メーカー各社が電気自動車(EV)を派遣し、千葉県被災地を支援した事例があります。電気自動車(EV)を通して携帯電話やエアコン、扇風機、冷蔵庫、照明などへの電力供給を行い、長引く停電生活を支えました。
蓄電池と電気自動車で家じゅうバックアップ
蓄電池・電気自動車の電気を利用し、停電時バックアップが可能です。
また、電気自動車を外出に利用している場合は、蓄電池からバックアップします。
ただし電気自動車(EV)を住宅用の蓄電池として利用するには、V2Hを導入することが条件になります。V2Hとは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに貯めている電力を、自宅で使えるようにする機器です。つまり、電気自動車(EV)と住宅との間で双方向の電気のやりとりが可能になるため、最近その利便性の高さから注目されています。
- 参考「災害時には電動車が命綱に!?xEVの非常用電源としての活用法」(経済産業省・自然エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/xev_saigai.html
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