『V2H』とは?仕組みや機器などの基礎知識と導入のメリットをご紹介

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V2H

電気自動車(EV)の普及を肌で感じるようになってきた昨今、それを有効活用する手段としてV2Hの注目度が高まっています。

「名前は聞いたことがあるけど、どんなものかは知らない」
「電気自動車(EV)に買い替えるのでV2Hのこと、EV充電設備との違いが知りたい」

この記事では「V2Hとは何か?」をはじめ、仕組みや機器に関する基礎知識、導入した際のメリットなどをわかりやすく解説します。

V2Hとは?

V2Hとは「Vehicle to Home」の略称です。直訳すると「クルマから家へ」という意味です。具体的には、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに貯めている電力を、自宅で使えるようにする機器をV2Hといいます。

つまり、V2Hを導入すると電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を住宅用蓄電池として活用することができます。

通常、EV充電設備とは家庭用の電力を電気自動車(EV)へと給電する機器のことで、電気自動車(EV)の電力を自宅に送り込むことはできません。V2Hは電気自動車(EV)の電力を自宅に給電できるようにすることで、例えば「災害時の備え」を可能にしました。

近年の電気自動車(EV)は航続距離が500~600kmまで伸びるほどに、バッテリーの大容量化が進んでいます。この高機能も走行していない時間は宝の持ち腐れです。そこで、V2Hがあれば電気自動車(EV)の電力エネルギーを効率よく使えるようになります。

V2Hシステムの特徴、他機器との違い

V2Hシステムは具体的にどんな特徴を有しているのでしょうか。このテーマでは、V2Hシステムの特徴、住宅用蓄電池やEV充電設備との違いについて紹介します。

V2Hシステムの特徴

V2Hの特徴はEV充電設備の機能に加え、電気自動車(EV)を蓄電池として利用できる機能を備えている点です。住宅用蓄電池とEV充電設備をそれぞれ設置すると、2つの機器の費用がかかる上、工事の時間と費用がかさみます。V2Hを選べば機器が1つで済み、工事の時間と導入費用が抑えられます。

また、V2Hには太陽光蓄電池連系タイプと単機能タイプの2つがあります。太陽光蓄電池連系タイプには家庭用、太陽光発電、電気自動車(EV)の電力をより効率的に使うための制御機能があります。わかりやすく伝えると、家庭での電力の使い方などの情報を記録し、電気自動車(EV)の充放電量や太陽光発電の電力の消費・売電・充電を自動的に最適化してくれます。

EV充電設備との違い

V2HシステムとEV充電設備との違いはバッテリーの電力を家で使えるかどうかです。どちらも電気自動車(EV)の充電ができますが、EV充電設備はV2Hのようにバッテリーの電力を家へ給電することができません。

住宅用蓄電池との違い

V2Hと住宅用蓄電池との違いは、電気自動車(EV)に直接充電ができるかどうかです。どちらも貯まっている電力を家で使えますが、住宅用蓄電池は定置型のため、家庭内にしか電力は供給できませんが、電気自動車(EV)は移動先でも電気の使用が可能です。

V2Hと住宅用蓄電池のもう1つの違いはバッテリーの容量です。住宅用蓄電池は大容量モデルでも10kWh超ほどになりますが、V2Hはバッテリーが20~70kWhの容量になっています。

太陽光発電と連携できる

V2Hは太陽光発電と連携が可能です。両方セットで使用すると、より効率的に電力を使えるようになります。例えば、太陽光発電の電力を活用し、電気自動車(EV)を充電することができます。また、家で使いきれなかった太陽光発電の電力を、V2H経由で電気自動車(EV)に貯めておくことも可能です。

CO2を排出しない太陽光発電の電力で電気自動車(EV)を充電し、クリーンなエネルギーで自動車を走らせることで自然環境にやさしい生活ができます。

V2Hには2タイプある

V2Hには、大きく太陽光蓄電池連系タイプと単機能タイプの2種類があります。主な違いは電気自動車(EV)から家へと給電する際に、系統や太陽光発電の電力が家で同時に使えるかどうかです。

太陽光蓄電池連系タイプ

太陽光蓄電池連系タイプでは、太陽電池、蓄電池、電気自動車(EV)が連携します。太陽光発電による余剰電力がある場合、電気自動車(EV)、蓄電池に充電、さらに余った電力は売電します。これにより、余剰電力をより有効活用することができます。この時、太陽光発電からの電気は、パワーステーション→V2H→電気自動車(EV)と交流に変換されることなく直流のまま使用できるので、変換ロスが少ないのも特徴です。また、昼間に電気自動車(EV)がない場合でも、昼間、蓄電池に貯めたクリーンな電力を放電することで、電気自動車(EV)を充電できます。

単機能タイプ

単機能タイプは、電気自動車(EV)と家庭内を繋ぎます。太陽電池と連系できるものもありますが、太陽光で発電した直流の電気を一度パワーコンディショナで交流 に変換してからV2Hで直流に変換し、電気自動車(EV)に充電するため太陽光蓄電池連系タイプより変換ロスが多く発生します。太陽光発電の電力を最大限有効活用するのであれば、太陽光蓄電池連系タイプがおすすめです。

V2Hシステムを導入するメリット

V2Hシステムを導入すると、非常時の備えや経済的なメリット、使い勝手などさまざまなメリットがあります。このテーマでは、V2Hのメリットについて3つ紹介します。

1.災害·停電時のトラブル回避

V2Hがあれば、電気自動車(EV)を災害発生時の非常電源として活用することができます。日本は台風や地震などの自然災害が多く、停電のリスクが低いとはいえませんので心強い存在です。

また、近年は平常時も電力逼迫による計画停電を各電力会社が実施することも想定されます。電気自動車(EV)のバッテリーは、住宅用蓄電池より蓄電容量が大きく、電気自動車(EV)の車種や電力の使い方にもよりますが、停電しても数日間電力を使用することが可能です。

太陽光蓄電池連系タイプなら太陽光発電も活用できるので、日中に発電した電力を貯められるため、より安心感が高まります。

2.電気代の節約

電気自動車(EV)を住宅用蓄電池として使えるV2Hは、夜間の安い深夜電力を充電し、昼間に放電できるので電気代の削減効果が期待できます。ここ数年、電気料金は値上がりを続けているので、V2Hに注目が集まっています。

また、太陽光蓄電池連系タイプのV2Hは太陽光発電を組み合わせると電気代の節約効果がより向上します。日中に使い切れなかった太陽光発電の電力を電気自動車(EV)に充電することができます。さらに太陽光発電が発電できない時間帯、曇りや雨の日に電気自動車(EV)に貯めた電力を使うという選択肢が増えます。

このようにV2Hと太陽光発電の相性のよさを認識できれば電力を有効活用し、電力購入量を減らすことで電気代の節約につながります。

以前は売電一択だった太陽光発電も、売電単価の下落や電力料金が値上がりで、今は使い切る方が経済的に賢い選択肢になってきています。電力を無駄なく効率的に使いながらランニングコストを削減できるでしょう。

3.充電スピード

V2HのメリットはEV充電設備の普通充電器より充電スピードが速く、短い充電時間で電気自動車(EV)を充電できる点です。V2Hは出力6kWと200V普通充電器3kWの2倍あるので、充電時間がおよそ半分で済みます。普通充電器で16時間かかる充電が、V2Hなら8時間に短縮される計算です。

導入前に知っておきたい機器のこと

まず、V2Hを導入する前に機器そのものに関する情報のポイントに触れておきます。実際に購入してしまった後、契約してしまった後に「遅かった…」と後悔しないようにしましょう。

V2H機器

V2H機器はメーカーやモデルによって性能や価格が異なります。太陽光蓄電池連系タイプと単機能タイプだけでなく、電力を家全体で使える全負荷と指定エリアのみ使える特定負荷も選択肢の1つです。また、アプリが用意されているV2H機器は電気自動車(EV)への充放電時間の設定や稼働状況の確認をスマートフォンで操作することができます。

費用については機器の価格だけでなく、設置施工費用も踏まえたトータルコストを把握しておく必要があります。いくつかの施工会社から見積をとり、価格相場を把握しながら進めるのがベターでしょう。

V2H対応車種

V2Hはすべての電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に対応しているわけではありませんので、事前にV2H対応車種であるかどうかを確認することが必要不可欠です。対応車種かどうかは各メーカーがホームページに公開しています。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)とセットでV2Hの購入を検討されている場合は、事前にチェックしましょう。

充電口の違い

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)には充電口が2つあり、V2H・急速充電器と普通充電器では差し込む充電口が異なります。普通充電器は普通充電口に差し込みますが、V2Hは急速充電口を使います。間違って普通充電口に差し込むと、故障などトラブルの原因になりかねないので注意しましょう。

すでに太陽光発電システムを設置している場合のパワーコンディショナについて

すでに太陽光発電システムを設置している自宅にV2Hを増設する場合、太陽光発電のパワーコンディショナを取り替えるのか、そのまま残して使うのかを検討しなければなりません。(パワーコンディショナとは太陽光発電の直流電気を交流電気に変換する機器のことです。)

太陽光蓄電池連系タイプのV2Hであれば、既設の太陽光発電パワーコンディショナを取り外し、V2H対応のパワーコンディショナに取り替えが必要になります。

取り替えることで太陽光発電の電力、電気自動車(EV)、系統電源を連携させ、自宅の電力を総合的にコントロールします。単機能タイプのV2H場合、既設のパワーコンディショナはそのまま利用し、V2Hの増設が可能になりますが太陽光発電と連携することはできません。

設置場所について

V2Hの設置場所については、停車する電気自動車(EV)との位置関係や設置スペースを考えて決めることが重要です。ケーブルの長さや電気自動車(EV)の充電口の位置によってはケーブルの取り回しに苦慮したり、通行の邪魔になったりしかねません。

また、設置スペースが十分でないとV2H機器のメンテナンスができないケースも発生します。V2Hの設置場所を安易に決めて後悔しないように注意しましょう。

機器の保証年数について

V2Hの保証年数はメーカーやモデルによって異なるため、注意が必要です。初期不良や機器の不具合があった場合、メーカーが調査、修理・交換などの対応をとるので保証年数が長いに越したことはありません。

主要なメーカーのV2Hの機器保証の年数は短くて5年、一般的には10~15年となっています。電気自動車(EV)と一緒に長く付き合う機器になりますので、保証年数はV2H選びの必要項目に含めることをおすすめします。

V2Hシステム導入時に必要な工事と初期費用

V2Hシステムの導入にあたり、工事や初期費用が必要になるので事前に把握しておく必要があります。このテーマでは、V2Hの工事や初期費用、メーカー保証など導入時のポイントを3つ紹介します。

初期費用の用意

V2H導入時に気になるのは、やはり初期費用です。メーカーやモデルにもよりますが、V2Hの機器費用だけで数十万円ほどかかります。当然、設置工事は別費用になりますので、決して安い買い物ではありません。

電気代の節約などランニングコストを削減できるメリットがあるとはいえ、初期費用の負担はできる限り抑えたいところです。そこで、1つの手段としてV2H補助金があります。2023年度も引き続き、国の「CEV補助金」でV2Hは補助対象となっており、地方自治体によってもV2H補助金を設けている場合があります。

CEV補助金では、機器費用の最大75万円、工事費の最大40万円の補助が出る可能性があるので、一度検討してみましょう。なお申請期間中でも早期終了するケースがあります。補助金対応モデルのチェックなど、早い段階から事前の情報収集を心がけましょう。

初期工事の期間

V2Hの初期工事でかかる期間ですが、数日ほどです。工事内容はシンプルで、基礎を設置した後にV2H本体の設置を行い、配線工事、動作確認をして完了です。

ただし、初期工事を行う事前準備には時間がかかる点は理解しておきましょう。具体的には、施工会社の現地調査から契約の取り交わし、補助金や電力会社への申請などが挙げられます。現地調査ではV2Hの機器の設置場所や、配線の取り回しなどを確認した上で、設置可能かを判断します。

その上で、施工会社からの見積内容に納得できれば契約となり、補助金・電力会社への申請、そして実際の工事へと進みます。

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