【ママFP大竹のり子が徹底解説】家選びや家計の見直しで、電気代などの生活費を抑えて将来に備える秘訣

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コラム

「将来的には戸建てを」「そろそろ戸建てを」と考え始めた時、まず取り組むことは家計の見直しです。最近は電気代の上昇やガソリン代の高騰など生活に関するさまざまなものが値上げされています。

 

出費が増えている今だからこそ戸建て購入に備えて貯蓄、また購入後の家族の暮らしを見据え、生活費を総点検しましょう。そのポイントになるのが「安定的、かつ長期的な生活費の削減」です。

 

そこで、この記事では戸建てプランニング時に考えられる生活費削減の方法を、家計を支えるママFP(ファイナンシャルプランナー)の大竹のり子さんが解説します。

まずは生活費の全体像を把握する

生活にかかるお金には、変動費と固定費があります。変動費とは、食費、交通費、被服費、娯楽費のことで、毎月変動する出費です。固定費は光熱費、通信費、住居費、保険料のことで、車を所有している場合は車の維持費も含まれます。

 

生活費の見直しを考える場合、節約できる部分の出費を抑えていくこととなりますが、例えば、食費や娯楽費など「自分が我慢すれば節約できる」と変動費の見直しから取りかかる人が多く見られます。ただ、それだと長続きしません。

実は、家計を見直して生活費を抑えるには、3つのポイントがあります。

  • 家計の支出に占める割合が大きな部分から着手すること
  • 我慢が不要なものから着手すること
  • 効果が持続するものから着手すること

つまり、家計の支出を占める絶対額が大きく我慢が不要で、一度手を打てば効果が持続するものから優先的に見直しをしていくことが、コスト削減を実現するためのポイントです。

 

また、子どもの成長に合わせて食費も教育費も増えていきます。特に教育費は高校卒業以降まとまったお金が短期間で必要になることを考えると、子どもが小さいうちから目の前の教育費を払いつつ、将来に備えて教育費を貯めていくことが必要になります。

 

文部科学省の調査によると、幼稚園から大学まですべて公立の場合は約7,740,000円、すべて私立の場合は約22,280,000円かかっています。今後のために先回りして、出費を抑える効果が持続する削減方法を採用しましょう。

生活費を抑えるには固定費の削減が重要

家計の支出を占める絶対額の大きいものとして挙げられるのが、光熱費、通信費、保険料、住居費、車の維持費です。つまり、固定費が見直すべき対象だとわかります。固定費は一度見直すと効果が持続するものでもあるため、安定的かつ長期的に生活費を抑えるには、これら固定費の見直しがポイントになります。それぞれどのような見直しが考えられるでしょうか。

・住居費

賃貸物件に居住中であれば、マイホームを購入することで月額家賃よりも毎月の住宅ローン返済額を少なくできるなら、購入を検討すべきかもしれません。また、マイホームを所有している場合は住宅ローンの借り換えも選択肢の1つです。

・光熱費

ガスと電気の場合、プランの見直しなど節約につながる選択肢が多いのは電気です。戸建て購入時にオール電化を検討するだけでなく、太陽光発電や蓄電池を導入すると、さらにコスト削減が見込めます。

・通信費

家計に占める割合が年々増えているのが通信費です。総務省の調査によれば、2020年の携帯電話代の年間平均額は104,192円となっています。契約プランの見直しや格安SIMへの乗換で、家族全員で通信費を削減するための工夫が可能です。

・保険料

掛け捨て型か貯蓄型かによって異なりますが、近年は安い保険料でも保障がしっかりしている商品もあり、各保険会社の商品は目まぐるしく進化しています。家族の状況に適した内容で保険料を下げられる商品がないか、その時々で検討する価値はあります。選び方によっては保険料を大幅に削減できることもあります。

・車の維持費

ガソリン代が年々高騰していることもあり、燃料費だけを比べると10,000km走行の場合はガソリン車より電気自動車(EV)の方がコストを抑えられます。買い換えの場合、はじめに出費はありますが、税制優遇制度や補助金を上手に活用できれば、長い目で見るとコスト削減になります。

このように固定費それぞれに工夫できるポイントは多々あります。その中でも、見逃せないのが光熱費です。家庭の中で電気を使う機器が増えたり、リモートワークによって自宅の使用電力量が増えたり、猛暑のよってエアコン使用時間が長くなったりと、光熱費は近年さらに上昇の傾向にあります。

また、世界的に車の動力はガソリンから電気へとシフトしつつあるため、生活全般で考えると電力の使用は増える一方です。今後も電気代は上昇する可能性が高いため、家計を占める電気代の割合はそのままにしておくと増えていきます。

つまり、光熱費を抑えることは長期的な生活費削減の最重要ポイントだといえます。

電気代はどのくらい値上がりしている?

近年、燃料価格の高騰により、各電力会社が電気料金を値上げしています。

それぞれの電力会社は2023年度に14~42%の値上げを予定しており、地域によっては昨年と比べて1か月あたりの電気代が数千円増えているところもあるほどです。データによると、東京の場合2010年と2020年では電力単価が20%増加しており、2030年までにはさらに18%上昇するともいわれています。

そこで、電気代を抑える方法として「電力会社から買っている電気をどう抑えるか」という部分まで考える必要があります。最近は太陽光発電システムを導入し、自分で電気をつくる、使う、売る、貯めるといった新たな選択肢が登場しています。戸建て購入時には、長いスパンで電気代の節約を考え、それらの導入を検討しましょう。

光熱費を大きく削減できるのは「電気代」

ここまで話したとおり、光熱費の削減に効果があるのは電気代の見直しです。そして、戸建て住宅を検討する場合、電気代を大幅に削減できる方法があります。それは太陽光発電や蓄電池を導入することです。

1.太陽光発電はどれくらい電気代を抑えられるか?

太陽光発電は太陽光で電気をつくり、それを自宅で使用する装置です。太陽光発電を導入することによって電力会社から購入している電力量が減らせるため、電気代を抑えることができます。

経済産業省のデータによると、日本における平均年間発電量は、太陽光発電の容量1kWにつき1,215kWhです。全国的な住宅用太陽光発電の平均積載量は約5kWなので、容量5kWの太陽光発電を使用すると、年間で平均6,075kWhの電気を発電できることになります。

同じく経済産業省のデータでは、発電した電力のうち、売電されるのは約69.4%、自家消費されるのは平均で約30.6%なので、電力会社から購入する電力量を年間で約30%減らすことができます。しかも、導入した太陽光発電で生産した電力を販売した収入があるため、年間の電気代は大幅に抑えることができます。

2.住宅用蓄電池を購入するとどれくらい電気代を抑えられるか?

住宅用蓄電池とは、貯めた電力を自在に使うための設備です。太陽光発電は電気をつくることはできますが、蓄電することはできません。蓄電池を同時に導入することで、自分が使いたい時に電気を使用することが可能になります。蓄電池を設置した場合、次のような使い方ができます。

  • 太陽のある昼間に太陽光発電の余剰電力を貯めておいて夜間に使う
  • 夜間の安い時間帯に電力を買って蓄電し、昼間の高い時間帯にその電力を使う

ここで、太陽光発電と蓄電池をセットに導入した場合、蓄電池のみを導入した場合、どのくらい電気代が削減できるか紹介します。

まず、太陽光発電と蓄電池をセットで導入した場合、日中は太陽光発電の電力を使い、夜は蓄電池に貯めておいた余剰電力を使用するため、電力会社からの電力購入を減らすことができます。

また、蓄電池だけを導入した場合、電気代が安い夜間電力を貯めておき、昼間に使うことで電気代が高い時間帯の電力を減らせるため、トータルで電気代を抑えられます。ちなみに「パナソニックの光熱費シミュレーション(エネピタ)」で、4人家族の新築戸建に太陽光発電と創蓄連携システムを導入した場合の1か月あたりにどのくらい光熱費が削減できるかを算出すると、15,347円削減できる見込みになりました。

年々高騰する電気代に対策を講じる手段として、太陽光発電とともに蓄電池の導入は1つの選択肢になります。

  • 参考「パナソニックの光熱費シミュレーション | エネピタ」(Panasonic)
    https://www2.panasonic.biz/jp/souchikuene/enepita/
  • シミュレーション条件/家族構成:4人/地域:東京/間取り:4LDK/太陽電池容量:240W ×42枚 = 10.08kW/創蓄連携システム:蓄電容量 5.6kWhなど

3.電力関連の設備投資は補助金を活用し、初期投資を削減

いくら電気代が抑えられるといっても、導入コストがかかります。ただ、太陽光発電や住宅用蓄電池の導入については、国や自治体が補助金制度を設けています。これらを活用すれば初期コストを抑えられるため、導入のハードルが下がります。さらに、長期的なスパンで考えると初期コスト回収も可能な上、それ以降は電力を自給自足できることになります。

将来的に電気自動車(EV)への買い換えも想定される

世界では、脱炭素社会に向けてエネルギーシフトへの取り組みが進められています。その中では、自動車も対象です。化石燃料を使用し二酸化炭素を排出するガソリン車やディーゼル車から、電気を動力源として二酸化炭素の排出を減らせる電気自動車(EV)へシフトする動きが活発になっています。

2015年に開催されたCOP21でパリ協定が採択され、地球温暖化を抑制するために温室効果ガスの排出削減が各国に求められることになりました。これを受けて日本では「2050年カーボンニュートラル」を目指すことが宣言されました。その後、制定されたグリーン成長戦略では、2035年までに乗用車の新車販売で電気自動車(EV)100%の実現が目標設定されています。

近い将来、電気自動車(EV)への買い換えを選択する人が増えていきます。これを考えると、太陽光発電と住宅用蓄電池の導入を検討する場合、電気自動車(EV)を購入することをセットで計画した方が、より電気代のコスト削減につながります。

1.V2H導入も選択肢に持っておく

電気自動車(EV)への買い換えを検討する際、さまざまな観点でコスト削減を実現するにあたり、最近注目されているのがV2Hです。V2Hの特徴の1つとして、電気自動車(EV)のバッテリーに貯めている電力を自宅でも使用できる機能を持っています。

つまり、V2Hがあれば電気自動車(EV)を蓄電池として利用することができます。電力会社から購入した電力だけでなく、太陽光発電でつくった電力を電気自動車(EV)のバッテリーに蓄電し、それを自宅で使いたい時に利用することが可能です。

電気自動車(EV)とV2Hをセットで導入すれば、災害などによるや停電時に備えられるメリットも生まれます。戸建て購入のタイミングで太陽光発電を検討するなら、少し先を見据えてV2Hの導入も考えることをおすすめします。

2.電気自動車(EV)を蓄電池利用した場合、節電も可能

V2Hがあれば電気自動車(EV)を利用し、「太陽光発電による電力を昼間に貯めておいて夜間に使う」「電力会社から夜間に安く購入した電力を昼間に使う」ことが可能になります。長いスパンで見れば、これはかなりの節電効果が見込めます。

例えば、太陽光発電だけで自宅での使用電力をまかなえたなら、電気自動車(EV)の性能を有効活用した「電力の自給自足」が可能になります。

3.戸建て計画時に電気自動車(EV)の導入を想定すれば、家の美観を損なわない

V2Hは後付としての導入もできますが、せっかくであれば戸建て購入時に一度導入の検討することをおすすめします。その理由は後から導入すると追加工事が発生し、無駄な工事コストが発生するだけでなく、新しい家に不要な傷をつける可能性もあるからです。

電気自動車(EV)への切り替えはますます進むので、戸建て購入を検討するタイミングで初期投資にかかる工事とコストを調べ、光熱費の生涯コストの削減まで考えられたら新しい家とともに快適な生活をスタートできます。10年先のことまで先回りし、将来設計することが生活費を抑え、快適に生活することにつながります。

監修

大竹のり子

FP(ファイナンシャルプランナー)大竹のり子

娘2人のママ。金融専門編集者を経て2001年にFP(ファイナンシャルプランナー)として独立。2005年に「女性のためのお金の総合クリニック」として株式会社エフピーウーマンを設立。代表取締役に就任。現在、会社を経営するかたわら、雑誌連載・ラジオ出演など幅広いメディアで活躍。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)など著書多数。

資格CFP®認定者(日本FP協会認定・国際資格)、1級FP技能士(国家資格)

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