電気自動車(EV)を自宅で充電するには?充電タイプや設備などの基礎知識、メリットをご紹介

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最近、電気自動車(EV)の普及が進み、購入を検討している人もいるのではないでしょうか。そこで把握しておきたいのが、自宅での電気自動車(EV)の充電方法です。電気自動車(EV)の燃料補給はガソリン車と違い、自宅で充電できるのがメリットとなっています。

とはいえ、充電設備もいくつか種類があるため、どのような違いがあってどれを選ぶべきか悩むところです。この記事では、電気自動車(EV)を自宅で充電する上で必ず知っておきたい基礎知識、メリットや初期費用、工事内容について解説します。

コストだけではない!電気自動車(EV)の自宅充電のメリット

電気自動車(EV)を自宅で充電できれば、さまざまなメリットがあります。

手軽に充電できる

電気自動車(EV)を自宅で充電できると公共の充電スタンドまで出向く必要がなくなり、とても便利です。ガソリン車は自宅で給油できないので、燃料が少なくなるとガソリンスタンドに行かなくてはなりません。

電気自動車(EV)もガソリン車と同じように燃料補給を公共の充電スタンドなど外出先で済ませようとすると近隣になかったりして、事前に充電スポットを調べる手間がかかります。ただ電気自動車(EV)の大きなメリットは、自宅で充電できる使い勝手のよさといえるでしょう。

自宅に充電設備がある場合、駐車している間、また夜寝ている間に充電することができます。毎日充電しておけばエネルギーの残量を気にせずに済み、エネルギー補給のために外出する時間も削減されて生活時間を有効活用できます。

ガソリン代より安い

ガソリン代と比べると、電気自動車(EV)の電気代の方が安く抑えられる点も自宅充電のメリットです。近年は燃料費の高騰を受け、ガソリン代が値上がりを続けています。

電気代も値上がりをしているとはいえ、電気自動車(EV)は深夜帯の割安な電気を活用できるため、ガソリン代よりも燃料代を安く抑えられます。具体的にどれくらいの差があるのでしょうか。「年間1万km走行する」と仮定して、双方の燃料代を比べてみます。

【ガソリン車の燃料代/年間1万km走行の場合】

  • 一般的な普通乗車で燃費13Km/ L
  • ガソリン代183.7円/L ※1(2023年8月時点の調べ)

計算すると、10,000km÷13km×183.7円/L=約141,300円

【電気自動車(EV)の自宅での充電費用/年間1万km走行の場合】

  • 一般的な電気自動車(EV)で燃費6km/kWh
  • 電気代28.4円/kWh ※2(2023年8月時点の調べ)

計算すると、10,000km÷6km×28.4円/kWh=約47,330円

比較すると1年間で約3倍、金額にして約9,4000円もの差があります。現時点のデータですが、5年乗れば約47万円、10年でおよそ約94万円もの違いが出るので、電気自動車(EV)のランニングコストがどれだけ抑えられるかが把握できます。

補助金でお得に導入できる

電気自動車(EV)の自宅充電のメリットとして、補助金を利用してお得に導入できる点が挙げられます。充電設備の導入には費用がかかりますが、補助金を利用することで初期費用の負担軽減が可能です。

補助金によっては機器費用はもちろん、工事費用にも助成金が出る制度もあります。後述しますが、充電設備としてV2Hを導入する場合にも補助金が用意されているのでおすすめです。

自宅充電設備の購入を検討する場合は、それぞれの自治体の補助金を利用できるかをチェックしましょう。

コンセントだけ?電気自動車(EV)の自宅充電に必要な設備

自宅においての電気自動車(EV)の充電と聞くと、真っ先に思い浮かべるのがコンセントタイプの設備ではないでしょうか。コンセントタイプも自宅充電設備の1つですが、それだけではありません。このテーマでは、電気自動車(EV)の自宅充電に必要な設備について説明します。

充電タイプは3つある

自宅で使用できる電気自動車(EV)の充電設備は、次の3つのタイプがあります。それぞれの設備の概要と特徴をチェックしましょう。

1.コンセントタイプ

コンセントタイプは基本コンセントプラグの差込口のみ電気自動車(EV)専用のものに取り替える簡易的な充電設備です。コンパクトで場所をとらず、機器コストも安価です。充電する時には車載の充電ケーブルを電気自動車(EV)の充電口とコンセントタイプの差込口の双方に差し込んで使います。

コンセントタイプには、住宅の壁面に設置するコンセントのみの設備のほか、自立型のポールタイプの設備があります。また、電力を100Vと200Vの2つから選択できます。充電パワーの小さい100Vは200Vより充電時間が2倍以上かかるため、基本的に電力は200Vを採用することがほとんどです。

2.スタンドタイプ

スタンドタイプの特徴は、建物と駐車場が離れている場合によく使われる便利な充電設備です。スタンドタイプには2種類あり、プラグに電気自動車(EV)のケーブルで充電するタイプとあらかじめ充電設備に充電ケーブルが搭載されているものがあります。充電ケーブルを装備していると車載ケーブルを取り出す必要がなく、充電用コネクタを車に差し込むだけで充電ができます。

住宅の壁面に設置するタイプ、自立型タイプ、カーポートと一体になったものなど、各家庭の自宅事情に合わせた製品を選ぶことが可能です。スタンドタイプにもコンセント仕様のものもあります。

3.V2Hタイプ

コンセントタイプやスタンドタイプに、プラスαの機能が加わった充放電設備がV2Hタイプです。V2Hは「Vehicle to Home」の略称で、日本語にすると「クルマから家へ」という意味になります。具体的には電気自動車(EV)の充電に加え、その電力を自宅でも使えるように変換できる設備です。V2Hがあると家と電気自動車(EV)の双方向で電力のやりとりができるようになります。

例えば、走行しない時間は電気自動車(EV)を大容量のバッテリーとして有効活用し、自宅の電力として使用できるとあってV2Hは注目度が高まっています。また、自宅に太陽光発電を設置している場合、太陽光蓄電池連系タイプのV2Hなら太陽光発電の電力を電気自動車(EV)に充電することが可能となり、電力会社から買う電気を抑制できます。もちろんパナソニックにも太陽光発電に対応したV2Hがあります。

なお、V2Hを利用するには、電気自動車(EV)が対応車種であるかどうか事前に確認が必要になるので注意しましょう。

充電環境の整備に必要な基本設備

自宅に電気自動車(EV)の充電環境を整えるためには、EV充電設備を用意して完了ではありません。充電設備専用ブレーカーや、充電設備へ接続する配線も必要になります。充電設備専用のブレーカーは主幹ブレーカーから分岐させますが、この時に注意したいポイントが主幹ブレーカーの契約アンペア数です。

家の主幹ブレーカーのアンペア数によっては、電気自動車(EV)を充電するたびにブレーカーが落ちてしまう可能性があります。一般的な充電設備の200V・15Aでも電気自動車(EV)の充電には30Aを使うため、夜間に使用する電力量によっては電力会社との契約を見直さなくてはなりません。設置前に、必ず施工会社に確認することをおすすめします。

最近ではEV充電設備側でブレーカ容量を超えないように充電電力を制御する製品もあるので、選ぶ時のポイントにしましょう。このほか、充電環境に必須ではありませんが、盗電防止用のスイッチを取り入れているメーカーや製品もあります。また、充電は夜間が多くなるので、充電設備の周辺にはライトを設置すると使い勝手がよくなります。

急速充電と普通充電の違い

電気自動車(EV)の充電には急速充電と普通充電の2つがあります。大きな違いは充電スピードです。車種にもよりますが、普通充電ならフル充電に8~12時間かかるところ、急速充電なら15分~30分ほどで80%まで充電が可能です。

また、戸建て住宅には普通充電器が設置できますが、急速充電器が設置できないという違いもあります。急速充電には高圧受電設備が必要で、電力契約も高圧契約になるため、自宅での設置はハードルが高いでしょう。

例えば、急速充電と普通充電は充電する目的や利用シーンが異なります。急速充電は移動途中の補給が主な目的になりますが、普通充電は車を使わない時間帯での充電がメインです。そのため、急速充電器は高速道路のサービスエリアや商業施設など、公共エリアでの経路充電として主に使われています。

さらに、急速充電は電気自動車(EV)のバッテリーへの負荷も大きいため、普段づかいする場合は普通充電の方が向いています。

タイプ別の充電時間と電気料金

電気自動車(EV)の充電設備には3つのタイプがありますが、充電性能としてはどのような違いがあるのでしょうか。各タイプの具体的な充電時間や電気料金について、40kWhの普通車をベースに紹介します。

1.コンセントタイプ

コンセントタイプは、100Vと200Vで充電時間が異なります。フル充電の時間は100Vだと出力1.2kWで約40時間、200Vだと出力3kWなので約16時間です。電気代28.4円/kWh(※2023年8月時点の調べ)として、40kWhを1回あたりのフル充電で1,136円になる計算です。

2.スタンドタイプ

スタンドタイプは充電パワー3kWが一般的ですが、近年は倍速充電できる6kWモデルも増えています。コンセントタイプと同様、出力で充電時間が異なり、3kWならフル充電まで約16時間、6kWで約8時間です。

電気料金は「コンセントタイプ」と同様、1回のフル充電で1,136円となります。なお、6kWのスピード充電は対応車種が限られますので、購入する際は事前にチェックしましょう。

3.V2H

V2Hは標準で、スタンドタイプ6kWと同じ充電パワーです。スピード充電でフル充電が約8時間で完了します。電気料金はコンセントタイプ・スタンドタイプと同様に、フル充電で1,136円になる見込みです。

ただし、V2Hの場合はさらに安くなる可能性があります。それは太陽光発電を設置している場合です。太陽光発電の電力をV2H経由で電気自動車(EV)へと充電できる設備もあるため、電気料金を安くすることが可能です。

なお、V2Hで充電する際は電気自動車(EV)の充電ポートが急速充電ポートになる点は注意が必要です。

電気自動車(EV)の充電設備導入時に必要な工事と初期費用

電気自動車(EV)を自宅で充電するには、どのような工事が必要で、初期費用がどの程度かかるのかは気になるところです。自宅充電の環境を整備するにあたり、初期設備の導入費用や工事内容、工事期間などについて解説します。

初期費用の概要

電気自動車(EV)の自宅充電設備を導入するための初期費用は、主に設備費用と工事費用です。設備費用は充電設備のタイプはもちろん、メーカーやモデルによって価格に幅があります。また、工事費用もモデルによって工事の内容が異なるため、一概にいくらとはいえません。

いずれも初期費用の実勢価格は、同じモデルの充電設備を設置する場合でも施工会社や購入時期によって変わります。安易に契約して後悔しないよう、必ず相見積をとって相場価格を十分に把握した上で検討を進めましょう。

初期設備にかかる費用

初期設備にかかる具体的な費用について、3つのタイプごとに確認しましょう。

1.コンセントタイプ

コンセントタイプは3タイプの中でもっとも安価で、安いもので数千円から高くても1~2万円で購入ができます。ポールタイプのモデルは数万円から10万円程度が相場です。設置工事も複雑なものではないので、工事費用もそこまで大きな金額はかかりません。設備費用と工事費用を合わせて、10万円前後が導入の目安になるでしょう。

2.スタンドタイプ

スタンドタイプは10万円から20万円ほどの設備費用がかかります。壁面設置でない場合、配線を敷設する必要があるので、その分コンセントタイプよりも工事費用は高くなります。

3.V2Hタイプ

V2Hは設備費用だけでおおよそ50万円以上かかります。電気自動車(EV)の電力を自宅で使えたり、太陽光発電と連携できたりするなどさまざまな機能を備えているのが魅力です。工事費用はスタンドタイプと同じくらいですが、太陽光発電との連携がある場合はさらに費用がかさむでしょう。

ただし、V2Hには補助金があります。CEV補助金を利用することで、V2Hをお得に導入することが可能です。具体的には設備費用の2分の1(上限75万円)、工事費用も40万円(個人)を上限に助成金を受けられる可能性があります。

初期設備にかかる工事

次に、初期設備にかかる工事内容についてタイプ別に確認しましょう。充電設備の工事の流れは基本的にどのタイプも共通したものですが、若干工事内容が異なります。

1.コンセントタイプ

コンセントタイプの初期工事は、おおまかに次の通りです。

  • 主幹ブレーカーから壁面に設置するコンセントタイプまでの配線
  • コンセントタイプ専用ブレーカーの設置および結線
  • コンセントタイプを壁面に設置
  • 通電確認および充電の動作確認

工事前に設置場所の確認をしますが、コンセントタイプの高さによってはケーブルを差し込みにくい場合があります。丁寧に施工会社とすり合わせしましょう。

2.スタンドタイプ

スタンドタイプも、おおむねコンセントタイプと同じ流れで工事が進みます。ただし壁面ではなく、自立型タイプを設置する場合は追加の工事が2つ入ります。

  • 壁面からスタンドタイプまでのケーブルの敷設工事
  • コンクリートの基礎工事

なおスタンドタイプも設置場所には十分配慮しましょう。駐車場所とスタンドタイプの位置関係、ケーブルの長さを踏まえた設計を心がけることが大事です。

3.V2Hタイプ

V2Hの初期工事はスタンドタイプと同じ流れで進みますが、動作確認がひと手間加わります。実際に「停電時に自立運転が正常に動作するか」を、ブレーカーを落としてチェックしなければなりません。「停電時に電力が使えない」といった事態にならないよう、外せない工程となります。

また、V2H専用のスマホアプリを用意するメーカーもありますので、初期設定や使い方のレクチャーを受けましょう。このほか、自宅の太陽光発電と連携する場合は、太陽光発電との配線工事、設定も必要になります。

初期工事の期間

初期工事の期間は、どのタイプの充電設備でもおおむね数日で終わるようです。ただし、初期工事までの事前準備として、施工業者の選定、現地調査、見積・契約、そして電力会社や補助金の申請などでリードタイムがかかります。

工事日数は数日ですが、依頼してすぐ設置が可能になるわけではないので、電気自動車(EV)とセットで購入を検討する場合は気をつけましょう。

自宅充電にはV2Hがおすすめ

これから自宅充電環境を整えようと考えている場合、V2Hがおすすめです。V2Hは夜間の割安な電気料金で充電できるので、電気代を大きく節約できます。

また、停電時でも電気自動車(EV)に貯めた電力を家で使えるので、非常時の備えとして心強い存在です。特に自然災害の多い日本ではバックアップ電源として大容量バッテリーを備える電気自動車(EV)がある安心感は大きな価値です。

さらにV2Hと相性のよい太陽光発電をセットで使うと、電気代の節約や非常用電源の効果が高まります。V2Hは国に限らず、各自治体の補助金もあるため、今こそ初期費用を抑えて導入するチャンスです。コンセントタイプやスタンドタイプだけでなく、V2Hも視野に充電設備の検討を進めていきましょう。

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