好きをかたちにする、新しい住まいのつくり方 vol.3(後編)
手をかけただけ愛着が深まる。
家族の成長とともに成熟する住まいへ
vol.3 <前編> / <後編>
素材の経年変化を楽しみ、
手を加えながら住まいを育てる
玄関とリビングをつなぐ廊下は、白澤さんお気に入りの景色のひとつ。「今後ドアに傷がついたり塗料が剥げたりと、景色に味わいが出るのが楽しみです」と白澤さん
経年変化が楽しめる素材を使うことも、リノベーション時のこだわりのひとつでした。ドアパーツやオーナメント、ブラケットなどに真鍮を使っているのも、そういった理由から。酸化して色がくすんでも、それが味わいになります。
そういった意味では、今考えれば悩んだ末にアンティークのドアではなく現行品を選んでセルフペイントで仕上げたのは、正解でした。自分たちが手をかけた物が、経年変化していく様子を楽しめるのですから。
家族が成長していくのと一緒に、家も歳や経験を素敵に重ねるのが理想です。旅行の思い出の品等が少しずつ増え、うっかりドアに傷をつけ、時には塗料が少し剥げて……。さまざまなできごとを住まいの個性として加えながら、エイジングを楽しみたいですね。今より10年後の方がもっと家が楽しい。そう思っています。
(撮影協力:Decor Interior Tokyo)
※白澤邸で使用している塗料とは異なる商品です
白澤さん好みのエイジング仕上げが施されたクラフトレーベル。ベージュの塗料を塗った上から好きな色のペンキを塗り、やすりで剥がしていく手法。
(撮影協力:Decor Interior Tokyo)
ドアの色は、経年変化を楽しんだ後に色を塗り替えることも考えて選びました。強い色も使ってみたかったのですが、それは後のお楽しみとして、まずはニュートラルな色にした方がいいと思ったのです。
子どもが成長したら、子ども部屋のドアを好きな色に塗ってもらうのもいいですね。ただし、リビング側は私の好みに協調してもらいたいので、内側だけです(笑)! さらに、子どもが巣立ったら子ども部屋のドアや壁面の色をがらりと変えて楽しんでみたいです。
インテリアの好みは、芯は変わらないものの年齢や経験に応じて変化していくと思います。ペイントという手段はそんな変化を表現しやすく、便利。今日訪れているインテリアショップ「Decor Interior Tokyo」(東京都渋谷区)は、魅力的な塗料がたくさんありますね。ペイントのイメージを膨らませる参考になります。
(撮影協力:Decor Interior Tokyo)
壁やドアだけでなく、古くなった家具や雑貨もインテリアに似合う色にペイントしてリメイクすれば、すっと住まいに溶け込むんです。だから、私は壁と同じ色の塗料を常備しています。実際、息子が小さい頃使っていた子ども用のテーブルは、今は白くペイントしてLDKに置いていますが、違和感なくなじんでいますよ。思い出も増えるし愛着もわきます。
壁紙やパーツ類も見ているとワクワクしますね。今は白を基調にしたシンプルなインテリアにしていますが、壁紙とドアの色の組み合わせで遊ぶのも楽しいと思います。もしいつか南仏に別荘を建てるなら、ダイナミックな青系の壁紙に黄色いドアを合わせてもいいな……、等夢がふくらみます。
「この空間いいですね! 壁紙の柄、家具の色、照明やドアパーツの素材など、すべて好みです」
(撮影協力:Decor Interior Tokyo)
インテリアショップは、目当ての物を探すのはもちろんのこと、商品の色やデザイン、コーディネイトアイディア等からさまざまなインスピレーションを得られるのが魅力です。家をリノベーションするとき、かなりの件数のインテリアショップや、大手設備メーカーのショウルームを巡りました。とことん情報を集めて、少しでも理想の住まいにしたいと徹底的に探したんです。
そのほか、旅先で見た新鮮な文化などさまざまな出合いからも今後のインテリアのヒントをストックしたいですね。ドアについても然り。カラーリングやパーツ使いなど、クラフトレーベルは些細な更新をしやすい身近さを備えているので、折に触れてチャレンジしてみると楽しいと思います。
時には手を加え、家族の成長と同様に
住まいのエイジングを楽しむ。
クラフトレーベルはそんな私たち一人ひとりの
ストーリーを叶える
きっかけとなる、最初の扉かもしれません。
第3回 Fin.
白澤さんに
「クラフトレーベル」を使った、
自分好みのインテリア空間を
シミュレーションしてもらいました
デザイン:開き戸 LH型
色:ワイルドオーク柄を市販塗料にて塗装
(チューダーオーク)
床材:アーキスペックフローリングA ウォールナット柄
幅木:ウォールナット柄
廻り縁:ウォールナット柄
採光部:透明熱処理ガラス
ハンドル:
B1型
真鍮色(メッキ)
蝶番:
カバー蝶番
真鍮色(メッキ)
コーディネイトのポイント
「今の住まいは白やグレーを基調とした空間ですが、実はほかにもやりたいことはたくさんあるんです。そのひとつが、柄が美しい壁紙を使うこと。この機会に実現させてもらいました。ドアはチューダーオーク、幅木と廻り縁、床はウォールナットで揃え、深みのある茶色でインパクトのある壁紙を引き立てるようにしています。ドアパーツはもちろん味わいのある真鍮色です」
Profile
白澤貴子(しらさわ・たかこ)
フリーランスエディター
19歳からファッション誌の制作に携わり、多くの媒体で編集から撮影ディレクション、ライティングまで担当。現在はファッション誌をはじめとした雑誌やウェブ、女性を題材としたコラムやショートストーリーなどを執筆するほか、広告のディレクション、人気ブランドのブランディング、アドバイザーなども精力的に行う。また、パリ在住歴に裏付けられた感度の良さや独自のセンスは多くの女性や企業から注目され、シンボルアイコンやミューズとして起用されている。そのほか、ファッションの分野に留まらず、住まい関連の分野でもコラムの連載を担当するなど幅広く活動。
撮影協力/Decor Interior Tokyo
家具や照明などのインテリアをはじめ、壁紙やペンキなどの定番DIYグッズから、床材や建具などの資材まで、総合的に住まいのことを考えられる新しいインテリアショップ。ぜひお立ち寄りください。
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