好きをかたちにする、新しい住まいのつくり方 vol.1
「今したいこと」を
積み重ねた先にある
自分や家族にとって
心地いい理想の生活
扉をあけた先にあるのは、
これから始まる新しい暮らし。
パナソニックの内装ドア「クラフトレーベル」が
提案する新たなドアのスタイル。
好きをかたちにして、自分らしい
ライフスタイルを送る女性のお話から
これからの暮らしや住まいのヒントが見えました。
第1回は「NEXTWEEKEND」代表の村上萌さん。皆の中にある「今やりたいこと」=“小さな野心”をキーワードに、メディアやイベントを通して、理想の生活を叶えるいろいろな暮らしのアイディアを提案しています。昨年春に完成した外苑前のオフィスを訪ね、暮らし方や仕事の話、そして心地よい空間のつくり方について伺いました。
目の前の“小さな野心”を叶えることで、
その先の自分や住まいづくりが見えてくる
私が主宰している「NEXTWEEKEND」の活動のコンセプトは、「次の週末に叶えたい、理想の生活」。ホームパーティーの楽しみ方や、手軽なハンドメイドなどを紹介していますが、わかりやすく言うと、今できる暮らしの改善です。
やってみたいことはたくさんあっても、情報が多い世の中で「いつかできればいいや」と他人ごとにしがち。そんなふうに諦めかけているやりたいことを“小さな野心”と呼んでいるのですが、「次の週末に叶えよう」と自分ごとにすればぐっと身近になり、意外と実現できることがたくさんあるはず。そう気づいてほしくて、週末という距離感でさまざまな提案をしています。
住まいづくりも同じで、5年後10年後の「いつか」のことと思うと、自分が暮らしたい家ってなかなか見えてこないかもしれません。そんな場合、まずは今住んでいる家でちょっとしたDIYをやってみるのはどうでしょう。
私の例でいうと、以前の賃貸の家では仕事部屋の壁に原状復帰できるはがせるクロスを貼って、上からチョークペイントを塗り、黒板にしていました。その正面にデスクを置いて、パソコンやいろいろな資料を並べて、すごく好きな空間になったんです。
「賃貸じゃ何もできないから」ではなく、今できることをしてみた経験の積み重ねが、家を建てるとか、リフォームするとなったときに、理想の住まいにたどり着く材料になるのだと思います。
自宅リノベーション成功のポイントは、
夫婦の「理想の暮らし」を軸にしたこと
「もともと前のオーナーの趣味が強い内装だったので、自分好みに変えていくのはとてもワクワクしました」
札幌の自宅は中古マンションをリノベーションしました。まず私たちは、見た目ではなく「どういうふうに暮らしたいか」というストーリーを、夫婦でしっかり話し合いました。そうすることで考えが揺れることがなく、コンセントや照明の位置まで明確にイメージできるので、より住みやすい家になると思います。
大きな方針としては、“自分たちの年齢の変化と四季の変化が楽しめる家”。「キッチンカウンターに花瓶を置いて季節の花を飾りたい」「窓際にL字のソファを置いてゆっくり映画が見たい」「季節ごとにホームパーティーがしたい」と、家でしたいことから決めました。家づくりをスタートするとき、手始めにこのような家族のウィッシュリストを作るといいかもしれません。
※村上さんのご自宅ではありません
写真はベリティス クラフトレーベル。「欧米風のデザインなんですね。リノベーションで自宅に採用したのは輸入ドアなのですが、日本のメーカーからこんなおしゃれでかわいいドアがあるなんて!! 採用したかったです」と村上さん
※村上さんのご自宅ではありません
見た目から入らないことを心がけた一方で、写真共有アプリの「Pinterest」で夫婦共有のボードや、自分の好きな色使いだけを集めたボードを作るなどして、ビジュアルのストックもたくさん集めていました。
言葉だけだと、夫婦間でも「思い浮かべている絵がお互い違っていた」ということはありがち。スタートはあくまで“暮らし方”ですが、空間のイメージが定まったら、「こういうことだよね」と具体的にすり合わせができるビジュアルの引き出しはやっぱりあったほうがいいと思います。
(写真/中嶋史治)
私たちの場合は、ベースはシンプルに、壁や床、建具などの内装の色はグレー・ブルーグレー・白・茶色に、それから金具類は真鍮に絞りました。ぶれないように気をつけたので、そこから詳細を決めていくのは早かったですね。
家を建てるのは5年後、10年後だとしても、日頃から自分の好きだなと思う写真などはストックしておくのはおすすめです。それが一覧になったとき、自分らしさや自分がやりたいことが見えてくると思いますよ。
オフィスのインテリアを彩るのは、
思い出の詰まったお祖母さまの家のドア
クラフトレーベルであれば、塗装でエイジング加工を施すこともでき、無垢材や古いドアのような演出も可能
東京の拠点である「NEXTWEEKEND」のオフィスは、祖母の家にあった建具を使うことがひとつのテーマでした。
幼い頃によく遊びに行き、長い時間を過ごした祖母の家はとても大切な場所で、アイデンティティの一部。残念ながらその家は取り壊されてしまったのですが、建具などをできる限り取り外して保管することにしました。
オフィスにはその建具をなるべく活かしたいと思ったので、「この空間の中に、いくつ祖母の家のドアが使えるだろう」とドアを起点に間取りを検討しました。結果的に、ドア4つと窓枠、キッチンの戸棚を再利用できました。
(写真/井筒健至)
祖母の家のドアは全部鍵つきで、ドアノブの形も少しずつ違いました。子どもは目線がドアノブの高さだから、鍵の形や傷ひとつひとつが記憶に残っていて、仕事中ふと目にすると、かくれんぼしていたときのことなんかを思い出します。勝手口のドアは格子のガラスが一部割れていたのですが、そんな部分も好きだったなあ、とか。
母や親戚がオフィスにきたときも、「これはどこそこのドアだ」とすぐ気づいて。「勝手口から庭に出て外でご飯を食べたよね」とか、ドアからその空間で過ごした記憶がそれぞれに蘇ってくるみたいです。そういうのって、なんだか楽しいですよね。ドアは私たちにとって思っていた以上に大切な存在で、思い出の一部なんだなと感じます。
「このドアは祖母のトイレのものでした」
実は、祖母の家がなくなってから母が63歳にして家を建てたんです。仕事の都合で頻繁に帰省するので、私と娘の部屋もつくってくれて。
「部屋のドアの色は何色がいい?」と聞かれ、「じゃあ外側は白で、部屋側はかわいく水色にしよう」と、これから娘がこの部屋で過ごす時間や、どんな思い出をつくってほしいかということを思い浮かべながら決めました。我が家のように「ドアの色どうする?」という会話が自然に出てくるくらい、住まいの要素のひとつとして、ドア選びを気軽に楽しんでほしいですね。
ドアはただ部屋を仕切るためのものではなく、その先に何か空間があって暮らしのシーンが想像できるもの。何も考えずに設置するのではなく、「早く起きた朝はここで朝ご飯を食べよう」とか「ここはミシンをかける部屋」とか、その空間でどう過ごすのかストーリーを考えて、それに合わせてドアを決められたら、もっと理想的な暮らしが身近になると思います。
オフィスのドアは塗替えせずにほぼそのまま使っているのですが、小屋風の打ち合わせスペースの入口は「OFFICE」のプレートをつけたり、横にサインブラケットを合わせたりして遊んでみました。
プレートは社員旅行でポートランドを訪ねたときに買ったもの。旅行などせっかくイベントごとがあるのなら、今後も使えるものを持ち帰ることを大切にしています。ドアを開けるたびに皆が当時のことを思い出してくれたらいいなと思って。そうしたインテリアのアレンジを通して、思い出を暮らしの中に取り込んでいくのもおすすめです。
ライフステージの変遷とともに、
住まいやインテリアも柔軟に変えていい
自分の家づくりを通して感じたのですが、全力投球して完璧な家にしようと思うとプレッシャーになってしまう。「今、こんな感じが心地いいな」という今の自分らしさを大切にしながら、変化することを前提に楽しめるプラットフォームを作る感覚で、焦らず気軽に捉えたらいいと思います。
例えば、今は子どもが小さいので、自分も娘もパーソナルスペースは必要ないと思ってつくっていません。仕事をするのはいつもダイニング。キッチンが近いと娘の世話をするにも便利で、コーヒーもすぐ飲めるし、それはそれで好きな過ごし方。でも娘が大きくなったら、自分の仕事場を作りたいし、子ども部屋も用意したい。
子どもの進学など、ライフステージの節目をチャンスにして、家族のテーマや自分の家のテーマを考えるきっかけにできたらいいですね。
例えば「6歳になったらドアの色を選んでいいよ、好きな飾りをつけていいよ」という感じで、模様替えをひとつのイベントにしても楽しいです。急に「今日塗り替えるから好きな色を選んで」ではなく、その日に向けて自分で考えさせたり、家族で話し合ったり、イベントごとにしてしまう。コミュニケーションのきっかけになるし、家にまつわる思い出が増えますよね。
繰り返しになりますが、小さな「こうしたい」を少しずつ実現することでちょっと先の自分や、やりたいことがじわじわ見えてくるはず。だから私は希望の“小出し”をおすすめしているんです。
そういう意味では、ドア選びは “小出し”にぴったり。もし「どんな家にしよう?」と迷うときに、ドアのあるシーンを思い浮かべてその先にある暮らしが見えてきたら、それが自分らしい家をつくるための第一歩になるかもしれません。
ドアのある空間の先で、どんな時間を紡いでいこう。
クラフトレーベルはそんな私たち
一人ひとりのストーリーを叶える
きっかけとなる、最初の扉かもしれません。
第1回 Fin.
村上さんに
「クラフトレーベル」を使った、
自分好みのインテリア空間を
シミュレーションしてもらいました
デザイン:開き戸 LJ型
色:ワイルドオーク柄を市販塗料にて塗装
(夏水組 ウォールペイント ブルーニュイ)
床材:gスタイルフローリング[145mm幅]
スタイルチェスナット柄
幅木:ホワイトアッシュ柄
廻り縁:しっくいホワイト柄
採光部:
レイン熱処理
ガラス
ハンドル:
A7型
真鍮色(メッキ)
蝶番:
カバー蝶番
真鍮色(メッキ)
コーディネイトのポイント
「子ども部屋をイメージしてクロスはかわいらしいピンクに。ドアは自分にとってなじみのある格子が入ったデザインを選びました。ガラスから室内の明かりや様子が感じられるのがいいですね!ティピーテントを置くなど、秘密基地みたいに演出したいです」
Profile
村上萌(むらかみ・もえ)
NEXTWEEKEND代表・
ライフスタイルプロデューサー
メディアブランドNEXTWEEKEND代表。「おてんばな野心を、次の週末に叶える」のコンセプトのもと、季節の楽しみと小さな工夫を提案。ウェブサイトNEXTWEEKENDの運営を始め、週末イベント、その他空間や商品などのプロデュースを手がける。雑誌『NEXTWEEKEND』2回/年の発行、著書にマガジンハウスより『カスタマイズ・エブリデイ』ディスカヴァー21より『週末野心手帳』。夫、1歳の娘と北海道・札幌で暮らす。
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