好きをかたちにする、新しい住まいのつくり方 vol.3
手をかけただけ愛着が深まる。
家族の成長とともに成熟する住まいへ
vol.3 <前編> / <後編>
扉をあけた先にあるのは、
これから始まる新しい暮らし。
パナソニックの内装ドア「クラフトレーベル」が
提案する新たなドアのスタイル。
好きをかたちにして、自分らしい
ライフスタイルを送る女性のお話から
これからの暮らしや住まいのヒントが見えました。
第3回はファッション誌のエディトリアルや広告ディレクション等、幅広く活躍する白澤貴子さんです。「私の作品です」と言うご自宅は、間取りから素材選び、パーツのデザインまでこだわってリノベーションしたヴィンテージマンション。好きなスタイルにこだわる意味や大切さ、そして、自ら手をかけて仕上げた住まいならではの楽しみについてお話しを、前後編に分けてお届けします。
“住まいのなかに美しい景色をつくる”。
インテリアは居心地を良くする大切な要素
リノベーション時に最も力を注いだLDK。時間帯やその日の天気によって見え方が変わる部屋の表情を愛でるのが、日常の楽しみなのだとか
今の住まいは結婚してから3度目の住まいです。住み替えを考えた当初は新旧共にマンションを次々と内覧したのですが、どうしても気に入ったインテリアの物件に出合えない。80軒くらいは見てまわったでしょうか。物件巡りも疲れてきた頃、「それならヴィンテージマンションを私好みにゼロからリノベーションしてみよう」という考えに行きついたんです。
私の好みは、西洋、特にフランスのトラディショナルなスタイルを踏襲したインテリアで、色調は白。間取りから建具のデザイン、素材使い、色合いなど、細部までとことん追求しました。好きなインテリアに囲まれることで住まいの居心地がグンとよくなりますし、眺めているだけで癒されます。
私は以前から好きなインテリアテイストがはっきりしていました。実家や親戚の家が西洋スタイルだったことがベースにあり、フランス留学を通して「ヨーロッパのインテリアスタイルが好き」と再認識した経緯があったからです。
フランスでは、日本とはインテリアとの関わり方が違い、美観を大切にします。例えば、日本の住まいはテレビを中心にリビングの配置を考える傾向がありますが、私がフランスで滞在した家ではテレビは棚に収め、観る時だけ扉を開ける。友人の家ではゴミ箱を置かないように徹底していました。そんな考えにも影響を受けましたね。
日本に暮らしていると「家にはこれがなければならない」と思い込んでしまうものが多いけれど、自分の生活を見つめ直すと必ずしもそれは必要ではないかもしれないと気づき、我が家ではテレビではなくマントルピースを中心に、LDKのインテリアを構成しました。
石張りの玄関たたき、ヘリンボーン張りの床、モールディングで装飾した腰壁、真鍮素材のドアパーツなど、徹底的に好みの西洋スタイルを実現したインテリア
自分の好きなスタイルが漠然としている方もいると思います。そういった場合は、いろいろなインテリアの写真を見て好みの傾向を探すのが近道です。そのうえで、好きな空間にはどんな色、どんな素材、どんなデザインの建具やパーツ、調度が使われているのかをひとつひとつ分析するといいと思います。ドアもそのひとつですね。
私も、リノベーションの計画中はかなりたくさんの写真を見て研究しました。ドアについても随分見ましたが、おしゃれな家は必ずドアも素敵。手を抜かず、こだわって仕上げています。ドアはインテリアのなかで大切な要素だと再認識するいい機会になりました。
手を加えることで
より自分らしいインテリアに
※白澤さんのご自宅ドアは、クラフトレーベルではございません。
そうしてひとつひとつこだわりながらリノベーションを進めていったのですが、希望を詰め込んだら、気づくと予算が驚くほどオーバーしていたんです! そこからが勝負。どうしたら好きなスタイルを諦めずにコストを落とせるかとことん考えました。
結果のひとつが建具でのコストダウンです。ドアはアンティークを使いたいと思っていたのですが、現行品に変更。その代わり、ドアのデザインを厳選し、ドアノブ等パーツ類はドアノブ専門店やアンティークショップを巡って納得いくまで探しました。
※白澤さんのご自宅ドアは、クラフトレーベルではございません。
パーツ類は何百という種類の中から厳選。ひとつひとつデザインの違うものを選んだので、それぞれのドアの表情が違って楽しいです。当初コストダウンが目的だったのですが、自分で手をかけることで、インテリアにより自分らしさを表現できました。とても満足しています。
また、アンティークのドアを使わない代わりに、ドアは塗装でエイジング仕上げにしたいと考えていました。当初はプロにペイントを依頼する予定でしたが、やはりコストがかかります。結果、ペイントを自分たちで行うことにしたんです。
ペイント作業をイベント化することで
作業が楽しく、家への愛着も深まる
皆の手でペイントしたドアは、よく見るとところどころにムラがあるのが味となり、一層愛着のあるものに。ルームナンバーは尊敬する人物の誕生日を入れた。洗面室の804は、吉田松陰の誕生日から
自分たちでドアを塗ることになり、思いついたのが“ペインティングパーティー”です。 ドアひとつひとつの面積はさほどではありませんが、家中の扉を裏表塗るとなると枚数も多く、結構大変。「だったらみんなで楽しく塗ってしまおう!」とひらめいたんです。友人を招き、バルーンを飾ったり、ケータリングを頼んだりと盛大に開催しました。
私はオーガニックペイントを選んだので、子どもにも安全。ニオイもないのでその場で食事をしても安心でした。そして、子どもが塗ったところはよく見ると塗りムラやペンキ溜まりができたりして、我が家ならではの味わいが出せたのもよかったです。
塗っている途中で「もう少しアクセントが欲しいかな」と考えて、ルームナンバーをつけたことも、よかったことのひとつ。ナンバーは私の人生に影響を与えた偉人たちの誕生日を当て込みました。子ども部屋には子どもの誕生日を。愛着がわく仕掛けになりました。
※白澤さんのご自宅ドアは、クラフトレーベルではございません。
きっかけはコストカットが目的だったペイントですが、家づくりで自分たちが直接手をかけられる場所、作業内容は限られています。ドアのペイントは、ちょうどよかったと思います。
ペインティングパーティーを経て、小学生の息子は友だちが来ると「ぼくが塗ったんだよ」と、ドアを紹介しています。参加した友人たちも、遊びに来ると「よく仕上がっているな。ここは誰が塗ったんだっけ?」と愛情を持って接してくれて。我が家が家族だけでなく、友人たちにとっても身近な場所になったことが、とても嬉しいです。
ドアはインテリアのなかで大切な要素ですが、一般的には意外と存在感が薄く、家づくりでも手を抜かれがち。でも、自分たちで手をかけることで、存在価値が高まります。我が家ではドアの思い出話やルームナンバーを起点に話が始まることもあり、コミュニケーションツールのひとつにもなっています。ドアのペインティングは、本当にやってよかったことのひとつですね。
Profile
白澤貴子(しらさわ・たかこ)
フリーランスエディター
19歳からファッション誌の制作に携わり、多くの媒体で編集から撮影ディレクション、ライティングまで担当。現在はファッション誌をはじめとした雑誌やウェブ、女性を題材としたコラムやショートストーリーなどを執筆するほか、広告のディレクション、人気ブランドのブランディング、アドバイザーなども精力的に行う。また、パリ在住歴に裏付けられた感度の良さや独自のセンスは多くの女性や企業から注目され、シンボルアイコンやミューズとして起用されている。そのほか、ファッションの分野に留まらず、住まい関連の分野でもコラムの連載を担当するなど幅広く活動。
撮影協力/Decor Interior Tokyo
家具や照明などのインテリアをはじめ、壁紙やペンキなどの定番DIYグッズから、床材や建具などの資材まで、総合的に住まいのことを考えられる新しいインテリアショップ。ぜひお立ち寄りください。
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