2025.09.22

省エネ+創エネ+蓄エネの家づくり

光熱費を抑えながら快適に暮らせる「省エネ住宅」が注目を集めています。高断熱・高気密化によって冷暖房効率を高め、太陽光発電や蓄電池を組み合わせれば、自分でエネルギーを「創る」「貯める」暮らしが実現できます。災害時の非常用電源としても役立ち、地球環境への配慮という点でも大きな意義があります。政府も2050年カーボンニュートラルを目指し、2025年から新築住宅に省エネ基準の適合を義務化。省エネ住宅は経済性・快適性・防災性を兼ね備えた、これからの住まいのスタンダードです。

省エネ住宅について知る

省エネ住宅とは、高断熱・高気密・高効率設備によってエネルギー消費を抑え、快適で持続可能な暮らしを実現する住宅のことです。ここでは、省エネ住宅の性能を評価する指標と、代表的な住宅の種類について解説します。

住宅性能を測る二つの基準

感覚的な快適さだけではなく、数値で示される指標を確認することで、その家がどれほどエネルギー効率に優れているかを把握できます。特に重要なのが「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」です。

外皮性能(UA値)

屋根・壁・窓などを通じた熱の出入りを評価。値が小さいほど断熱性が高い。

一次エネルギー消費量(BEI値)

住宅で使う冷暖房・給湯・照明などを評価。1.0が基準で、0.8なら20%削減を意味する。

省エネ住宅の種類

省エネ住宅と一口に言っても、性能レベルや目指す方向性によって種類が分かれます。ここでは代表的な4つの省エネ住宅について紹介します。

ZEH

「Net Zero Energy House」の略で、高断熱化、省エネ設備、太陽光発電などを組み合わせ、一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住まい。基準一次エネルギー消費量から20%以上削減し、創エネを加えて100%以上削減することが条件です。

GX志向型住宅

グリーントランスフォーメーション(GX)の理念を取り入れた次世代型住宅で、ZEHや長期優良住宅を超える高性能を備えます。断熱等性能等級6以上、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量35%以上削減、さらに創エネを加えた100%以上の削減を条件とし、HEMSの導入も必須です。

長期優良住宅

「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅」として、国が定める厳しい基準をクリアし認定された住宅です。認定を受けるには、次のような措置が講じられている必要があります。

  1. 長期に使用するための構造および設備を有していること
  2. 居住環境等への配慮を行っていること
  3. 一定面積以上の住戸面積を有していること
  4. 維持保全の期間、方法を定めていること
  5. 自然災害への配慮を行っていること

LCCM住宅

「ライフサイクルカーボンマイナス住宅」の略で、建設、運用、廃棄の全過程でCO₂排出量を最小化し、太陽光発電などの再生可能エネルギー利用でライフサイクル全体のCO₂の収支をマイナスにする住宅です。

省エネ住宅のメリットとデメリット

省エネ住宅には、快適な暮らし、家計への優しさ、そして地球環境への貢献といった多くのメリットがある一方で、初期費用などのデメリットも存在します。

メリット

  • 光熱費削減

    年間5〜10万円が目安となり、地域によってはさらに大きな効果。

  • 快適性向上

    夏涼しく冬暖かい。結露防止やヒートショック予防にも有効。

  • 環境貢献

    CO₂削減や防災性の向上に寄与。補助金や税制優遇制度も利用可能。

デメリット

  • 初期費用の高さ

    高性能な設備の導入で建築コストが上がり、太陽光発電や蓄電池の維持費もかかる。

  • 立地や環境に左右される

    屋根の形状や日照条件によって、太陽光発電の効果が変わる。

  • 施工技術への依存

    技術不足だと、省エネ性能が十分に発揮されない。

こうした注意点を理解し、信頼できる施工会社や補助金制度の活用を検討することが重要です。

省エネ性能を高める3つのポイント

省エネ住宅をさらに高性能にするためには、「創エネ」「省エネ」「断熱・気密」の3つが重要です。ここでは、住宅の性能をワンランク上げる具体的なポイントを詳しく紹介します。

創エネ:太陽光+蓄電池で自家発電

太陽光発電と蓄電池の組み合わせは、自宅で創出したエネルギーを効率よく使うことで、電力コスト削減と災害時の安心をもたらします。太陽光発電は日中の電力を自家消費することで購入電力を減らし、光熱費を大幅に削減します。さらに蓄電池を導入すれば、余剰電力を貯めて夜間に利用でき、停電時には非常用電源として活用できます。

省エネ:安心を支える高効率給湯器

家庭のエネルギー消費の約3割を占める給湯分野。ヒートポンプ式のエコキュートは、大気熱を利用して効率的にお湯を沸かし、従来型に比べて大幅にエネルギーを削減できます。太陽光発電と連携するパナソニックの「おひさまエコキュート」では、日中に発電した電気を使ってお湯を沸かすことで、電力を効率的に使い切り、無駄のない運用が可能になります。

断熱・気密:高断熱住宅に欠かせない基本条件

高断熱・高気密を実現するには、窓・断熱材・気密性の3要素が不可欠です。この3要素をおさえることで断熱効果を最大限に発揮でき、少ないエネルギーで快適な室内環境を維持できます。

窓(開口部)
夏は流入する熱の約73%、冬は流出する熱の約58%が窓からと言われます。トリプルガラスやLow-Eガラス、樹脂サッシを用いることで熱の出入りを大幅に抑制できます。また、内窓を設置することも、断熱性を高める上で効果的です。

断熱材
断熱材は屋根・壁・床をすっぽりと覆い、家を「魔法瓶」のように包み込むことで外気の影響を抑え、快適な室内環境を実現します。ただし性能を最大限に活かすには、すき間なく施工することが重要です。

気密性
気密性とは、住宅のすき間をなくし、無駄な空気の出入りを防ぐ性能を指します。高断熱の家でも、すき間が多ければ熱が逃げ、断熱効果は半減します。そのため断熱と気密はセットで考えることが重要です。気密シート、エアタイト仕様の窓が効果的です。

補助金・減税制度を活用しよう

初期費用の高い省エネ住宅ですが、国や自治体の補助金や減税制度を上手に利用すれば、導入コストを大幅に抑えることが可能です。

制度は予算や時期により変動するため、早めの確認と専門家への相談が安心です。

補助金制度について知ろう

省エネ住宅の建築やリフォームを後押しするため、国や自治体は多様な補助金制度を整えています。

補助金

「子育てグリーン住宅支援事業」で最大160万円、「先進的窓リノベ」で最大200万円など、多彩な制度が用意されています。給湯省エネ事業も併用でき、自治体独自の補助を組み合わせれば導入コストを大きく抑えられます。
自治体独自の制度もあり、太陽光発電や断熱改修に上乗せ補助金が設けられることもあります。補助金は併用が制限される場合や、予算が尽き次第終了する場合が多いため、早めの確認と専門家への相談が不可欠です。

税制優遇

住宅ローン控除や所得税特別控除が活用可能で、ZEHや長期優良住宅では控除枠が拡大します。将来の資産価値維持にも有効で、長期的に見れば非常に高い経済効果を得られるのが魅力です。

リフォームでも省エネ住宅は実現できる

築年数が経過した住宅でも、リフォームによって省エネ性能を高めることが可能です。断熱材の不足やすき間風などにより、冷暖房効率が低下しているケースは少なくありません。ここでは、効果的なリフォーム方法を紹介します。

断熱改修

床や壁に断熱材を追加することで、室内の熱を逃がしにくくします。特に窓の断熱リフォームは効果が高く、既存窓の内側に「内窓」を設置したり、高性能な断熱窓に交換することで、冷暖房の負荷を大幅に軽減できます。

給湯器の取り替え

古い給湯器からエコキュートに交換することで、給湯効率がアップし省エネにつながります。

太陽光発電システム+蓄電池を設置

太陽光発電で得た電気を蓄電池に貯めることで、昼夜を問わず自家消費が可能に。電力の無駄を減らし、光熱費の削減にもつながります。

HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の導入

HEMSを導入すれば、家庭のエネルギー使用状況を「見える化」し、自動制御によって効率的な運用が可能となります。

手軽で効果的な内窓リフォーム

内窓は、既存の窓の内側にもう一つ窓を設置することで、窓と窓の間に空気層をつくり、熱の伝わりを抑える仕組みです。冷暖房効率が向上し、気密性も高まるため、快適な室温を保ちやすくなります。
主なメリットは、光熱費の削減、結露の抑制によるカビ・ダニの防止、遮音性の向上による騒音対策。施工も比較的簡単で、費用対効果の高いリフォームとして人気があります。

災害時に役立つ安心の電力源

太陽光発電は、災害時にも頼れる電力源です。日中に発電した電力を使えば、停電時でも最低限の生活を維持できます。蓄電池や燃料電池と組み合わせることで、夜間や悪天候時にも対応可能。高断熱住宅との相性も良く、安心感を高めてくれます。

補助金活用で導入しやすい創蓄システム

太陽光発電と蓄電池による「創蓄連携」に、V2Hシステムを加えることで、電気自動車を家庭の電源として活用できる仕組みが整います。V2H(Vehicle to Home)は、電気自動車への充電と、また蓄えた電気を住宅内に放電できる技術です。蓄電池または電気自動車に蓄えた電力を停電時の非常用電源としても活用できます。さらにHEMSと連携すれば、発電量や消費量を「見える化」し、自動で省エネ運転が可能になります。補助金制度を活用すれば、導入コストも抑えられます。

暮らしと地球を守る、次世代の住まい

省エネ住宅は経済的なメリットだけでなく、快適性・健康・防災・環境貢献も同時に叶える住まいです。2030年以降はZEH基準が新築住宅のスタンダードとなり、2050年カーボンニュートラル実現に向けて重要性はさらに高まります。
「選ばれる住まい」とは、快適で健康的なだけでなく、長期的に資産価値を維持し、災害に強く、持続可能な社会づくりに貢献できる家。省エネ住宅は、その理想を形にする、未来基準の住まいです。

この内容は2025年9月現在のものです。

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