【今日からできる
「防災対策」セミナー】
南海トラフ地震の想定域にある静岡大学では、防災総合センターを設立し、 学生の防災力向上や防災に関する研究・地域連携に長年取り組まれています。 災害時や災害後の生活を守る上で有用な防災知識・スキル・備えについて、 3回にわたってお話いただきます。
STEP.1:
災害への備えに必要なコトを知っておこう
災害対策意識はあるがまだできていない人や若い方からの声で多いのは、「何をどう備えたらいいのかわからない」「いざ備えといっても、難しい」というものです。
そこで、今回はこの「わからない」「むずかしい」の声に答えていきたいと思います。
ひと言でいうと、「ハードの対策とソフトの対策」ということになるのですが、これではわかりにくくて難しい印象です。
私は「日常から仕組みを作る」「素直にものごとを見る」ということを心がければ、日常の中でほとんどの対策ができてしまうと考えています。
本当に必要な人が避難所に行くようにできれば、感染症の課題も軽減することができます。
防災を「あたりまえのこと」考えられることが理想。
歴史上365日、自然災害が起きている日本。
2021年、東日本大震災の発生から10年が経ちます。これまで全国各地で発生した震災を始め、2019年は大型の台風19号の影響により多くの人々が避難生活を余儀なくされました。
日本では歴史上365日、毎日災害が起きています。東日本大震災の記憶も新しいように、想定を大幅に超える災害はいつでも起こりうるということを、しっかりと認識する必要があります。
防災アクションを日常に取り入れることから始めよう。
意識だけでは足りない、本気のソフト対策
日本人の災害対策に関する意識の現状は図の通りです。
「日常生活において、災害への備えは、
どのくらい重要なことですか?」(全世代)
内閣府の調査結果(2016年)
出典:2016年 内閣府防災担当「日常生活における防災に関する意識や活動についての調査結果」
私が拠点としているここ静岡では、家具を固定している人は、7割です。全ての家具を固定しているという人は14%、全国でも多い数値だと思います。災害があろうとなかろうと、備えという意識を積み上げてきた結果やっとここまで来ました。
備えについての重要性を意識している人は、多いのです。でも、目の前の家具を固定しているかどうか具体的に質問すると、グッと減ってしまう。原因は、ソフトの対策にあると考えています。「学び」の機会が少ない。 ぜひ、「備え」について学んでいただいて、この機会に具体的な対策まで行っていただきたいと思います。
今からできる災害対策やポイントについて
日々の生活は災害と隣り合わせです。
まずは防災アクションを日常生活に取り入れてみましょう。
「日常生活において、災害への備えは、
どのくらい重要なことですか?」(全世代)
内閣府の調査結果(2016年)
- まずは、防災アクションを日常生活に取り入れることから始めよう。
- 毎日の生活から徐々に取り組むことで、その活動は継続しやすくなる。
どういう生活の仕組みをつくるか、日常にどう取り入れるか
見慣れてしまっている部屋でも、寝っ転がって見渡してみると怖さを感じられるものです。普段は無意識に身構えていますが、いざ地震があったときに、どうなるかというのが、具体的に見えてきます。
改めて日常を「防災目線」でチェックしてみると、すぐにできることがあると気づくはずです。
また、データを活用した備えの生活に切り替えていくことも重要です。
スマホやテレビ、PCなどから、自治体、国が出している地域情報や気象庁からの正確な気象情報もリアルタイムで見ることができます。河川の増水もリアルタイム、24時間映像でみることができる時代です。一歩速く動くことができれば、災害にあわずにすむかもしれません。
いつくるかわからない災害への「備え」に必要なのは?防災への「備え」に対して生活の仕組をつくり普段の生活に取り入れること。無理なくできることから始めて、災害の備えのある生活を作り上げていっていただきたいと思います。
プロフィール
静岡大学 防災総合センター
岩田孝仁 特任教授
1955年1月16日生まれ、大阪府大阪市出身。
1979年静岡県庁に入庁後、防災や危機管理業務を担当。
2015年静岡県庁退職後、静岡大学防災総合センターに入職。
専門分野は、防災政策や防災学。
< 現在の主な活動 >
静岡大学防災総合センターで防災科学研究に取り組む傍ら、静岡大学防災マイスター称号制度(学生向け)、ふじのくに防災フェロー養成講座(社会人向け) に携わる。防止あエキスパートとしてTVやWeb等にも出演し、一般市民向けに防災の大切さをわかりやすく伝えている。