一口にモロッコラグといっても、民族や産地によって種類もさまざま。年に数回、モロッコラグの買い付けに行くという「オルネ ド フォイユ」店主の谷あきらさんに、奥深いモロッコラグの世界をご紹介いただきます。
部族や産地によって種類もさまざま。奥深いモロッコラグの世界
年に数回はモロッコを訪れ、現地のコーディネーターに案内してもらいながら、各地の市場を巡ってモロッコラグを買い付けているという谷さん。
「モロッコラグは、もともと部族が織っていた民族的なもので、人気の『ベニワレン』も、ベニワレン族が織ったラグという意味で、部族や産地によってさまざまな種類があります。でもいまは少し様相が変わってきて、ヨーロッパの流行にも合わせたアート性の高いものや、現代の住まいや暮らしに合わせたモダンなデザインのラグも登場するようになりました」。
現在、「オルネ ド フォイユ」で取り扱っているラグは、ベニワレンの他に、ボシャルウィットとザナフィの2種類です。それぞれに他にはない民族的なルーツを持ちながら、現代の暮らしにも取り入れやすい魅力があると谷さんはいいます。
ウールに古着を裂いた生地を織り込んだアートなラグ「ボシャルウィット」
ベルベル語で「ボ」は父、「シャルウィット」は端切れという意味で、モロッコ各地のベルベル人の女性達によって、ウールに服の端切などのリサイクルクロスが織り込んで、織りあげられたものです。
「ボシャルウィット」は、まだラグとしての歴史は浅く、ベルベル民族が遊牧生活から定住生活へと生活スタイルが変化していく中で、羊を飼う必要がなくなり、ウールの代わりに自分たちの古着を裂いて織りはじめたといわれています。元々は自分たちの生活のため、嫁入り道具として織られていたそうですが、ひとつひとつが手仕事でアート性が高く、ヨーロッパを中心に評価が高まっています。
谷さんは「裂かれた布がふさふさして、足触りが良いのが特長です。柄は織った人のセンスがそのまま反映されて、サイズも不揃いで一つとして同じものがありません。個性的な空間をつくりたい方にぴったりのアートなラグ」だといいます。
ヨーロッパを中心に人気を集めるモダンなラグ「ザナフィ」
モロッコの民族的なラグとしてベニワレンの次に注目を集めているのが「ザナフィ」です。素材はウールですが、毛足の短いキリムタイプのラグで、いまの住まいにも取り入れやすいシンプルなデザインが特長です。モロッコ国内では、もともとタズナフトやブシャドなどの各地でカラフルなものがつくられていましたが、ここ数年はモダンなモノトーンやシックなネイビーやブラウンなどが登場し、マラケシュなどの都市部のクリエイターを通してヨーロッパでも流行するようになってきたといいます。
谷さんは「ザナフィは、モノトーンや生成と青、生成とグリーンといったようにナチュラルカラーをベースにしたものが多く、お部屋に合わせやすのも特長です。毛足も短く、足触りもサラっとしているので通年使え、春からの模様替えにもぴったり」だといいます。
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vol.3
「オルネ ド フォイユ」店主の谷あきらさんに、季節の模様替えにぴったりな人気のモロッコラグと
インテリアを素敵に変える床材の組み合わせについてご提案いただきます。
Profile
谷あきら AkiraTani
オルネ ド フォイユ店主。1994年に渡仏し、14年間のパリで暮らしを通して、DIYやインテリアを学ぶ。著書に『パリ流谷さんの週末DIY』がある。現在は、ご自宅リフォームの真っ最中。