IHクッキングヒーターは、火を使わず安全に調理でき、お手入れのしやすさや省エネ性能の高さから多くの家庭で支持されています。寿命は約10年が修理・交換の目安とされています。
本記事では、IHクッキングヒーターの修理・交換の目安や故障のサインについて解説し、長持ちさせるためのお手入れ方法も紹介します。
IHクッキングヒーターの寿命は10年ほど
IHクッキングヒーターの寿命は、一般的に10年前後となります。
ただし、使用環境やメンテナンスの状況によっては、10年以上使える例もないわけではありません。パナソニックの調査では、64%の家庭が実際に交換した時期を「購入より12年以上経過後」と回答しています。寿命や交換時期を意識し計画的に買い替えを検討しましょう。
2023年6月 パナソニック調べ「IHクッキングヒーターAシリーズ、Bシリーズについて」のアンケートより
IH買い替えをされた方の声
実際に買い替えを経験した方の最も多い買い替え理由は「壊れて使えなくなったから」というものです。
そのほかにも、加熱に時間がかかるようになった、グリルの匂いが気になるようになったなどいくつかの不具合が重なり、交換をした方もいます。
不調のまま使い続けることは調理のストレスだけでなく、不具合による事故に繋がることもあります。そのため、完全に壊れる前に新しい機器へ切り替えることが大切です。
IHクッキングヒーターの取替えきっかけ
新しいIHへの交換を検討する際に、「本体ごと大掛かりな工事で交換しなければならないのでは」という不安を感じる方は少なくありません。
しかし、実際にはキッチンを丸ごと変えなくても、コンロ部分だけを交換して使えるケースが一般的です。さらに、元々のシステムキッチンにそのまま合う規格が主流であり、規格サイズの場合は少ない手間で導入できると考えて良いでしょう。
ここでは交換を検討するきっかけと、知っておきたい基本的なポイントについて解説します。
コンロだけの交換が可能
IHの取替えは、リフォーム・リノベーションの機会だけでなく、キッチンはそのままでコンロ部分だけ入れ替えるケースも多々あります。
当社調査※によると、IHからIHへの交換は、古くなったことをきっかけにコンロ部分だけを交換される方が多く、次いでリフォームをきっかけとした買い替えになっています。しかし、全体の半数近くの方がコンロのみの交換が可能であることを知らないことが実情です。
古い機器を取り外して新しいものと交換する作業は比較的手軽で、大きな負担なく実施できます。壊れてから慌てる前に「コンロ部分だけの交換」という選択肢を持ち、寿命のタイミングに備えましょう。
2019年4月 パナソニック調べ N=1200
コンロだけの交換
日本製のビルトインタイプは、ガス・IHともに約20年前からサイズや規格が大きく変わっていないため、古い機器から新しい機器への取替えがスムーズに行えます。キッチン全体を工事する必要はなく、既存のスペースにそのまま設置できる点が大きなメリットです。
長年使っていたガスコンロをIHへ切り替える場合も、基本的にはコンロ部分を入れ替えるだけで対応できます。ただし、IHには200Vの電源が必要です。ガスからの変更を行う際には電気工事が必要になる場合があるため、事前に電源の有無を確認しておきましょう。
IHクッキングヒーターの寿命サインと交換タイミングの見極め方
IHクッキングヒーターを長年使っている場合には、電源の反応が鈍くなったり加熱に時間がかかるようになったりと、調理中に細かな違和感を覚えることがあります。
このような変化は内部劣化による寿命の兆候の可能性があります。ここでは、交換を検討すべき代表的な症状について見ていきましょう。
電源が入りにくくなる
電源スイッチを押しても何だか反応が遅い、何度か操作しないと起動しないといった症状は、内部部品の劣化や汚れの付着による寿命のサインの可能性があります。
そのまま無理に使用し続けると、さらなる故障や漏電のリスクにつながる場合もあります。設置から10年以上経過している場合は、買い替えを検討し、早めに対応して突然の故障に慌てないようにしましょう。
お湯が沸かない・時間がかかる
お湯が沸くまでに以前よりも時間がかかるようになった場合は、火力が弱くなった可能性があります。加熱性能が落ちると火力の安定性が失われ、調理全体に支障をきたすことがあります。
まずはトッププレートやセンサー部分の汚れを落とし、使用している鍋やフライパンがIH対応製品であるかどうかを確認しましょう。それでも原因が分からない場合は、経年劣化による性能低下が考えられます。
加熱性能の低下は光熱費の無駄にもつながるため、早めの点検や買い替えがおすすめです。
一部機能が使えなくなる
温度調節や安全装置など一部の機能が使えなくなった場合は、機器の寿命が迫っている可能性があります。接触不良やセンサーの劣化で、切り忘れや空焚き時に自動で電源をオフにするなど防止機能が正常に動作しなくなると安全面でリスクとなります。
機能低下のサインが見られたら、速やかに点検・交換の対応をとりましょう。
異音が発生する
調理中に普段と異なる音に気付き、断続的に続いたり、頻発したりする場合は注意が必要です。
内部部品の劣化や故障が進行している可能性があるため、早めに点検を依頼しましょう。
IHクッキングヒーターが故障したら修理か交換か?
不具合が生じた際に、修理すべきか買い替えるべきかで迷う方は多いのではないでしょうか。修理する場合はコストを抑えられますが、新しい機器に交換すれば性能や安全性が向上するメリットがあります。
ここでは長期的に安心して使用するための修理と交換の判断基準をお伝えします。
IHクッキングヒーターの修理が適するケース
使用を始めてからあまり年数が経っていない段階での故障であれば、修理が適している可能性があります。保証期間中であれば、無償もしくは低コストで修理できる場合があります。
不具合が出ている個所が少なく軽度である場合は、純正部品の交換対応により本来の性能に回復することもあるでしょう。
IHクッキングヒーターを交換すべきケース
使用開始から10年以上が経過している場合は、修理よりも交換をおすすめします。経年劣化による不具合の場合、修理してもまた別の場所で不具合が発生することが多く、結果的に修理費がかさむことにもなりかねません。
新しい機種は省エネ性能が向上しているため、交換時に費用がかかったとしても長期的には光熱費削減につながるでしょう。
IHクッキングヒーターを長持ちさせるためのポイント
IHクッキングヒーターは日々の使い方や扱い方次第で寿命が大きく異なってきます。丁寧に扱うことで長く快適に使用することも可能です。
ここでは、IHクッキングヒーターの扱い方について押さえておきたい具体的なポイントを紹介します。
IH対応調理器具を使用する
調理器具を使用する場合は、IH専用の対応器具を使いましょう。
非対応の調理器具を使用した場合、出力不足や誤作動の原因になることもありえるため、安全面からも、IH対応器具の使用は不可欠です。
トッププレートの破損防止を意識する
IHのトッププレートはデリケートな部分です。傷がついたり割れたりすることで故障の原因となることがあるため注意が必要です。
重い鍋をうっかり落としてしまったり、変形した鍋を使ったりすると、ガラス製の天板に強い負荷がかかります。空焚きも過熱によるダメージを受けてしまうため注意しましょう。日頃から丁寧な扱いを心がけることが大切です。
吹きこぼれ防止で故障リスクを減らす
料理中の吹きこぼれは、機器にダメージを与えるリスクがあります。操作パネルや本体内部に液体が侵入すると、電子回路が故障してしまう可能性があるためです。
鍋に材料を入れすぎない、沸騰しているときは火力を下げる、調理中は目を離さないことを心がけ、吹きこぼれを防ぐことが機器の寿命を延ばす鍵となります。
IHクッキングヒーターの寿命を延ばすお手入れ方法
IHクッキングヒーターは、毎日使用する調理機器だからこそ日ごろのお手入れが大切です。油分や汚れが蓄積すると劣化や故障の原因にもなりかねません。
ここでは、誰でもすぐに取り入れられる基本的なお手入れ方法について解説します。
日常の簡単なお手入れを習慣化する
お手入れのために特別な道具は必要ありません。調理後すぐに固く絞った布巾で拭くだけで、ほとんどの汚れは落とすことができます。油汚れが目立つ場合は、中性洗剤を含ませた布巾を使い掃除をしましょう。そうすることできれいな状態を保てるでしょう。
メーカーや機種によって適切なお手入れの仕方が異なるため、メーカーごとの注意事項を守り、お手入れを行いましょう。
まとめ
日々の使い方とお手入れがIHクッキングヒーターの寿命を決める
IHクッキングヒーターの寿命はおよそ10年とされていますが、実際にはそれよりも長期間にわたって使用している家庭も少なくありません。日々の使い方とお手入れがIHの寿命を左右します。また、加熱性能の低下や異音など、故障の兆候を見逃さず早めに点検や買い替えを検討することが大切です。
寿命を見極めつつ適切なタイミングで点検、交換することにより、IHクッキングヒーターの安全性と快適性を維持できるでしょう。







