相続税の改正で、知っておきたいこと

相続税の改正で、知っておきたいこと

相続税の改正が大きな関心を集めています。自分には関係ないと思っていたら、実は納税対象者だったなんてことも!2015年1月から相続税が改正され、基礎控除が大幅に引き下げられることもあって、相続税対策の一つとして二世帯住宅が改めて見直されています。相続税の改正と二世帯住宅のメリットについて考えます。

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関係ないと思っていた相続税が、他人事ではなくなる

相続税は資産家の人たちが気にする問題だと思っていたら、今回の改正で、2015年1月から「基礎控除額」が大幅に引き下げられることで、みなさんも相続税の納税義務が生じる可能性がでてきました。

親などから財産を相続した場合、相続税の「基礎控除額」までは相続税がかかりません。相続税額は、相続財産の評価額から「基礎控除額」を差し引いて「税率」をかけたもの。その「基礎控除額」が相続税の改正で引き下げられることになり、その結果、課税対象額が増え、納税が必要になる人が増えると言われています。

■改正で課税対象額が増える

用意しているが90%。用意していないが10%

基礎控除額が引き下げられたことで、相続税の課税対象額が増えます。都心に一戸建て住宅を持っている場合などは、相続税の支払いの対象になる可能性が高まります。

■相続税の計算(相続人が配偶者と子ども1人の場合)

用意しているが90%。用意していないが10%

二世帯住宅が相続税対策になることも

相続税対策には生前贈与という方法があります。家を建てたいと考えているなら、「相続時精算課税制度」を利用し、親から資金贈与を受けると、2,500万円まで贈与税が非課税になります。2014年中であれば、贈与税の非課税措置(住宅購入資金の贈与に限り500万円まで非課税)を併用することができます。
注意しないといけないのは、相続時精算課税制度を利用して、贈与した財産は相続時に相続財産に加えられるので、相続税が課税されるケースもあります。相続税を払わなくてもいい人(基礎控除額以内で収まる人)は、結果的に贈与税も相続税もかからないことになり、お得な制度なので、生前贈与をするのが得かどうかよく検討する必要があります。

では、相続税を減らすにはどうしたらいいのでしょうか。相続税には、マイホームの敷地に対する「小規模宅地の特例」があり、土地の評価額が8割減額される制度があります。二世帯住宅は、これまで建物内で行き来できない場合は、同居とみなされず特例を利用できなかったのが、2014年からは玄関が別になる完全独立型の二世帯住宅でも同居とみなされるようになり特例の対象になりました。親の土地に二世帯住宅を建てて、同居することで土地の評価額を8割減らすことができます。また、2015年からは、対象となる土地面積の上限が240m2から330m2まで引き上げられます。土地の評価額が330m2まで80%減額される特例が受けられます。

■二世帯住宅の完全分離型も特例の対象に

完全同居型

親世帯、子世帯が完全に一緒に暮らす二世帯住宅のみが対象だった

完全分離型

内部で行き来ができない独立型の二世帯住宅でも特例の対象に

二世帯住宅を考えていた方にとっては、相続税対策にもなるので、大きなメリットとなります。ただ、子ども(相続人)が2人以上いる家庭は、二世帯住宅の建て方に注意が必要です。二世帯住宅のタイプによっては、親が亡くなり、相続財産として分けようと思った場合に分けられないことがあります。完全分離型の二世帯住宅にして、将来空いた部分を貸せるようにしたり、敷地を分割できるように建物を建てるなど、遺産分割も考えて相続対策を事前に考えておきましょう。
二世帯住宅の適用要件については、税理士など、専門家に相談することをおすすめします。

内容監修:CFP®・宅地建物取引主任者 海宝 賢一郎 氏

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この記事は、2014年9月24日現在のものとなります。

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