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2012年12月19日更新

「こんな暮らしがしたい!」あなたの夢や希望を実現するスタイルをご紹介します。

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愛犬と四季のうつろいを楽しむ住まい

相模湾に臨む保養地としても知られる神奈川県・葉山町の丘陵地に完成した住まい。山にも海にも車で10分という環境の中で、アウトドアスポーツが趣味のご夫婦が、愛犬といっしょに自然と生活を満喫できる安住の場として建てられました。北向きの斜面に建てられた薄墨色の外観が目を引く2階建ての住まいは、リビングや浴室からも周囲の四季を楽しめます。また、年齢を重ねた愛犬のことも考えた住空間への工夫が、穏やかで快適な暮らしを実現しています。

Point

  • 1.愛犬と自然の中でのびのび暮らしたい
  • 2.眺望を活かしながら、機能的な間取りに
  • 3.換気システムで、快適に長く住む
  • 4.愛犬のための工夫が、ご夫婦にも過ごしやすい家に
  • 5.楽しい動線と小さな工夫で居心地のよい空間

1.愛犬と自然の中でのびのび暮らしたい

施主のK様ご夫婦は、愛犬と暮らし始めて10年の3人家族。黒いラブラドールレトリバーの「ヒナヒナちゃん」は、家族の一員としてなくてはならない存在です。
新居を建てるにあたり、ご主人の東京への通勤や、二人が好きなアウトドアスポーツ、愛犬との散歩が楽しめる環境を探しました。その結果見つけたのは、海山の自然に恵まれた三浦半島の中央に位置する葉山町の山間。海岸にも山にも気軽に行ける思い通りの立地条件でした。
それまでの住まいは、戸建ての借り家で改築することができず、階段が急だったり、歳を重ねた愛犬との暮らしには不安なところもありました。また、奥様が自宅で翻訳の仕事をされているため、仕事場としての快適性と家事のしやすさを備えた住まいを望まれました。プランは、建築家と相談しながら決めましたが、ご要望されたのは、夫婦で料理ができるキッチン、奥様の仕事のためのスペース、そしてヒナヒナちゃんのためのドッグバスとトイレスペースなどでした。

北斜面の敷地に建つK邸。
風通しもよく陽の当たる勝手口がお気に入り

2.眺望を活かしながら、機能的な間取りに

住まいは3LDK。間取りは、1階が玄関、キッチン、リビング・ダイニングと一列に配置。2階は、主寝室と1.5畳の奥様の仕事スペース、それに客間、室内干し専用のスペース、水まわりが機能的にまとめられています。
谷側に配置された1階リビング、2階のバスルーム、洗面室からは周囲の山々が望め、朝の洗面、昼のリビングでのくつろぎ、夜のバスタイムと、一日の生活時間に合わせて自然の変化を楽しむことができます。

キッチン、リビング・ダイニングから、豊かな眺望を楽しめる
2階にある主寝室。裏側のウォークインクローゼットは寝室との仕切りにもなっている

3.換気システムで、快適に長く住む

躯体は、断熱性能を高め、夏は涼しさを保ち、冬は薪ストーブで熱が逃げないようにしています。夏は北からの風がリビングを通って玄関まで抜けるため涼しく、エアコンいらず。冬は夕方から暖炉を焚けば朝まであたたかいそうです。それでも、薪ストーブは1階の床と2階の天井の温度差が大きくなってしまうため、換気システムを搭載。リビングの床下から2階のウォークインクローゼットにダクトを通し、夏は床下の涼しい空気を2階に、冬は2階のあたたかい空気を床下に送り、床もあたためます。床下の湿気を排出できるので、家の耐久性が上がり、長く住める家になるというメリットもあります。

夏は、リビングから玄関へ風が通る。冬は、薪ストーブであたたかく。

4.愛犬のための工夫が、ご夫婦にも過ごしやすい家に

以前の住まいは、ヒナヒナちゃんが玄関を通ると靴が散らかることも。散歩の後に、足を洗いにお風呂場まで抱えていくのは一苦労。犬のトイレがリビングの一画にあるのも気になっていました。
新居では、玄関と並んで勝手口を設けました。ご夫婦が出入りする玄関と分けたことで、玄関の靴は散らかりません。勝手口にドッグバスを設け、散歩や山登りで泥だらけになってもすぐに洗えます。また、リビングの階段下に専用のスペースを作り、気になるトイレも目につきにくくなりました。また、壁材や天井材には、火山灰が含まれた100%天然素材の仕上げ材を使い、気になるにおいを防ぎ、吸湿効果も高めています。
ヒナヒナちゃんは現在10歳で、人間でいうと60歳くらいです。これからのことを考え、階段も踏み面を広めにし、段差を低くして上り下りしやすくしています。階段は、集成材のクウォーターパイン、フローリングは無垢で柔らかいパイン材にしました。愛犬のための工夫でしたが、上り下りがしやすい階段、素足でも気持ちよく掃除がしやすい床は、ご夫婦にとっても過ごしやすい家になりました。

右側がご夫婦が出入りする玄関、左側はヒナヒナちゃんが出入りする勝手口。
勝手口を入ってすぐにあるドッグバス。
階段下のヒナヒナちゃんのためのスペース。
中にある小窓から、外の景色を眺めて楽しんでいる。

5.楽しい動線と小さな工夫で居心地のよい空間

K邸には、玄関と勝手口と台所、主寝室とウォークインクローゼットなど、あらゆるところが回遊式になっています。建築家は、「動線が少なく廊下の少ない家は合理的ですが、歩き回れる家の方が楽しい家だと思う」と話されています。
リビングからつながるウッドデッキは、床からの高さを30cm高くし、腰かけられるようにしています。開口部ですが、ベンチという家具の役割もはたしています。小さな工夫があることで、より居心地のよい住まいになっています。
眺望に恵まれた立地ながら、心配だったのは北側のリビングが暗くなってしまうこと。このため、リビングはいつでも光が入ってくるように、仕切りをなくしたワンルーム。朝は、ウッドデッキにつながる北側の大きな掃き出し窓と東側の目の高さにある窓から、昼は吹き抜けにある天窓から、夕方は玄関と勝手口から光が差し込みます。
ご夫婦は、「帰宅する時の玄関を開ける瞬間が一番の楽しみです。開けると、すぐに玄関からリビングと山の景色が見えます。四季のうつろいを日々感じることで、毎日違う家に帰ってくるような楽しみがあります。」と話されています。

奥にあるウッドデッキは30cm高くなっているので、腰かけることができる。
山の景色が日々変わることで、違う家のような楽しみがある。

■建築概要

所 在 地

神奈川県三浦郡葉山町

設   計

伊礼智設計室

構   造

木造2階建て

敷 地 面 積

188.18m2

建 築 面 積

45.83m2

延 床 面 積

82.18m2

竣   工

2011年

工   期

180日

●主な外装仕上げ

屋根
:ガルバリウム鋼板
:杉板張り

●主な内装仕上げ

壁・天井
: 火山灰を含む天然素材
:レッドパインフローリング

■平面図