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2009年5月27日更新

「こんな暮らしがしたい!」あなたの夢や希望を実現するスタイルをご紹介します。

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自転車を眺めて暮らす夫婦2人のホビーハウス

名古屋市内の中心部でありながら、大通りから奥まったことで静かな環境に位置する、マンションの一室。中に入ると築29年を経た外観からは想像も付かない、ウッドデッキのリゾートフルなアウトドアスペースや、ガレージのようなホビールームが広がっています。若いご夫婦が、9階から望む爽快な景色と、ワイドスパンの贅沢なバルコニーに惚れ込んでリノベーションを決断。趣味とリラクゼーションに満ちた住空間を描き出すまでの過程と共に、都心に居ながらゆったりとしたリズムで暮らしを楽しめる住まいの魅力をご紹介します。

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Point

  • 1. 夫婦の価値観がリンクする、趣味とくつろぎの家
  • 2. バルコニーに一目ぼれして、本格始動したリノベーション
  • 3. キメすぎない空間がホッとする、絶妙のバランス感覚
  • 4. 住まいのあちこちでゆったりできる、癒しに満ちた暮らしへ

1.Lifestyle 夫婦の価値観がリンクする、趣味とくつろぎの家

サイクリングに、陶芸、美術鑑賞、キャンプ、ラジコン、インテリアショップ巡り…。とにかく多趣味なNさんご夫婦のライフスタイルを象徴しているのが、自転車のガレージ、書斎、パソコンコーナーを兼ねたホビールームです。「リビングの中にガレージがある感覚にしたかった」というお言葉通り、LDKでくつろぎながら、パーティションの向こうに仲良く2台飾られた愛車を眺めることができ、いつでも趣味と隣り合わせの生活。お気に入りのモノたちがディスプレイされた心地いい場所で、休日にゆっくりサイクルメンテナンスをするのも楽しいひとときだそうです。
同じ大手自動車メーカーにお勤めでありながら、知り合ったきっかけが職場ではなく、社外の陶芸サークルだったというのも、微笑ましいエピソード。ダイニングキッチンには自作の器が収められるどっしりとしたカウンターが据えられ、カフェのようなバーのような、くつろげる雰囲気を醸し出しています。車のデザインがお仕事で、日ごろ緊張を強いられるお2人にとって、頭を空っぽにしてのんびり過ごす場所は何よりも大切。「リラックス」というキーワードが、趣味同様に住まいの大きなテーマとなっています。
とりわけリラクゼーション効果絶大なのが、眺めのいいウッドデッキのバルコニー。好きだと思えるモノ、居心地がいいと思える空間など「お互いの価値観が一緒で、住まいづくりの方向性もすんなり決めることができた」とおっしゃるご夫婦が、そろって一目ぼれしたのだそうです。マンション購入の決め手になったという眺望バルコニーと出会いには、いったいどんなドラマがあったのでしょうか。

下部に陶芸作品が収まるカウンター。天板は陶器の底で傷付いても気にならない素材や色柄を厳選した。愛用のパスタマシンで生パスタを作る時は、作業台にもなる。

ガラスのパーティションでリビングと仕切ったホビールーム。自転車が飾られた空間はフロアタイルの採用など細部にこだわりが。


2.Planning バルコニーに一目ぼれして、本格始動したリノベーション

共に海の側で育ち、老後は海辺で田舎暮らすのが夢だというNさんご夫婦。定年までは賃貸で十分と考えていましたが、希望していた駅徒歩10分の通勤圏内で適当な賃貸物件が無く、戸建てや中古マンションの購入も視野に入れることに。最終的には自由度の高いリノベーション物件にターゲットを絞りました。
これだと感じたのは、あるリノベマンションのオープンハウスに訪れた際です。「マンションに塗り壁という発想自体、新鮮でした」という珪藻土の壁など、心惹かれるポイントが多く、早速、設計・施工を担当した会社に連絡。気に入った物件の図面を持参して、描きたい空間の実現度をプロの目から判断してもらいました。
そんな中、運命の物件との出会いが…。25m²近いバルコニーを含めれば、100m²以上という広さに「都心にしてはゆとりがあって、何よりこれほどの外部空間が取れる中古物件は、なかなか無い」と、まずは奥様が一目ぼれ。「住所を聞いた時は、街中なのでリラックスできるか不安でした」というご主人も、景色を眺めた瞬間に快諾。静かな立地も決断を後押ししました。
プランニングに当たっては、最初にお2人と設計担当者との間で、じっくり話し合う時間が持たれました。趣味や実現したい暮らし、リタイア後の計画まで理解してもらったことで、意思疎通がスムーズになり、提案されるデザインと思い描いたイメージの間にズレが少なかったのだとか。後は価格や構造上の制約と、どう折り合いをつけるか。合計6枚に及ぶ図面で細かな改善を繰り返すうち「何を残し、何を省くべきか、優先順位も自然とはっきりしてきました」とのこと。デザイナーの発案で当初予定になかったセルフビルドにも挑戦。壁の一部を自分たちで塗って、さらに愛着が増しました。

リビングの壁面にカルクウォールというスイス漆喰を使用して、施主のNさんご夫婦自ら塗装。ボコボコとした質感や色ムラを味わいとして楽しむのが狙い。

物件決定の決め手にもなった、眺めのいいバルコニー。現在はウッドデッキが敷かれ、アウトドアリビングのような雰囲気に。


3.Focus キメすぎない空間がホッとする、絶妙のバランス感覚

真っ白な玄関ホールは、大容量の玄関収納も同色でまとめて壁面と一体に。広々した印象を強調している。

こだわりを詰め込んで完成した住まいは、斬新でありながら、どこか懐かしくなごめる雰囲気。「一分の隙も無くキメるのではなく、ホッとできるヌケ感を大切にした」のが秘訣だそう。英国製の青炎式ストーブやイームズのスツール、ミュシャの作品など、異なるテイストが絶妙のバランスで心地良く配置されています。「インテリアとモノが喧嘩しては困るので、フィギュアなどの置き場はパーティションで仕切られたホビールームにしました」というように、考え抜かれたゾーニングの賜物と言えるでしょう。
またガラスモザイクのタイルが美しい洗面カウンターなど、つくり込んだ造作家具がある一方、既存の住宅設備を上手に利用しているのも特徴。「全部つくり込み過ぎると、かえって居心地悪いし、コスト面も釣り合いが取れない。オリジナルだけに固執せず良い製品は活用したい」と語るご夫婦のバランス感覚がここにも垣間見えます。中でもドアや収納設備は、個性的なモノを引き立てる、すっきりした機能美に徹しました。例えば壁面の淡いグリーンが印象的な子ども部屋では、ナチュラルな木の風合いを残した白いドアが、ポイントカラーを際立たせる装置として利用されています。また玄関収納は、扉や機能の組み合わせが自由なユニットの中から、開き扉が連続するシンプルなプランを選択。収納力を確保しつつ存在感を抑えて、玄関部分の広さを強調しています。
絵画やオブジェが映えるギャラリーのような玄関ホールに、もうひとつ欠かせないのが照明の効果。硬質なホワイトに黄味がかった光が当たることで、柔らかい表情を与えることに成功しています。Nさん邸では、白色系ランプの照明器具をほとんど使用していないとのこと。温かみのあるあかりがくつろぎを深め、癒し空間の総仕上げをしているようです。

照明を点灯するとガラスモザイクが明るい色合いに、消すと深みのあるターコイズに変化する洗面カウンター。(右) キッチンカウンターは、ベネチアンガラスのランプと、飾り棚を照らすスポットライトの2灯を用意。(左)
将来の子ども部屋は、パステルグリーンの壁を基調に。ドアの扉をはじめ、インテリアは自分でコーディネート。

4.Voice 住まいのあちこちでゆったりできる、癒しに満ちた暮らしへ

最後に「家の中で一番くつろげる場所は?」と質問すると「やっぱりバルコニー」というお答えが返ってきました。ホビールーム・リビング・寝室の3室にまたがるワイドスパンのアウトドアスペースで、パノラマを眺めながら食事をしたり、お酒を飲むのがたまらなく爽快なのだとか。床に敷かれたウッドデッキは分割式で、メンテナンスのしやすさにも配慮。
リビングとホビールームの境界がガラスパーティションなので、室内も広々とした開放感があります。「別々の場所に居てもお互いの顔が見え、気配を感じることができるのがいいですね」と、お2人もすっかり満足のご様子です。仕切りがあることで冬場の暖房効率が向上し、なおかつ狭さや閉ざされた雰囲気を感じさせないので重宝するのだとか。夏場も、パーティションのガラス窓を開けることで、室内に風の通り道ができ、涼しく過ごせるそうです。施工を担当していた大工さんが「このパーティションとウッドデッキは、ウチにも欲しい」と絶賛したというのも頷けます。
昨年末の引っ越し以来、新居訪問を兼ねて次々と遊びに来る知人たちも、そろって長居していくのだそう。面白いのは、時間が経つごとに女性陣はリビングのソファー、男性陣はホームバーを兼ねたキッチンカウンターの周りというように、思い思いの場所へ集まり始めること。きっと、住まいのあちこちにくつろげる場所があるからなのでしょう。「都心に住んでいるのに、家が心地よすぎて外食の機会がめっきり減りました」というご夫婦の笑顔が、何より居心地の良さを物語っていました。

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お気に入りのインテリアや物が配され、ご夫婦にとって居心地の良い住まい。リビング、ダイニングキッチン、ホビールームなど、あちこちにくつろげる場所が。


■建築概要

所 在 地

愛知県名古屋市

設計・監修

アネストワン

施   工

アネストワン

構   造

鉄筋コンクリート造10階建てマンション

専有面積

77.76m²

バルコニー

24.52m²

施工面積

102.28m²

施工金額

約800万円

築 年 数

29年

竣   工

2008年12月

工   期

45日

●主な内装仕上げ

壁:
ビニールクロス(一部カルクウォール)
床:
フローリング、フロアタイル
天井:
ビニールクロス

■平面図