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2007年6月更新

「こんな暮らしがしたい!」あなたの夢や希望を実現するスタイルをご紹介します。

愛犬との明るく清潔な空間を「分離」で実現した快適な住まい

大阪府池田市の閑静な住宅街に建つT邸。愛犬との快適な暮らしを思い描いて建てた住まいです。犬専用の部屋と自由に動き回ることのできる地下通路を配し、居住空間を分離させながらもお互いの様子を確認でき、大切なアイコンタクトも可能な“安心で心地よい距離感”を実現しています。明るく清潔な空間を「分離」という形で実現した、愛犬との快適な住まいをご紹介します。

Point

  • 1.快適に共生するための機能性を追求
  • 2.愛犬の部屋を中心に配した分離型プラン
  • 3.トンネルと通路でぐるぐる回れる犬専用スペース
  • 4.光が射し込む明るく清潔な空間を実現

■平面図

※間取り図内の矢印をクリックすると画像とキャプションが表示されます。

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1.快適に共生するための機能性を追求

※間取り図内の矢印をクリックすると画像とキャプションが表示されます。

閑静な住宅街に建つT邸。施主のTさんご夫婦が、体の弱い愛犬との暮らしやすい住まいを求めて建てた新築の一戸建てです。
Tさんご夫婦の要望は、まず、「愛犬バルのために、世話をしやすいように使いやすくしたい」というもの。具体的には、以前の住まいでは、愛犬と同じスペースでの暮らしだったために、犬の抜け毛などで汚れやすく掃除が大変だったことから、「掃除をしやすくしたい」、「散歩から帰ったら体の汚れなどを洗いやすくしたい」などの機能性と、「清潔な空間」、「明るい空間」にしたいというものでした。
以前の3階建ての住まいでは、散歩やシャンプーのたびに、身体の大きなジャーマンシェパードを階下に移動させるという、犬にとってもTさんご夫婦にとっても負担の大きいものでした。その思いから、「平屋」を要望していました。そこで、負担軽減策として建築家が提案したのが、いわゆる“内犬”という同居プランではなく、「分離型」という新しいタイプの犬との共生プランでした。

四六時中、愛犬バルと一緒にいたいという奥様。快適な共生のために、機能性を要望。

水回りを集中させ、バスコートも犬専用に。ガラスで仕切り、衛生面にも配慮されている。手前は、洗面室、左奥は浴室。


2.愛犬の部屋を中心に配した分離型プラン

※間取り図内の矢印をクリックすると画像とキャプションが表示されます。

T邸の間取りは、ゆったり広いスペースを確保した3LDK+犬の部屋。犬の部屋はテラス付きで、身体の大きなジャーマンシェパードでもゆったりくつろげる7畳大を確保しています。
愛犬といえども、気になる臭いや汚れは防ぎたいもの。T邸では、居住スペースに犬のスペースを取るのではなく、犬専用の部屋を確保して分離させています。
T邸の1階部分の間取りは、犬の部屋を中心に居住スペースをコの字型に配した間取りになっています。犬の部屋から見て、南にリビング、東にキッチンとダイニング、北側に寝室。間仕切りは壁ではなく、リビングのサッシとキッチンのガラス、寝室のサッシで囲まれたガラス張りのスペースが愛犬バルの部屋です。
コの字型に間取りを配したことで、どの部屋にいても愛犬の姿を確認することができます。手の届く近さに居ながら、犬専用の部屋をつくり、分離させたことで、気になる臭いや汚れをシャットアウトしています。

部屋の分離により、匂いと汚れをシャットアウトしつつ、いつでもアイコンタクトは可能。

愛犬バルの部屋をガラスで仕切ることで、お互いの視線を確保。


3.トンネルと通路でぐるぐる回れる犬専用スペース

※間取り図内の矢印をクリックすると画像とキャプションが表示されます。

分離したのは、犬専用の部屋だけではなく、T邸には、犬専用のトンネルと家の周囲、南面・東面・北面に回廊のように犬が自由に動きまわれる通路があります。
犬の部屋からは、リビングの床下に位置するトンネルを抜けると、回廊の南側デッキ部分に出ることができます。デッキ部分右手には、石灰石を敷き詰めた犬専用のトイレ、左手に進むと土のエリア。ここは、ガーデニングも楽しめます。
その先に、身体を洗うバスコートがあります。リビングから、「バル、シャンプーしよう!」と声を掛ければ、部屋からトンネルを抜けて、バスルームと洗面室に接したバスコートで愛犬と合流することも。
分離型プランとトンネルと回廊でバスコートに誘導することで、機能性への要望も満たしています。
トンネルは、床下を掘り下げ、犬の身体が通り抜けられる70cm×80cmの広さの通路を確保。メンテナンスは、水流で洗い流しやすいように、水が流れる程度のゆるやかな傾斜をつけています。
T邸では、採光の関係からハイサッシを採用しています。ハイサッシを介して、トンネル以外の部分を走り抜ける愛犬の姿を確認することができるようにもなっています。

犬の部屋に隣接する階段下が、トンネルの入口。

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■断面図(東面)

※間取り図内の矢印をクリックすると画像とキャプションが表示されます。


4.光が射し込む明るく清潔な空間を実現

※間取り図内の矢印をクリックすると画像とキャプションが表示されます。

当初、T邸では、平屋で設計プランが進んでいました。そろそろプランを確定しなければならない頃に、お子様の誕生がわかり、急遽、2階建てに変更することになりました。1階部分のプランはほぼ確定していたため、2階に将来のための子ども部屋を取ることに。
要望の1つ、「明るい空間」を実現するために、道路に面する西側にTさんの部屋、敷地の奥に当たる北側にお子様の部屋を配置。その間を、吹き抜けと階段・廊下、屋外部分はデッキでつなぎ、西側のガラス越しに採光を確保。吹き抜けから、1階のキッチンまで光が降り注ぐ、1階も2階も明るい空間を実現しています。
また、2階部分は、素足でも気持ちのよい無垢のナラ材を採用、内装は白を基調に、フローリングの色をナチュラル系でまとめたことで、より一層、明るさ感のある空間になっています。1階は、床に大理石、キッチンはIHクッキングヒーターの採用で、要望の1つの掃除もしやすく機能的になっています。
Tさんご夫婦と建築家との出会いは、愛犬とのいつもの散歩道で建築家の手がけた一戸建てを見かけたことから。愛犬バルの導きと建築家の「分離型」というアイデアで実現した快適で機能的な住まいにTさんご夫婦は、とても満足されています。

Tさんの部屋。スクリーン付きで、ドア、壁も防音仕様。シアタールームに変わる。

採光を階下にもたらすと同時に、家族の気配を感じる吹き抜け。手前が子ども部屋、奥はTさんの部屋。


■建築概要

所 在 地

大阪府池田市

設   計

関谷昌人(PLANET Creations 関谷昌人建築設計アトリエ)

施   工

大種工務店

構   造

鉄骨造2階

敷地面積

217.79m²

建築面積

94.33m²

延床面積

156.17m²

竣   工

2005年11月

工   期

約180日

工 事 費

4,725万円(設備含む)