提案したいのは「ミングル・スタイル」
「ミングルのある暮らしを見てもらうことで、料理ってこんなにシンプルになるんだ、その方が楽しいかもと思ってもらえたら嬉しい」と有賀さん。日々、ミングルを作った経緯やその使い心地を、SNSで発信しています。それはレシピを伝えるだけでなく、スープのある暮らしを始めることで毎日がちょっとラクになったり、美味しい時間を楽しめたりというライフスタイルも提案してきた、有賀さんならではの発想でしょう。
ミングルをきっかけに、これからの時代のライフスタイルを発信していきたいと語る有賀さん。
従来のキッチンから不要なものを削ぎ落とし、動線をシンプルにする。それだけで料理にまつわる家事は、ぐっと快適になるといいます。
それぞれの家庭でも取り入れられそうな、家事ラクのポイント、おすすめの調理器具を聞いてみました。
提案したいのは「ミングル・スタイル」
「ミングルのある暮らしを見てもらうことで、料理ってこんなにシンプルになるんだ、その方が楽しいかもと思ってもらえたら嬉しい」と有賀さん。日々、ミングルを作った経緯やその使い心地を、SNSで発信しています。それはレシピを伝えるだけでなく、スープのある暮らしを始めることで毎日がちょっとラクになったり、美味しい時間を楽しめたりというライフスタイルも提案してきた、有賀さんならではの発想でしょう。
ミングルに込めた家事ラクのポイント①「動線をシンプルに」
「ミングルを作ってみて、自分の行動や考え方が、いかに住まいという環境で限定されていたかに気づきました」と有賀さん。
ミングルで料理にまつわる動線をできるかぎりシンプルにしたことで、「毎日の家事が本当にラクになった」のだそう。
料理ができあがる場所と、盛り付ける器を収める場所を近くにする。銘々皿やカトラリーを食卓の近くに置くことで、家族と食事の支度を分担する。
また食洗機を食卓のすぐ下に入れたことで、食べる→洗う→片付けるまでを、ほとんど移動せずに行う、というアイデアも参考になりそうです。
意外な効果だったというのが、冷蔵庫が食卓の横にあるということ。
「味付けがちょっと物足りないなというときにも、座ったままで冷蔵庫のマヨネーズやポン酢に手が届くんですよ(笑)」。
ミングルに込めた家事ラクのポイント②「家事の工程を減らす」
スープを煮込んだり、さっと焼く料理などには使いやすい一方、油が飛び散ってしまう揚げ物や強い火力が必要な中華の炒め物といった料理には向かないミングル。
「つまりキャンプみたいに、『あるものでやるしかない』。これしかできないと思えば、複雑な料理をしない後ろめたさからも解放されますよね(笑)」。
また少ない材料でもスープは美味しくできるように、機能が限られているからこそ、料理のイマジネーションも広がると有賀さんは語ります。
「せいろで蒸した豆腐をそこから食べる。お皿にもなる鉄鍋で厚揚げやピーマンなどの野菜を焼いて、熱々のまま食卓へ出す。みんなで鍋を囲む感覚で、スープをよそいながら食べるのも楽しいのではないでしょうか」。
また有賀さんの腕の長さに合わせて95センチ角にしたフラットな天板は手入れが簡単なように、リフォームの段階で、毎日の掃除の手間を減らす工夫を考えておくのも大切かもしれません。
調理道具もシンプルに!使いやすくて便利。有賀さんおすすめの調理道具
料理の初心者にはもちろん、キッチンをすっきり整理して、料理もシンプルに、使いやすくしたい人にもおすすめの調理器具を有賀さんに教えてもらいました。
「まな板は、切ることに慣れていない人ほど大きめがおすすめです。包丁が苦手という人も、皮むきのピーラーとスライサー、ステンレスのキッチンばさみがあれば幅広い調理ができます。切った食材を鍋やフライパンで、混ぜる・返すのに使うヘラも持っていたほうが絶対に便利。レードルは、器より大きいとよそいにくいので小さめを選ぶといいですね」。
「お鍋で最初に持っていたいのは、お味噌汁やインスタントラーメンができるような、径15~16センチの蓋付き片手鍋。ステンレス多重構造であれば、ちょっとした炒め物や焼き物もできます。
セカンド鍋としては、パスタもゆでられる径24センチの深めのフライパン。
さらに煮込み料理ができる厚手の鍋があれば完璧ですね」。
最小限の「物」と「手間」で、最大限の美味しさを引き出す。ミングル・ライフの可能性はこれからも広がっていきそうです。
Fin
第2回は
エッセイストの麻生圭子さんにご登場いただきます。
Profile
有賀薫 Kaoru Ariga
2012年から家庭で朝のスープを作り始め、50歳で「スープ作家」に。各種媒体にスープのレシピを提供するとともに、執筆やイベント、展覧会などで活動中。『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)で第5回レシピ本大賞入賞。最新刊『朝10分でできる スープ弁当』(マガジンハウス)もたちまち重版、好評発売中。