暮らしを楽しむ人の心地よい住まい
有賀薫さんvol.3

新しいごはん装置「ミングル」とは

料理を「作る・食べる・片付ける」機能を、最小限までシンプルにした新しいごはん装置「ミングル」。その誕生までの経緯、使い心地について聞きました。

決め手になった「ミングル」という言葉。その意味とは

有賀さんは、自宅のリビングに作った新しい料理の場を「ミングル」と呼んでいます。
「『ミングル』は、リフォームを依頼した設計事務所とのやりとりのなかで、30代の若い設計士さんが見つけてきてくれた言葉。もともと『混ぜる、一緒にする』という意味の英語で、シェアハウスを指す言葉としても使われているようです」。
家事をシェアする、誰もが気軽に参加できる、ぐるぐる回って使う。
これまで考えてきた、新しい料理の場のコンセプトにぴったりだと有賀さんは直感して、愛称としてこう呼ぶことに決めたそうです。

料理にまつわる機能を最小限までシンプルに

マンションのリフォーム計画と同時に、「ミングル」を具体的に設計する作業も進んでいきました。
「もとのキッチンも残してありますが、基本的に『ミングル』だけで日常の料理は完結できるようにしたい。そのために、食卓・IHコンロ・上下水道・食洗機・換気扇という要素は必要でした。
それでいて、できるだけ小さくてコンパクトなこと、家事をシェアしやすいように使いやすい動線であることもデザインとして重要だったのです」。

とはいえ、これまで世の中に存在しなかったプロダクト。有賀さんたちは、リフォーム前のダイニングに置いていたテーブルをベースにして
「ここにシンクを付けたらどうか。食洗機はどこへ入れるか。メジャーで測りながら、プランを煮詰めていきました」。
担当の設計士さんは家事の経験があまりなく、料理をするときの人の動きや、必要なスペースのとり方がイメージできない部分もあったそう。
そこで途中からは、ものづくりが得意なご主人が、模型やデッサンで有賀さんの希望を伝えるサポートもしてくれたといいます。

ミングルのある暮らしが快適な3つの理由とは

そして今年3月、いよいよリフォームが完了して新しい生活を始めた有賀さん。ミングルの使い心地は「思っていた以上に快適ですね」。それには3つの理由があるそうです。
まず1つ目が、サイズ感。
「たとえば台ふきんを使うとき、腕を伸ばせば一気に拭けます。立っても座っても使いやすい高さにしてもらったので、料理をしていても疲れないんです」
2つ目が、フラットであること。
「予算の関係でIHヒーターを上に乗せる案も考えたのですが、埋め込み式にして本当に良かった。スイッチを入れなければIHコンロの上も調理台として使えるので、広々としたスペースで料理の支度ができます」

「3つ目が、動線の良さですね。
シンクで洗って、まな板で切って、鍋に入れてと、手がコンパクトな三角形に動かせます」。
また足を使った動線としても、毎日使う食器は背後の棚、カトラリーはミングル側面の引き出しに収めているので、最小限の動きで食事の支度ができるそう。

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