暮らしを楽しむ人の心地よい住まい
有賀薫さんvol.2

「作る・食べる・片付ける」。理想のキッチンを求めて

忙しい毎日のなか、料理を「作る・食べる・片付ける」ことがしんどいと感じる人も多いはず。 スープ作家の有賀薫さんは、従来のキッチンが、今の暮らしに合わなくなってきているのではと考えるようになりました。ご主人と話し合い、自分たちの考える「新しいキッチン」を作ってくれるリフォーム会社を探し、プランが決まるまでの日々をうかがいました。

「作る」と「食べる」を根本から変える、新しいキッチン

スープを通じて「毎日のごはんを楽しく簡単に」作ることを伝えてきた有賀さん。
でも活動を続けるうちに、「レシピだけでは、なかなか人の意識は変わらない。たとえば電子レンジが料理をラクにしたように、キッチンの『かたち』から見直してみたらどうだろうと思うようになりました」。
約20年前に新築で購入した有賀さんのマンションにも、ダイニングの奥にリフォーム前から備わったキッチンがあります。 「ごく一般的なキッチンで、大きなシンクや何口もあるコンロ、換気扇もついて便利なもの。でも2人で入れるほど、広くはありません。収納もたくさんあるのはいいけれど、複雑すぎて、たまに手伝うだけの家族には、どこに何があるか分かりにくかったと思います」。
世の中を見渡せば、夫婦ともに仕事を持ち、家事も家族でシェアするのが当たり前の時代。
「家族で入れないのなら、家族のいる場所にキッチンが出ていったらどうだろう。そんな発想から、リビングに料理のできる場所を作るというアイデアが浮かびました」。

あふれる鍋のコレクションをどう収納するかも課題に

最初はリビングで料理をすることに抵抗を示していたご主人ですが、「私のしつこさに負けたのか(笑)、最終的には息子が家を離れて夫婦2人になった住まい全体をリノベーションして、住まい方や空間の使い方を一から見直そうと言ってくれました」。
たとえば、収納。スープ作家になってから、それぞれの使い勝手を試しておきたいという思いから「鍋のコレクションがどんどん増えて。床にもあふれていたんです(笑)」。
自宅を仕事に使うことも増え、片付けやすく、また鍋や調理器具を飾って楽しめるような空間づくりも、ひとつの目標だったといいます。

アイデアを形にしてくれるリフォーム会社を探して

イメージしていたのは、最近取り入れる家も増えてきたアイランドキッチン。
「でも既存のものは大きいし、私にはゴージャスすぎました」。
ご主人との会話で出てきたのは、火を囲んでみんながわいわいと料理に参加する「キャンプ」。また有賀さんは、家族が集まる部屋のストーブに鍋がかかって、ことことスープが煮えている映像も浮かべていました。
そのアイデアを具体的な形にするために有賀さんが向かったのは、住まいとインテリアについての情報が集まるだけでなく、住まいづくりやリフォームの専門家に無料で相談ができるショウルーム。
そこで担当者に『こんなことがしたいんです』と伝えたところ、2軒の施工会社を紹介してくれました」。

このリフォーム会社に決めた! その理由は?

1社はリフォーム会社で、もう1社は設計事務所。それぞれの担当者に自分たちのやりたいコンセプトを伝え、見積りとプランニングを依頼しました。リビングに料理ができる場所を作りたいというアイデアを形にするには、水道や電気の配管をどうするかが問題だったそう。
「それでプランニングに3ヶ月近くかかってしまったのですが、結果的に、時間をかけたことが良かった。私たち素人が頭で考えたことを、プロが知恵をしぼって形にしてくれて。それを見て私たちが、ああでもない、こうでもないとまた考える。そのキャッチボールで、だんだんに自分が本当にほしいもの、やりたいことの形がクリアになっていったからです」
そうして選んだのが、工務店の機能も持つ設計事務所。担当してくれた30代の男性設計士が、「これは単なるリフォームというよりも、プロダクト的なものですね」と夫妻の意図を理解し、新しいキッチンのあり方を、一緒に考えてくれたからだといいます。

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vol.3
今回のキッチンリフォームをするにあたって考えた「作る・食べる・片付ける」が
一体となった95×95センチの新しいごはん装置「ミングル」について、詳しくご紹介します。

Profile

有賀薫 Kaoru Ariga

2012年から家庭で朝のスープを作り始め、50歳で「スープ作家」に。各種媒体にスープのレシピを提供するとともに、執筆やイベント、展覧会などで活動中。『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)で第5回レシピ本大賞入賞。最新刊『朝10分でできる スープ弁当』(マガジンハウス)もたちまち重版、好評発売中。

https://note.mu/kaorun

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