日々を楽しむ小さな工夫
北欧ジャーナリスト 森百合子さんvol.3
「“ほどほど”という考え方が、
私の暮らしを楽にしてくれました」
森さんが北欧から受けた影響はインテリアに限らず、物事の考え方やライフスタイルにも及びます。「寒さが厳しい環境のなかでストレスを溜めず、いかに快適に過ごすか。北欧の暮らしのなかで生まれた創意工夫にはどこか達観しているところがあり、学ぶことが多いですね」。
なかでも“ほどほど”という物事の測り方は大きく響いたそう。
「スウェーデンには“ラゴム”という言葉があります。“ほどほど” “自分にとってちょうどいい”といった意味で、多過ぎず少な過ぎない、その感覚を大切にしています。たくさんある方がいい、ではなく自分に足りるだけあればいいという感じ」。
自分を軸にした尺度でいいという気づきと、ほどほどでいいという肩肘張らない考えに、安心感を覚えたと言います。
「みんな息抜きが上手。
それが結局、
効率を上げている気がします」
北欧の人々と接するうちに、ご自身の仕事に対する認識にも変化が生まれました。ただ頑張り続けるのではなく、ひと息入れたり、このくらいで十分かなという視点も持てるようになったそうです。
加えて、生活習慣に取り入れるようになったのは“フィーカ”。スウェーデンのコーヒータイムを指す言葉ですが、単にコーヒーを飲むのではなく、リフレッシュを兼ねたコミュニケーションを目的としたもの。家庭やオフィスで日常的に取り入れられています。
「私も夫も家で仕事をすることが多く、根を詰めてしまいがち。この習慣があると、作業の区切りになります。集中力もかえって上がっていいですよ」。
「気候のいいときには、
外の空気に触れてリフレッシュします」
「暗く長い冬が終わり、日が長く暖かな気候となる5~9月頃は、今を逃してなるかと彼らはできるだけ太陽の下で過ごそうとします。私も以前はそれほど季節や天候を意識していませんでしたが、わが家でもテラスにテーブルを出して食事をしたり、お茶を飲んだりするようになりました」。
特にここ1年半ほどは旅も外出も控えることとなり、太陽の日差しや緑を目にする時間が単調になりがちな日々のちょっとした気分転換になっているそうです。
長年の北欧とのつながりの中で、そのエッセンスを上手に拾い上げ、自分流に取り込んできた森さん。大好きな国々に旅する日を待ちわびながら、日常にある小さな喜びを満喫する日々を送っています。
リラックスタイムに欠かせない
キャンドルのコーディネイト
室内随所に照明やキャンドルを配して、陰影のある演出を楽しんでいる森さん。特に寒い時期にはあたたかな炎のゆらぎがリラックスムードを盛り上げてくれます。キャンドルホルダーもたくさん持っていて、その時々のシーンに合わせて使い分けています。
- 北欧で見つけたキャンドルホルダーをリズミカルに並べて。ストライプの生地は、実は会津木綿。北欧と和の組み合わせも楽しんでいます。
- ヴィンテージのテーブルセンターとテーブルの色に合わせて選んだキャンドルホルダー。点在させるとリラックスムードが生まれます。
- ブルー系の食器やテキスタイルが好きで、キャンドルホルダーも微妙な色違いでいくつか持っているそう。2〜4個ほどを組み合わせて使うのが定番。
Fin
次回は、インテリアスタイリストの
大谷優依さんに登場いただきます。
Profile
森百合子 Yuriko Mori
北欧ジャーナリスト。旅情報や現地の暮らし、文化について、テレビや雑誌、著書などを通じて発信。著書に『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(パイ インターナショナル刊)、『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ刊)、『北欧おみやげ手帖』(主婦の友社刊)など。北欧のヴィンテージ食器や布を扱うショップ「Sticka」も運営中。
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