日々を楽しむ小さな工夫
おもてなしユニット
てとてとさんvol.1
「『ホームパーティができる住まい』
をテーマに
家づくりをスタートしました」
食を扱うユニット「てとてと」として活動する井上豪希さんと桃子さんご夫妻にとって、住まいはリラックスする場であると同時に職場であり、お客さまを招いておもてなしをする場。築39年のヴィンテージマンションをリノベーションした空間は、心地よく過ごすためのアイディアが詰まっています。
おふたりは「てとてと」として自宅で予約制のホームパーティを開いてお客さまを迎えたり、料理教室などの活動を展開していますが、この家をリノベーションした時はまだそれぞれが別の仕事をしており、「月1回ぐらい友人を招きたいな」という漠然としたイメージを持つ程度だったとか。建築家から提案された間取りがとても開放的で、ふたりでゆっくり過ごすにはもちろん、おもてなしをするのにも最適な空間を得たことで、完成後はホームパーティをする機会が増え、自然と現在の仕事へとつながったそうです。
「オープンキッチンと
ワークテーブルが
住まいの中心なんです」
玄関を入ると奥まで見渡せるひと続きのスペースになっているLDK。中心には、オープンカウンターの広いアイランド型の造作キッチンがあります。リノベーションの計画をスタートした当初は、スタンダードなプランをイメージしていたため、建築家からこの大胆なプランを提案された時は驚いたそうですが、すぐに気に入ったとか。
「キッチンで料理をする彼を、ワークテーブル前から眺めているのがいつもの二人の定位置ですね」と桃子さん。「毎日の食事も実験のようなもの。まさにここが暮らしの中心です」と豪希さんもお気に入りです。
ふたりにとってここは、職場でもある空間。広く、開放的な空間だからこそ、さまざまな過ごし方が楽しめる住まいとなりました。
「和のエッセンスを感じられる
オリジナルの内装が
気に入っています」
広いLDKに対し、寝室や収納などのプライベート空間はコンパクトにまとめています。そのふたつのスペースを仕切っているのが、マットな質感のラワン材の壁。豪希さんがこだわったこのラワン材は、穴の開いた有孔ボード仕様となっており、隣室のあかりが点いていると、光がわずかにこぼれてくるのが特徴です。
「この仕切り壁は、昔ながらの“欄間”のイメージなんです。隣室にいる人の気配がさりげなく伝わるような日本家屋ならではのエッセンス。それを現代的な内装で表現したものと捉えています」。
また、愛猫「花火」にとって暮らしやすい空間にするのも、リノベーションの課題のひとつ。窓際に居心地のよいベンチを設置したり、猫専用の出入り口を設けたことで、入居後も快適に過ごしているとか。2020年の春からはもう1匹の猫「煙丸」が家族に加わり、さらににぎやかになりました。
おもてなしの心は家具などの
アイテム選びにも反映
- キッチンカウンターとワークテーブルは、豪希さんが作業しやすい90cmに設定。ワークテーブルには北欧デザインのカウンタースツールを選びましたが、テーブルの高さに合わせて8脚の脚をカットしたとか。
心地よさを追求した結果でしたが、家具店で「本当にカットしていいですか」と何度も確認されたそう。 - インテリアアイテムは、入居してからひとつひとつ吟味しています。壁面に飾ったのは、旅先で購入したトルコ絨毯。トルコシルクで編まれた美しい1枚です。
- ユニークなフォルムのグリーンはビカクシダ。流木などと合わせ、中には水ごけを詰めています。
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vol.2 オリジナルの造作キッチンと
収納方法にクローズアップ
Profile
井上豪希 Goki Inoue
井上桃子 Momoko Inoue
夫婦ユニット「株式会社TETOTETO」代表。おもてなし夫婦ユニットとして、自宅でのホームパーティや料理教室などを開催するほか、食材のブランディングやコンサルティングなど食にまつわるさまざまな活動を展開。現在はリアル店舗での食の提供を計画中。
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