日々を楽しむ小さな工夫
食空間コーディネーター
ペレ信子さんvol.2
「慌ただしい平日は効率を優先して
家事と仕事に集中します」
おいしい料理と家族の会話。あたたかな家庭には食卓が大切だと考え、料理やテーブルコーディネイトを探求するペレさんですが、必ずしも毎日手間をかけて作るわけではありません。
「家族それぞれが時間に追われる平日は、食事にかかる負担を減らしています。夫婦で働く家庭が多いフランスでは、野菜スープをたっぷり作って乗り切るのが定番の手段なんですよ」。
平日に家族が食事をとるのは、キッチンカウンター。広めに造作したのでゆったり使え、配膳や片づけもラク。和食やパスタ、カレーなど取り分けが必要ないメニューにして、家族の食事の時間がずれても対応しやすく工夫しています。
「ここではナイロンのランチョンマットを使っています。食器と合わせてさっと洗えますから」。
「週末は家事をせずゆっくり過ごし
家族との時間を大切にしています」
平日と打って変わって、週末は休息を優先に。そのため、家事もお休みです。
「自分だけ家事をするのもつまらないし、家族も落ち着かないですよね。平日の夜の時間を使うなどして休日に持ち込まないようにします」とペレさん。家族との団らんのほか、フランスから定期購読している雑誌を読むなど、自分の時間も大切にしています。食事はといえば、食卓をダイニングテーブルに移してゆったりと。料理はフランス料理が中心です。「フランス料理は時間をかけていただくメニュー展開なので、家族と週末を過ごすのにぴったり。平日は簡単な会話が中心でも、週末はじっくり語り合ってコミュニケーションをとる。これが大切だと思っています」。
家族との時間においしい食事がともにあれば、会話も幸せももっとふくらむ……。週末の食事に向けて計画を練るのも、ペレさんの楽しみです。
平日とは趣向を変えた
週末の食事のスタイル
テーブルコーディネイトで
特別感を醸し、週末感を演出
- 週末のダイニングテーブルは、レストランに来たかのような素敵なしつらえ。季節や料理の内容に合わせてクロス類や器を選んで演出します。中央には花や季節のアイテム(この日は色形とりどりのかぼちゃ)、そしてキャンドルのやわらかな光を添えるなど、会話を盛り上げる仕掛けを加えて。
- マストアイテムはフランスではフォーマルな食事の定番、テーブルクロスと布ナプキン、シルバーのカトラリー。「重くてバランスがとりづらいシルバーのカトラリーに慣れるなど、どんな場に出てもスムーズに食事ができるようにするために、食育のひとつとして使っています」。
コース仕立てにして
ゆっくり食事の時間をとる
週末はフランスの家庭料理を楽しむことが多く、前菜、メイン、デザートのコースにして都度料理を運んだり取り分けたりするため、おのずと食事の時間をゆっくりとることができます。「会話の時間が長く持てれば、胸に秘めていた相談事や考えを口に出しやすい雰囲気がつくれ、コミュニケーションの場として有意義ですね。また、密に意見交換をすることは、自分の主張を持つ訓練にも。筋肉と同じで会話術も訓練で身につきますから、続けていきたいと思っています」。
画像提供/ペレ信子
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vol.3 物を受け継ぐ
文化にクローズアップ
Profile
ペレ信子 Nobuko Perrey
フランスのブルゴーニュ大学に留学後、フランス企業に4年間勤務。フランス人と結婚し、日本で暮らし始める。翻訳のほか、フランス料理とテーブルコーディネイトのサロン「Table de N 」を主宰し、食卓を通じてフランスの文化を伝えている。著書に『フランス流 しまつで温かい暮らし』(講談社)、訳書にダニエル・マルタン『鍋ひとつでできるお手軽フレンチ』(サンマーク出版)。
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