日々を楽しむ小さな工夫
「テラ・コヤ」建築家・寺林省二さん、
道具店店主・坂本眞紀さんvol.3
「キッチンは実用品が中心。
配置のバランスで楽しげに」
フライパンに五徳、鍋敷き、レードル……。「テラ・コヤ」のキッチンスペースは、キッチン道具が壁面や棚をにぎやかに飾る楽しい空間。まるでアートをディスプレイしたような見ごたえのあるオープン収納ですが、実は、「機能的に使えるものだけを取り出しやすいスタイルでしまっているだけです」と寺林さん。機能を優先させながらも、サイズや形のとり合わせなど、眞紀さんが配置のバランスを考えて収納することで、楽しげに見せています。
「好みの素材のアイテムを選ぶことで
色調に統一感が生まれます」
調理道具や食材など、物が多く集まりがちなキッチン。「テラ・コヤ」ではオープン収納を主軸にしていますが、不思議と煩雑さを感じさせません。見渡してみると、視界に入るのは、ステンレスやガラス、ホーロー、竹、鉄など、台所道具では定番の素材ばかり。機能性を重視した選択肢によって、自然と色数も絞られているようです。
「余計な装飾がないシンプルなもの、自然素材が好きなので、いつの間にか統一感が生まれたのかもしれませんね」。
「使いながら物の最適な居場所を
つくっていきます」
「テラ・コヤ」は建築家である寺林さんが設計しましたが、キッチンは最初に綿密な収納計画を立てず、食器棚以外はシンク下やコンロ下に仕切りのないスペースを用意するにとどめたそう。
「暮らしながら収納の適所やしまい方を模索して、仕切りや引き出しを用意していきました」。
たとえば、コンロ下にレールをつけてカトラリーを入れたバットを引き出しにしたり、キャスターつきの電子レンジ台を作ったり。どれも構想は眞紀さんで、製作は寺林さんが担当。製作の段階で寺林さんがアレンジを加えることもあるそうで、ふたり揃って考えることで、より使い勝手よく仕上がるメリットも生まれます。
「住まいは育てていくもの」と寺林さん。お子さんの成長など生活の変化にも対応しながら、常に快適な暮らしへの追及を続けています。
見えない場所も美しく整える
「テラ・コヤ」さんの工夫
冷蔵庫の中は白いホーロー容器に
常備菜を仕分けして保管
オープン収納ではない冷蔵庫の中でも、容器の素材や色に配慮して常備菜を整理。白いホーロー容器が気に入っていて、「そのまま火にかけて温め直しができるので便利です。容器の数で常備菜のストックがどれだけあるか、パッとわかります」と眞紀さん。
写真協力/テラ・コヤ
Fin
次回は、
料理創作ユニット「Goma」の
アラキミカさんに登場いただきます。
Profile
「テラ・コヤ」
寺林省二さん、坂本眞紀さん
建築家である寺林省二さんの事務所「テラバヤシ・セッケイ・ジムショ」、奥さまの坂本眞紀さんが営む生活道具の店「musubi」、そして、夫妻が娘、猫とともに暮らす家が一体となった職住の場を「テラ・コヤ」と名づけている。寺林さんは建築事務所勤務を経て1998年に独立、2011年に自ら「テラ・コヤ」を設計。眞紀さんは商社、インテリアショップのバイヤーとして勤めた後、2011年に「musubi」をオープン。日常の暮らしに寄り添う“ささやかだけど美しい物”を紹介している。
テラバヤシ・セッケイ・ジムショhttps://terracotta.jp/
すむすむはSNSでも
住まいに関する情報をお届け!
ぜひフォローください