日々を楽しむ小さな工夫
おむすび研究家
大倉千枝子さんvol.3
「盛りつけを変えるだけで
雰囲気ががらりと変わります」
TPOに合わせて器や盛り方を選び、おむすびを演出することも、大倉さんの楽しみのひとつです。
よく使うのは、ざるや漆塗りの器など日本の昔ながらの道具や工芸品類。食べる人の雰囲気に合わせてお弁当箱や包みを選んだり、パーティーの席では自然の葉や枝などを添えたりして、季節感を演出することもあるそう。
「おむすびは、ハレとケで言えばケの食べ物ですが、演出や具材の選び方で素朴にも華やかにもなるんです」。
「季節感や彩りを考えた具材で
味のデザインも楽しみます」
視覚的なおいしさにも工夫を凝らしています。
「具材は中に詰めずに、ごはんに混ぜることが多いです。彩りもきれいですし、味がひと目でわかるのもいいところですね」。
また、具材は“四季をむすぶ”をテーマに、旬の食材を取り入れることを大切にして楽しんでいます。春は山菜、夏はみょうがやとうもろこし、秋は菊花、冬はゆずやごぼう……。そのときならではの食材の彩りと味、香りを合わせたおむすびには、どこか心を躍らせ季節を感じることができ、一緒に食卓を囲む人との会話も弾みます。
「シンプルだからこそ、具材の選び方、組み合わせ方で自分らしさを出すのも楽しさのひとつ。自由に作るのがおすすめです」。
季節や彩り、食感。
アレンジが楽しいいろいろむすび
自然が育む旬の素材で
四季をむすぶ
大倉さんが日常の暮らしのなかで大切にしている四季。おむすびにも旬の食材を積極的に取り入れています。
- セロリの香りを一層さわやかに感じる初夏のおむすびには、じゃこ、玄米ごはんを組み合わせて。葉ごと使って際立ったセロリの香りと、じゃこの味わいが魅力です。
- お手製の梅酢に漬けたみょうがをごはんに混ぜて。夏らしさを感じるさわやかな味わい。
- 春~初夏は特に、山菜も積極的に取り入れています。お気に入りのひとつがコシアブラ。さわやかな風味が生きるように、さっと湯がいて細かく刻み、塩のみでシンプルに味つけしています。
ごま油入りのつけダレで
香ばしさアップ!
焼きおむすび
パリッとした焦げ目と芳ばしい香りは、子どもから大人まで広い世代に大人気。「冷めてもおいしくいただける調理法です」。
- ▼材料 (好みの分量で)
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- ごはん……好みの分量
- 合わせダレ……しょう油3:みりん1:ごま油1
お好みでしょうがのすりおろし少々
- ▼作り方
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- ごはんでおむすびを作る。
- 合わせダレにおむすびをくぐらせ、全体にしっかりなじませる。
- 焼く。フライパンで焼く場合はよく熱して軽く油を引き、中火で焼く。片面に焦げ目がついたら裏返して、焦げ目をつける。さらに2回ほど返しながら焼き、こんがり仕上げる。オーブントースターで焼く場合は、中火 (160〜180度)で約10~12分を目安に。
意外な素材合わせがしっくりなじむ!
洋風おむすび
レモンの果汁と皮を使い、さわやかな風味のレモンライスのおむすびと、鮮やかな赤と酸味が印象的なトマトライスのおむすび。ひと口でいただけるピンポン玉程度のサイズに作ると、食べやすさはもちろん、楽しい演出になります。
①レモンライスのおむすびの作り方
- ▼材料 (ピンポン玉くらいのサイズで6~7個分)
-
- 米……1合 (150g)
- 水……200cc
- レモン……果汁は1/2個分、皮は1個分が目安
- 塩……適量
- ▼作り方
-
- 分量の米と水でごはんを炊く。
- レモンの皮を薄く切り(白い部分は削ぎ落す)、みじん切りにする。レモンの実は絞っておく。
- 炊き上がったごはんを飯台(又はボールなど)に移し、粗熱をとりながらほぐす。2を加えて全体になじむようによく混ぜる。
- 手に塩をつけてピンポン球くらいのサイズににぎる。
②トマトライスのおむすびの作り方
- ▼材料 (ピンポン玉くらいのサイズで6~7個分)
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- 米……1合(150g)
- トマトジュース (無塩)……200cc ※180gのトマトジュース缶を使う場合など、少し足りなければ水で薄めて調整
- 黒こしょう……適量
- 塩……適量
- 粉チーズ……適宜
- ▼作り方
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- 分量の米とトマトジュースでごはんを炊く。
- 炊き上がったごはんを飯台(又はボールなど)に移し、粗熱をとりながらほぐす。
- 黒こしょうを粗く挽いたものを入れ、全体になじむようによく混ぜる。
- 手に塩をつけてピンポン球くらいのサイズににぎる。
写真協力/村山玄子、大倉千枝子
Fin
次回は、
ライフスタイルデザイナーの
内山ミエさんに登場いただきます
Profile
大倉千枝子 Chieko Okura
おむすび研究家。La via Ltd.代表。食とライフスタイルを豊かにするための企画、商品を展開する「creative market(omusubi garden)」主宰。おむすびを通じて食の楽しみを伝える子ども向けのワークショップを続けた後、2001年に東京・神宮前におむすびと汁、漬物をメインにした食事と自家製の加工品を扱う店「おむすびまるさんかく」をオープン。2020年1月に閉店した後は、店舗は持たず各地に出向いておむすびを供すスタイルで活動し、食の企画、商品企画も行う。著書に『むすんでみませんか?おむすび。- おむすびの話あれこれ -』(ピエ・ブックス2005年刊)。
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