日々を楽しむ小さな工夫
アンティークショップ「BROCANTE」
松田尚美さんvol.3
「最近はまっているのは、
一見敷居の高い蘭を
カジュアルに楽しむ仕立て」
頻繁な水やりが不要なもの、土がなくても育つものなど、植物にはさまざまな特性がありますが、松田さんは、その特性を生かして個性的な飾り方や仕立てを楽しむのがお上手。
そのひとつが、蘭の株を鉢から出してハンギングできるようにアレンジしたもの。
以前からある手法だそうですが、花がかわいらしい品種を選んだり、タグをプラスしてアクセントにしたりと、松田さん流の演出で楽しんでいます。
「少しの土でも育つ植物は
砂利やガラス器と合わせてみました」
蘭のほかに、最近はシダ植物にも注目しているのだとか。繊細な草姿を引き出すように考えたのが、ガラス器と玉砂利を合わせたアレンジ。
実は古典園芸の”つりしのぶ”からヒントを得たもので、大きめのガラス器や玉砂利を組み合わせたのは松田さんならではのアイディア。植物の知識と持ち前のセンスで、日々個性ある演出にチャレンジしています。
蘭をコルク樹皮に着生させて
根ごと鑑賞できるハンギング仕立て
木や岩に根を張って育つ“着生蘭”は土がなくても育つため、コルク樹皮に固定して壁面にディスプレイできるようにしています。コルク樹皮のサイズは根がちょうどおさまる大きさを選びましたが、好みで大きなものを使っても。ワイヤーに下げた銅のタグがアクセントに。
材料
- ・蘭の苗……ここではヨネザワアラ ブルースターを使用
- ・水苔……購入した蘭のポットに入っていた土や水苔の量を目安にする
- ・コルク樹皮……根の長さやボリュームに合わせてサイズを決める。代わりに流木を使っても素敵
- ・リース用のワイヤー……適量
- ・ハサミ……リース用のワイヤーのカットに使用
この仕立てに向かない蘭もあります。違う品種の蘭を使う場合は、購入する際に着生栽培が可能かどうか相談してください。
作り方
- ポットから苗を取り出し、土や水苔を取り除きながら根をやさしくほぐす。
- 蘭の草姿を見て正面を決めてから、根のうしろにコルク樹皮を当てる。水苔を水に浸して軽く絞り、コルク樹皮と根の間、さらに根の表面を軽く覆うように配置して、根を傷つけないように保護する。
- 2をワイヤーでふんわり包み込むように巻く。ワイヤーは10cm程度余裕を残して、板の背側から巻き始める。あとで株がずれたり抜けたりしないように、全体を包み込むように巻き、さらに水苔が落ちそうな部分にも巻いていく。根にワイヤーが当たって傷つけないように気をつけること。
- 巻き終わったら、ワイヤーを背にまわし、3の巻き始めのワイヤーと交差させて留める。さらにハサミでワイヤーを長めに切り、吊るせるようにする。
シダのテラリウム
少ない土で生育できるシダ植物の「シノブ」の性質を生かしたアレンジ。玉砂利を敷いたガラス瓶で鑑賞できるテラリウム(ガラス容器で植物や生物を鑑賞しながら育てる方法)に。ガラス容器のサイズや形で、雰囲気が変わります。
材料
- ・シダの苗……トキワシノブを使用
- ・ガラス容器……好みのサイズ、形のものを用意
- ・玉砂利……ガラス容器のサイズに合わせて適量用意
- ・根腐れ防止剤……適量
作り方
- ガラス容器の底に、根腐れ防止剤、次に玉砂利を敷く。
- ポットから土ごと苗を取り出し、1の中央に置く。根のまわりの土は崩さず、玉砂利の上に置いたら軽く形を整えて保つ。
Fin
次回は、
食とライフスタイルのcreative marketを主宰し、おむすび研究家としても活動を
する
「 La via Ltd.」の大倉千枝子さんを
ご紹介します
Profile
松田尚美 Naomi Matsuda
東京都・自由が丘にてフランスのアンティーク家具や雑貨のショップと、造園や外構のプランニングを行う「BROCANTE(ブロカント)」の店主・バイヤー。ご主人が造園部門を担っている。価格やブランドにこだわらず松田さん夫妻の審美眼で選んだ品々と、植物と素敵なインテリアが融合したショップの空間づくりは根強いファンが多く、雑誌や書籍などでもそのセンスとライフスタイルが取り上げられている。
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