日々を楽しむ小さな工夫
薬膳料理家・食養研究家 山田奈美さんvol.2
「春は内臓の働きが活発になります。
旬の食材をとるようにしましょう」
「中医学で春は“肝が高ぶる”時期とされます。冬に溜めこんだ毒素を排出しようとするために、春になると肝臓の動きが活発に。それで、オーバーヒート気味になることを表現しています」。
そこでおすすめなのが、春の食材なのだとか。「薬膳では、山菜などの苦味の食材は解毒を、柑橘類など酸味の食材は肝臓の働き全体を助けるとされ、取り入れられています」。
「花粉症対策は冬から養生が始まります。
体を冷やさないように気をつけて」
春の不調の代表格といえば、花粉症。実は、冬に体を冷やしてしまうと花粉症が悪化する原因になりうるのだとか。
「暖房が効いた部屋でも、冷たい飲みものを飲めば体が冷えます。そうして蓄積した冬季の冷えや取りすぎた水分が、春のアレルギーを招きやすくするんです」。
「花粉を身体から排除する
動きも肝臓の役目。
食養生でフォローして」
異物である花粉を排出しようと働きかけるのも肝臓のため、花粉症がある人にとっても、肝臓のケアは大切。薬膳ではいちごや柑橘類などの酸味の食材をはじめ、クレソン、せり、セロリなども肝の働きを助ける食材です。
食事は最も身近な養生法。季節ならではの味わいとともに楽しめるのでおすすめです。
春を元気に。山田さんおすすめのお茶と食材
日々欠かさず愛飲する紅花茶。
花粉症には菊花とジャスミンのお茶を
山田さんは毎朝、紅花の花弁を乾燥させた紅花茶に白湯を注ぐことから一日をスタートするそう。「紅花は血のめぐりを促す作用が期待でき、中医学では瘀血(おけつ。血流が滞ってにごること)の解消を促すとされています」。
花粉の時期には、薬膳の理論から肝の高ぶりを抑える効果が期待できる菊の花のお茶に、気のめぐりを促すとされるジャスミンが入ったジャスミン茶のブレンドをおすすめしてくれました。
春にぜひ味わいたい旬の野菜と果物
薬膳では、苦みや酸味のある食材が肝臓を助けるとされています。
季節ならではの食材で春を味わいましょう。
食材の具体例:いちご、うど、柑橘類、クレソン、せり、菜の花、ニラ、竹の子、ふき、ふきのとう、よもぎ など
※薬膳上、苦味・酸味とされている食材は、私たちが感じる味とは異なる分類となっている場合もあります。
《注記》
本記事でご紹介しているのは、中医学、薬膳の理論に基づいた養生の方法であり、治療を目的としたものではありません。
next
vol.3 自然に寄り添う暮らし方に
クローズアップ
Profile
山田奈美 Nami Yamada
薬膳料理家。食養研究家。国際中医薬膳師。「食べごと研究所」主宰。北京中医薬大学日本校卒業。神奈川県葉山市の「古家1681(coya iroai)」にて「和食薬膳教室」「離乳食教室」「発酵教室」「季節の仕込みもの教室」などを開催。著書に『旬を楽しむ梅しごと』(家の光協会)、『ぬか漬けの基本。はじめる、続ける』(グラフィック社)、『疲れた日のスープ、頑張る日のスープ』(文化出版局)など。
すむすむはSNSでも
住まいに関する情報をお届け!
ぜひフォローください