日々を楽しむ小さな工夫
美濃羽まゆみさんvol.2
「“自分の基準”を持って
愛着のわく品を選んでいます」
美濃羽さんがものを選ぶときはいつも真剣勝負。価格や便利さよりも、自分の目線で長くつき合えることを何よりも大切にしています。「造り付けの収納が少ない町家での暮らしなので、壁面を利用したり棚を置いています。オープン収納することが多いので、生活道具は出したままにしておきたくなるようなデザインを選んでいます。特に作り手の思いが感じられる品が好きですね。気に入った道具なら、作業も楽しくなります」。
「こんな風にも使えるかも……って
家事をしながらいつも考えています」
また、ひとつで幾通りもの使い道があることもポイントだとか。たとえば、調理にも保存にも使えるホウロウ容器や、多用途に使えるカゴなど。「“〇〇専用”とうたった便利な道具はたくさんありますが、その分洗いものが増えて、収納場所もとるんです」と美濃羽さん。特化した便利さよりも、自分の使いやすさに照準を合わせることが一番大事。“便利”に振り回されない選び方は、結果としてムダのない家事にもつながっています。
「ときに再利用もしながら
長くつき合いたいですね」
愛着のある品だからこそきっちり使い尽くそうというのも、美濃羽さんが日々実践していること。例えば愛用の台所用ふきんは、くたびれてきたら床拭きに、最後は玄関を拭いて使い切るそう。また、洋服を作った際に出た端切れは捨てず、小物づくりに積極的に活用。野菜の皮もきんぴらにするなど、使い切り術がおみごと。愛情を持ってモノと向き合うからこそ生まれる発想が、暮らしのさまざまなシーンで生かされています。
美濃羽さんが実践する暮らしの工夫
布を無駄なく使う手づくり
仕事の服づくりで出た端切れをミトン(写真1)にしてお客さまへのプレゼントにしたり、パッチワークしてバッグ(写真2)にしたり。フクロウモチーフのお人形(写真3)は、子どもにお守りとして作ってプレゼントしたもの。遊び盛りの子どものくつ下(写真4)は、穴があいたらダーニング(縦横に糸を渡し、網目状にして穴を塞ぐヨーロッパ式の補修方法)をして、かわいいアクセントにしつつ長く付き合います。
何役もこなす道具を選ぶ
好んで使っているのがホウロウ製の容器。直火で使えるメーカーのものを使用しているので、持ち手つきのストッカー(写真1)は直接火にかけて出汁をとり、冷めたらふたをしてそのまま冷蔵庫へ保管します。「これひとつで家族4人で2回分のお味噌汁に使えます」。同じく、毎年自家製の味噌づくりにも大型タイプのストッカー(写真2・3)を愛用。「容器ごと加熱・殺菌処理し、作ったらそのまま保存できるので工程も楽です」。大小のざる(写真4)はコンロ近くに吊るしておいて、食材の一時置きに、うどんや揚げものの盛りつけにと自在に使っています。
残り布で作る「はたき」
ちょこっと掃除に活躍するはたき。ここでは3cm幅×40cmの布を12枚使いましたが、好みでボリュームを増減してみて。柄つきの布を使う場合は、工程②の段階で柄を上に向けて並べれば、柄が表側に出ます。棒は竹以外に拾った枝などを使ってもかわいいです。
はたきの作り方
- ①40cmくらいの長さの布を3cm幅に切る。
はさみを少し入れて、あとは手で割くと楽。
ここでは12枚分用意。 - ②写真のように放射状に中心を重ねて並べる。
- ③50cm程度の棒を用意し、
先端から1cmのところに輪ゴムを巻く。 - ④③の棒を輪ゴムで巻いた方を下にして、
②の中心に立てる。
- ⑤放射状になった生地を、
棒を中心にして起こしてまとめる。 - ⑥⑤の先端から2cm程度のところに輪ゴムを巻いて
布を固定する。 - ⑦輪ゴムで留めた部分を軸に、⑥と反対側に布をおろす。
- ⑧布の厚みを均等に整え、
写真の位置をひもや余り布でしばったら完成。
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vol.3 “モノ・コトを見える化”する
アイディアについてクローズアップ
Profile
FU-KO/美濃羽まゆみ Mayumi Minowa
ハンドメイドの子ども服・おとな服ブランド「FU-KO Basics.」主宰。
手づくり暮らし研究家。
築100年の京町家で12歳の長女と6歳の長男を育てながら洋服を作り、メディアや講演会を通じて「ものを作る、幸せのかたちを作る」をテーマにしたアイディアやヒントを提案している。
洋裁やライフスタイルに関する著書も多数。2019年11月27日に、手を加えて長く着ることができる子ども服ソーイング本「長く楽しむ、子ども服(仮)」(日本ヴォーグ社)を出版予定。
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