法律
瑕疵担保責任
2000年4月1日以降、新築の住宅すべてに10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。しかし、どんな部分でも10年以内なら無償で直してもらえるというものではありません。対象は、基本構造部分に限定されています。基礎や軸組み、小屋組み、柱、壁、床版、土台、横架材、斜材、屋根版などの「構造耐力上主要な部分」および屋根仕上げ・下地、壁仕上げ・下地などの「雨水の浸入を防ぐ部分」がこれにあたります。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保促進法)」で、基本構造部分について、請負人や売り主に10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。
基本構造部分の欠陥についてできる請求は?
「床が傾いた」、「雨漏りがする」、「壁や基礎部分がひび割れた」…など、基本構造部分に欠陥があったり、トラブルが生じた場合は引渡し後10年以内なら施工会社(請負)や販売会社(売買)に次のような責任追及ができます。
- (1)相当期間を設けたうえで、瑕疵の補修請求
- (2)瑕疵の補修に代えて損害賠償の請求
- (3)瑕疵の補修請求とともに損害賠償を請求
- (4)契約目的を達成できない場合に解除を請求(売買の場合に限る)
ただ、補強もしていない床にピアノを置いて床が傾いたなど、暮らし方が原因でトラブルが発生した場合は、対象にはなりません。あくまでも住宅そのものに欠陥があった場合に限られます。
また、瑕疵担保責任期間内に請求がない場合は、瑕疵担保責任は消滅します。
紛争処理では技術的基準を目安に判断
瑕疵の立証は、施主自らが行わなければなりません。施主が瑕疵と思っていても施工会社や販売会社が瑕疵とは認めないケースもあります。そこでつくられたのが「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(告示)です。
ここには床の傾きや壁などのひび割れについて、「どの程度の場合なら、瑕疵の存する可能性があるか」という基準が示されています。この基準を参考にして「紛争処理機関」が判断します。
住宅保証機構登録の住宅は10年間無料保証
第三者保証のなかでよく知られているのが、(財)住宅保証機構の制度を利用するものです。建設工事中に戸建住宅は2回、共同住宅等は3回以上の現場審査を受け、それに合格すれば住宅の登録手続きが完了。登録業者が同機構に申請して発行される保証書を施主が受け取ることで、10年間の保証がスタートします。同機構の保証には基本構造部分の10年保証に加え、設備などにも1~2年の短期保証が付きます。
■住宅瑕疵担保履行法とは?
2007年5月に制定された「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」により、新築住宅を引き渡す施工会社(建設業者)や販売会社(宅建業者)に、「保険への加入」または「保証金の供託」が義務付けられました。新築住宅に瑕疵が発覚した場合、瑕疵担保責任を負う施工会社等が倒産したときでも、住宅取得者が保護されるようにするものです。
これは、2009年10月1日以降に引き渡される新築住宅について適用されます。
この内容は2009年7月1日現在のものです。