“おしゃれな家”とは、単に見た目がキレイな家のことではありません。丁寧に選ばれた素材や色、心地よい広がりと光の演出、そこに住む人のライフスタイルが自然ににじみ出るような空間。そんな「居心地」と「感性」が調和している住まいこそが、本当のおしゃれな家だといえるのではないでしょうか。
SNSや雑誌などの影響で住宅デザインへの関心が高まる中、自分たちらしいおしゃれな家をどう形にするかに悩む人も少なくありません。本記事では、これから新築やリノベーション、リフォームをご検討の方に向けて、“おしゃれ”な家をつくるための基本的な考え方、デザインの決め方、家づくりの進め方について、解説していきます。
おしゃれな家をつくるための基本的な考え方
おしゃれな家を目指すなら、最初に意識したいのは「家のコンセプトを決めること」です。自分たちがどんな暮らしをしたいのか、どんな雰囲気の空間に憧れるのか——その方向性を明確にすることが、家づくり全体のデザインや設計の軸となります。
例えば「シンプルモダン」や「ナチュラル」「和モダン」「北欧風」「ホテルライク」など、人気のテイストはさまざま。自分たちの好みに合うスタイルを選び、それをベースに素材や色、家具、照明のトーンを決めていくと、統一感のある空間に仕上がりやすくなります。
次に重要なのは「全体の調和」です。外観と内観、床や壁の仕上げ、照明、インテリア小物に至るまで、ひとつの空間としてのバランスを考えることが大切です。特に大きな面積を占める床・壁・天井は、できるだけシンプルでニュートラルなものを選ぶと、全体がまとまりやすくなります。
また、おしゃれな家ほど“機能性”も高いという共通点があります。見た目だけを優先するのではなく、家事動線がスムーズであるか、収納が適切に計画されているかなど、「暮らしやすさ」と「デザイン性」の両立を意識することが、満足度の高い住まいづくりにつながります。
最後に、自分たちのイメージを具体化し、共有することも成功の鍵です。SNSや住宅カタログ、施工事例の写真などから“好きな空間”のイメージを集め、担当の設計士や工務店に視覚的に伝えることで、イメージのズレが起こりにくくなります。口頭で伝えるよりも、写真やスクラップを使ったほうが、理想に近づけやすくなるのです。
こうした基本的な考え方を丁寧に押さえておくことで、「なんとなくおしゃれ」ではなく、「わたしたちらしく、おしゃれ」な家にぐっと近づくことができます。
デザインを決める際のポイント
おしゃれな家をつくるには、空間を構成するさまざまな要素をバランスよく整えていくことが求められます。ここでは、デザインを検討するうえで押さえておきたい代表的なポイントを紹介します。
開放感の演出
リビングに吹き抜けや勾配天井を採用する、視線が抜けるように間仕切りを最小限にする、大きな窓を配置して外と内をつなげる——そうした設計の工夫によって、広さ以上に空間にゆとりを感じさせることができます。高低差をつけるスキップフロア、踏板・手すり・骨組みで構成されるスケルトン階段なども、空間に開放感と遊び心を生み出す手法のひとつです。
素材と質感のこだわり
例えば、床材に無垢材を使うと、足触りの良さだけでなく、自然素材のぬくもりが空間全体に広がります。逆に、コンクリートやタイル、鉄、ガラスなどを使えば、クールでモダンな印象を演出できます。質感のコントラストや素材の経年変化を楽しむ視点も、空間に深みを加えるポイントです。リビングの一角に、フローリングの素材が切り替わる土間スペースを設けると、空間に変化が生まれ、おしゃれなアクセントになります。
色の構成とバランス
ベースカラー(壁・床など)を白やグレー、ベージュなど落ち着いた色にすると、空間が広く感じられ、家具や小物も引き立てやすくなります。全体的には3色程度に抑えると、まとまりのある印象に仕上がります。一般的には「ベースカラー70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%」がバランスよく見せる黄金比とされています。
照明計画
天井にシーリングライトを一灯という配置ではなく、ダウンライト・間接照明・ペンダントライト・フロアランプなどを複数組み合わせる「多灯分散」で、空間に陰影と奥行きをつくるのがおすすめです。色温度もポイントで、くつろぎ空間には電球色(あたたかいオレンジ系)、作業空間には昼白色(白い光)など、シーンに応じた使い分けが空間の“質”を左右します。
収納計画
生活感の出やすいものは造作収納やウォークインクローゼットに隠しつつ、お気に入りの雑貨やアートはオープン棚で“見せる”など、メリハリのある収納設計を意識しましょう。収納家具の素材やカラーを統一することでも、雑然とした印象を避けることができます。家事動線と連携した「適材適所」の収納も、実用性と見た目を両立させる鍵になります。
間取りの工夫
間取りそのものの美しさも、おしゃれな家づくりには欠かせない要素です。例えば、視線が抜けるように空間をゆるやかにつなぐ設計や、生活動線を兼ねた回遊性のある間取りは、見た目にも心地よく、使い勝手も高めてくれます。
また、吹き抜けやスキップフロア、小上がりの畳コーナーで立体的な広がりを持たせたり、廊下や階段ホールの一角にワークスペースや飾り棚などの“居場所”を設けたりすることで、空間に表情と奥行きが生まれます。ゾーニングの工夫によって生活のオンオフが切り替えやすくなることも、間取りデザインの魅力のひとつ。おしゃれさと暮らしやすさを両立するには、“使いやすさ”と“見た目の流れ”を意識することが大切です。
おしゃれな家を実現するための進め方
理想の家づくりを成功させるには、思い描いたイメージをしっかりと形にしていく“段取り”が欠かせません。ここでは、おしゃれな家を実現するために押さえておきたい進め方のポイントを紹介します。
STEP1|“好き”を集めて、イメージを可視化する
SNSや建築実例、住宅雑誌などから気に入った空間の画像や資料をピックアップし、自分たちの“好み”を見える化していきます。集めた画像を並べることで、共通する色味・素材・空間のテイストが見えてくることも多く、方向性を定めるヒントになります。
STEP2|イメージを言語化・視覚化して共有する
「ナチュラルな感じ」「カフェっぽく」などの抽象的な言葉は、人によって受け取り方が異なるため、できるだけ具体的なビジュアルを用意しましょう。素材・色・間取り・収納・照明など、パーツごとの希望も伝えられるように整理しておくと、打ち合わせもスムーズになります。
STEP3|デザインと機能を同時に設計する
間取りだけでなく、家具や照明、収納、動線も含めて空間設計を進めることで、あとから補うのではなく最初から整った住まいに仕上がります。「おしゃれに見える収納」や「生活感を抑える動線」など、意匠と使い勝手を一体化する意識が大切です。
STEP4|素材・色・照明は現物で確認する
カタログで見る色と、実際の空間で見る色では印象が異なるため、モデルハウスやショールームでの確認は欠かせません。特に面積の大きい床や壁は「面積効果」により色の明暗や重さが変わって見えるため、光の当たり方も含めてチェックしておきましょう。
STEP5|“引き算”を意識し、長く愛せる空間に
あれもこれも盛り込みたくなる気持ちを抑え、必要な要素を厳選する「引き算のデザイン」は、おしゃれな家づくりの本質ともいえます。空間に余白をつくることで、光や素材、家具そのものが引き立ち、住むほどに味わいが深まる住まいになります。
“おしゃれ”は感性と暮らしの調和から
おしゃれな家をつくるということは、ただ流行のデザインを取り入れるということではありません。自分たちのライフスタイルに合った空間を丁寧に設計し、素材や光、色や収納、そして空間の流れを意識して整える。その積み重ねが、「わたしたちらしい」おしゃれな家を形づくっていきます。
住まいは、日々の暮らしそのものを支える場所であり、気持ちのスイッチを切り替える場所でもあります。毎日を気持ちよく過ごせるような、自然体で過ごせる場所こそが、最もおしゃれな空間なのかもしれません。
感性と実用性のバランスを大切にしながら、ぜひ、あなただけの“おしゃれな住まい”を叶えてください。
パナソニックの住まい事例集ではカタログ掲載プランやSNSで見つけた素敵な暮らしの事例をご紹介。理想の住まいのイメージづくりにお役立てください。
この内容は2025年8月現在のものです。
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