2025.09.01

家を建てる費用は平均どのくらい?内訳とコスト削減のポイントを紹介

家を建てるときに気になるのが、費用ではないでしょうか。家は、建てる地域やエリア、間取り、設備のグレードによって、大きく差が出ます。理想の住まいを予算内で建てるためには、どこに費用をかけて、どこを抑えるのかバランスが大切です。注文住宅の地域別の費用の内訳と予算の考え方、費用を抑えるポイントを紹介します。

家を建てる費用の平均相場

注文住宅で家を建てた人は、どのくらいの費用をかけているのでしょうか。どんな家を建てるかはもちろん、土地がある場合、ない場合によっても費用は変わります。地域やエリアによっても費用は異なります。2024年度に「フラット35」を利用した人がどれくらいの費用をかけているのか地域別に紹介します。

【土地がある場合】費用の目安

所有している土地がある場合、注文住宅の費用はどのくらいでしょうか。住宅金融支援機構の「2024年度 フラット35利用者調査」によると、注文住宅の建設に住宅ローンを利用した人の全国の平均は、約3,932.1万円、首都圏では、4252.7万円でした。近畿圏では、4,118.6万円、東海圏では3,935.5万円、その他の地域では、3,741.7万円になっています。

全国 首都圏 近畿圏 東海圏 その他地域
建築費 3,932.1万円 4,252.7万円 4,118.6万円 3,935.5万円 3,741.7万円

出典:2024年度 フラット35土地付注文住宅融資利用者の主要指標PDFが開きますより。

【土地がない場合】費用の目安

所有している土地がない場合は、土地の購入費用と建築費用が必要です。「2024年度フラット35利用者調査」によると、建設費の全国の平均は3512万円、土地取得費の全国の平均は1495.1万円。建設費と土地取得費の合計は、5007.1万円でした。

特に土地取得費は、地域による差が大きくなっています。土地取得費は、地域だけでなく、取得するエリアによっても異なるため、具体的な計画を立てる際は、希望するエリアで確認が必要です。

地域・都道府県 建設費 土地取得費 費用合計
全国 3,512.0万円 1,495.1万円 5,007.1万円
首都圏 3,505.6万円 2,285.0万円 5,790.6万円
近畿圏 3,366.7万円 1,826.0万円 5,192.7万円
東海圏 3,615.7万円 1,359.8万円 4,975.5万円
その他地域 3,549.1万円 985.0万円 4,534.1万円

出典:2024年度 フラット35土地付注文住宅融資利用者の主要指標PDFが開きますより。

土地ありで家を建てる費用(建設費)の全国の平均3,932.1万円と土地なしで家を建てる費用(建設費)の全国の平均3,512万円を比較すると、建設費は、土地がある場合の方が高めになっています。
土地なしで家を建てる場合は、土地取得費用が総額に大きく影響します。土地を取得する地域やエリアによって費用は異なるため、お住まいの地域や取得するエリアの土地取得費を確認する必要があります。

家を建てる費用の内訳

注文住宅を建てるときの費用は、土地がない場合「土地取得費」と「建築費」がかかります。また、建築費は大きく「本体工事費」「別途工事費」「諸費用」の3つに分けられます。何にどれくらい費用がかかるか全体像を知っておくことで、予算が立てやすくなります。

注文住宅を建てるときにかかる費用

費用内訳 内容
土地取得費 土地購入費用 土地の購入にかかる費用
建築費 本体工事費 建物本体にかかる工事と材料費
その他工事費 本体工事費に含まれない工事費
諸費用 工事以外にかかる費用

本体工事費

本体工事費は、建物本体にかかる標準仕様の工事費用のことです。依頼するハウスメーカーや工務店によって内容が異なることがありますが、大きくは下記の内容になります。

本体工事費の主な内訳

  • 仮設工事…工事に必要な足場や仮設トイレ、工事用電力などの費用
  • 基礎工事…布基礎やベタ基礎など、建物を支えるための標準的な地耐力の基礎
  • 木工事…柱や壁などの材料加工、骨組みをつくる費用
  • 内装工事…クロス貼りや建具の工事費用
  • 外装工事…外壁や屋根などの工事
  • 設備工事…キッチンやバスルームなどの標準仕様の設備の工事
  • 電気・水道工事…電線や水道管などの配線や配管工事

などが本体工事費になります。

別途工事費

別途工事費は、「付帯工事費」と呼ばれることもあります。「オプション工事」「解体工事」「外構・インテリア工事」などは本体工事費に含まれず、別途工事費になります。施主の要望に合わせて標準仕様から追加・変更する設備や、建築地の状況によって費用が必要となる工事費などは別途工事費になります。建築地の地耐力が弱かったり、大規模な解体工事が必要な場合など、建築地の状況によって費用は大きく変わります。

別途工事費の主な内訳

  • 地盤調査や改良工事…地盤改良が必要な場合の費用
  • 解体工事…既存の建物がある場合の解体費用
  • 造成工事…盛土や埋め立て、切土が必要な場合
  • インフラ引き込み工事…電気、ガス、水道を敷地内に引き入れるための工事
  • 外構工事…駐車場やエクステリアなどの工事
  • 設備工事…エアコンや室外機の設置、カーテンの設置工事など
  • 屋外電気工事…屋外に照明などを設置する工事

その他、設計料などが必要な場合もあります。

諸費用

住宅を取得する際に必要な各種手続きに必要となる費用です。仲介手数料の有無や利用する住宅ローンの種類などによって大きく変わります。

諸費用の主な内訳

  • 土地関連費用…仲介手数料、不動産取得税、固定資産税清算金など
  • 住宅ローン関連費用…事務手数料、保証料など
  • 登記費用…司法書士報酬、登録免許税など
  • 保険料…火災保険、地震保険など
  • 地鎮祭・上棟式費用…建築を開始する前に行う儀式費用

その他、引越し費用や仮住まい費用、家具の購入などの費用が必要です。

自分たちの予算を考える

注文住宅は、自由度が高い反面、こだわりすぎると予算がオーバーしてしまうこともあります。家を建てるためには、建築費だけでなくさまざまな費用がかかります。見えない費用も多く、総額が当初の予定を上回るケースも想定されます。
住宅ローンの返済は長期にわたるため、将来の生活まで見据えた資金計画が必要です。ライフスタイルの変化など、先のことまで考えて予算を立てましょう。

物件価格と予算の考え方

住宅金融支援機構の「2024年度 フラット35利用者調査」によると、2024年度に土地付き注文住宅を取得した人が、マイホームにかけた費用は、平均で年収の7.5倍でした。
ただし、同じような年収でも家族構成や年齢、ライフスタイルが異なるため、一概に平均的な年収の倍率に費用が収まっているからと言って大丈夫だとは言えません。また、平均的な年収倍率よりも、マイホームにかける予算が多くなる場合もあるようです。

予算は、将来のライフイベントに合わせて収入と支出を計算し、毎月いくらの返済額なら大丈夫かシミュレーションをする必要があります。また、建築する建物の耐久性によっても将来のメンテナンス費用が異なります。
フラット35では、住宅取得のための資金計画をはじめ、毎月の家計収支や将来のライフイベントを踏まえたキャッシュフローなどを試算できる「資金計画シミュレーション」が用意されています。

住宅金融支援機構「資金計画シミュレーション」別タブで開きます

ライフプランから考えるわが家の予算

家を建てようと考えている方は、小さなお子さんがいるご家庭が多いかもしれません。
住宅ローンの返済額は、「今、払える金額」で決めるのではなく、これからの人生設計も踏まえて考える必要があります。子育て世帯は、特に将来の教育費が大きくかかる時期に必要な貯蓄が残るように住宅ローンの返済額を考えることが大切です。その他、車の買い替えや老後資金など、将来必要になるお金についても考えます。

返済可能な額がわかれば、借入期間と借入金利によって住宅ローン借入額が決まります。同じ返済可能額でも金利が低いと住宅ローンを多く借りることができます。これまでは、超低金利時代でしたが、今後は上昇も考えられるため、利用する前には金利動向に注意が必要です。

予算の枠を決める

土地から購入する場合、土地購入費と建築費の予算配分をどれくらいにするか決めます。建築するマイホームの仕様を優先する場合、予算から建築費を差し引いた残りが土地購入費の目安となります。反対に、土地購入費を優先する場合、予算から土地購入を差し引いた残りが建築費の目安となります。どちらの方法でも希望するマイホームの予算が難しい場合は、ライフプランの見直しに戻り、家計のスリム化なども含めて予算を再検討するようにしましょう。

「家を建てる費用の内訳」でもお伝えしましたが、家の購入は土地購入費用、建築費のほかに、諸費用も必要です。何にどれくらいかかるのか、事前の確認が予算オーバーを防ぎます。また、想定外の出費に備えて、余裕資金も確保しておくと安心です。
予算と希望を明確にすることで、仕様や間取りを選ぶ際にも、自分たちに必要なものを選ぶことができます。

費用別の注文住宅の特徴

どのくらいの予算でどんな家が建つか、イメージが掴みにくい注文住宅。予算別の特徴を押さえることで、希望の住まいを実現するためにどれくらいの予算が必要か、イメージがしやすくなります。
1,000万円台、2,000万円台、3,000万円台、4,000万円台の注文住宅の特徴を紹介します。

建築費1,000万円台の注文住宅の場合

1,000万円台の注文住宅の特徴は、建築コストを抑えるため、規格に基づいた設計が多く、シンプルな形状や間取りになる傾向があります。設備や内装は基本仕様が多くなり、選択肢は限られる場合が多いようです。暮らしに必要なものだけを取り入れるなど、工夫次第で満足度の高い住まいになります。

建築費2,000万円台の注文住宅

2,000万円台の特徴は、コンパクトで効率的な住まいが中心になります。シンプルな形状の外観や、ムダを省いた間取りでコストを抑えた住まい。設備や内装は標準仕様がベースになりますが、必要なところは選べることが多いため、優先順位をつけることで満足度の高い住まいを実現できます。

建築費3,000万円台の注文住宅

3,000万円台は、自由度が高い住まいになります。広めのリビングやキッチンのほか、ワークスペースやウォークインクローゼットなど、こだわりも実現できます。断熱性や耐震性など、長く安心して暮らせるための工夫が充実しています。自分好みのデザインや将来を見据えた快適な住まいを実現できます。

建築費4,000万円台の注文住宅

4,000万円台の注文住宅の特徴は、広々としたLDKや開放的な吹き抜けなど、設計の自由度が高い住まいです。家族構成やライフスタイルに合わせてこだわりの空間を実現できるほか、設備や内装はハイグレードな仕様のものが選べます。断熱性や耐震性など、長く安心して暮らせる工夫がされています。デザイン性と快適性、機能性を取り入れたワンランク上の住まいを実現できます。

家を建てる費用を抑えるためのポイント

家づくりで気になるのは「予算内で理想の家が建てられるかどうか」ではないでしょうか。工夫次第でコストを抑えながら、満足度の高い家を建てることができます。
シンプルな構造で建築費を抑えたり、設備のグレードを見直すことで費用を削減できます。国や地方公共団体の補助金や助成金を活用することもおすすめです。最近は、子育て世帯に嬉しい補助金や住宅ローンが登場しています。上手に活用することで費用を抑えることができます。

シンプルな構造の間取りにする

シンプルな間取りを意識することで費用を抑えることができます。たとえば、部屋の数を必要以上に増やさない、吹き抜けなど複雑なつくりをしない、などです。シンプルにすることで材料や工事の手間が減り、建築コストを抑えることができます。また、キッチンやバスルームなどの水まわりをできるだけ近くにまとめることもコスト削減につながります。

家づくりのコスト削減は、小さな積み重ねになるため、コストばかり考えて、イメージと違う、やりたかったことが実現できなかった…となっては意味がありません。コストはもちろん、住みやすさやメンテナンス性まで考慮することで、結果的に長く快適に暮らせる家づくりにつながります。そのためには、優秀な営業担当者と設計士を家づくりのパートナーにすることが大切です。間取りの希望を満たしつつ、建築費の無駄を抑えた提案をしてくれます。

設備のグレードを検討する

設備のグレードの見直しも大きなポイントです。キッチンやバスルーム、トイレなどの住宅設備は、同じメーカーでもグレードによって数十万円単位で価格が変わります。機能が多く搭載されたものは、どうしても価格が高くなります。必要な機能か?を考えて選ぶことが大切です。
例えば、暮らしの快適性を考えてお手入れしやすい機能のものを選ぶなど、こだわりの部分を明確にすると選びすくなります。お風呂の時間を大切にしたいなら、バスルームは最新の設備を取り入れる、こだわらないならグレードを下げるなど、こだわりと抑える部分のメリハリが費用を抑え満足度の高い家づくりにつながります。

予算に合わせて土地エリアを絞り込む

費用を抑えるためには、土地選びも重要なポイントです。希望のエリアにこだわりすぎると、土地の価格で予算を圧迫してしまい建物にかける予算が減ってしまうことに。優先順位を決めておくことが大切です。駅の近くや人気の学区は価格が高めになりますが、少し駅から離れると価格が下がることもあります。「絶対に駅の近くがいい」「子育てしやすい環境が一番」「スーパーが近くにあること」など、ライフスタイルや譲れない条件を整理しておくことで、土地選びがスムーズになります。
注意したいのは、建築コストがかかる土地です。敷地内に高低差がある、形状が特殊、軟弱地盤など、土地の代金は安くても、その後に造成工事や地盤改良などの費用がかかることもあります。
昔、沼や川などで埋め立て造成された土地は、地盤が弱いこともあるので、昔の土地の様子がわかる地図をチェックすることや、住宅会社と相談しながら選ぶことをおすすめします。

助成金や補助金を活用する

地方公共団体の助成金や国の補助金制度を活用することもおすすめです。2025年度は新築時に使える「子育てグリーン住宅支援事業」や「ZEH支援事業」など国の補助金があります。条件を満たした住宅や対象者は、数十万円から100万円以上の補助を受けられる場合があります。
事前の登録や施工内容の証明が必要な場合があるため、家づくりの早い段階から情報収集するのが大切。補助金は事業や自治体ごとに予算が異なります。ほとんどの場合、あらかじめ決められた予算額に達したら締め切りとなるので注意が必要です。受付期間が短い補助金もあるので、条件・期限など利用前に確認することが大切です。
また、住宅ローンを借りる場合、子育て世帯の住まいづくりを支援する「フラット35子育てプラス」という仕組みがあります。子どもの人数に応じて金利が引き下げられるなど、子育て世帯は優遇されるので、情報をしっかり集めて家づくりをスタートしましょう。

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この記事のまとめ

家づくりの全体費用を知り、わが家に合った予算を考えよう

家づくりのスタートは、まず家づくり費用の全体像を知ること。自分の住んでいる地域の平均を知ることで、どのくらいの予算が必要か検討する時のヒントになります。さらに、家づくりに必要な費用の内訳を知ることで、具体的な準備をすることができます。予算は、今後のライフプランを考えて決めることが大切です。家づくりでは想定外の費用が発生することもあるため、費用を抑える工夫をしながら、自分たちに合った家づくりを実現しましょう。

この内容は2025年8月現在のものです。

監修協力

熊谷 一志 さん

家づくりコンサルティング株式会社
CFP®(日本FP協会認定)・1級FP技能士・宅地建物取引士

不動産・建築業界を経てきた経験を活かし、住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして2006年に家づくりコンサルティング株式会社を設立。延べ5000件を超える住宅購入時のお金に関する悩みのコンサルティングを行っている。フジテレビ「笑っていいとも!」、日経CNBC「マーケット経済専門チャンネル」などメディア出演の他、企業での講演やセミナー講師など幅広く活躍中。

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