介護されるご家族が直面する様々な質問やお悩みを解消するポイントをまとめました。
まず最初に気をつけておきたいのは、介護は全員が力を合わせて行うものであることを、家族一人ひとりが理解をする必要があります。
誰かひとりが介護を担当すればよい、という考え方をしていると、その人にだけ大きな負担がのしかかってしまい、破綻を招く可能性も高まります。また、その人が病気や怪我などによって介護を担えなくなった場合、たちまち困難な状態に陥ってしまいます。
とは言え、医師やケアマネジャーなどと介護の方針について話し合ったり、介護にかかる費用の管理について、複数の家族がバラバラに担当していくというのにも無理があります。こうした課題をスムーズにこなしていくためには、家族のなかで介護のリーダー役を決めておくことをオススメします。
リーダー役を決めるにあたっては、次のようなポイントに気をつけながら話し合いを行いましょう。
要介護者の配偶者や兄弟姉妹を中心に、話し合いはできるだけ家族全員で行うようにしましょう。話し合いの場に参加していなかった兄弟のひと言で、せっかく決めたことが覆ってしまうというのはよくある話です。
残念ながら「長男の奥さん」や「独身の妹」などが、周囲の圧力で無理やり介護を担当させられるといったことが、まだまだ後を絶ちません。「誰かに押しつけることありき」の話し合いではなく、家族みんなが素直な気持ちをぶつけ合えるような話し合いを心がけましょう。
要介護者の心身の状態や、今後予想される課題などをもとに、どんな介護をしていく必要があるのかを紙などに書き出しましょう。主治医や地域包括支援センターなどにアドバイスをもらうのも有効です。
介護は一度始めたら、途中で投げ出すわけにはいきません。仕事や家事、育児など、家族にはそれぞれの事情があるので、まずはそれぞれのできること、できないことを出し合っていきましょう。ここで重要なのは、「あれもイヤ、これもイヤ」とすべてを拒否するのではなく、「こうしたことならできる」「こういう条件ならできる」など、積極的にできることを書き出すことです。離れて住んでいるなどの理由で、直接介護に参加できない場合は、費用を多めに負担するといったことも考えましょう。
どんな介護が必要なのかと、家族それぞれができることを並べて確認すれば、足らない部分が見つかるはずです。その足らない部分について、どうすれば解決できるかを話し合いましょう。できることが一番多い人をリーダー候補として、その人がリーダーを務めるための条件を一つずつ決めていくことをオススメします。家族だけで解決できない場合は、介護保険をはじめとする各種の社会資源を積極的に利用しましょう。場合によっては、早い段階で施設への入居を考えたほうが良いかもしれません。
介護について家族で話し合いをしているとき、親戚などから「昔は親の介護は家族で行うのが当たり前だった。ヘルパーに助けてもらうとか、施設に預けるなんて、とんだ親不孝者だ」といった意見が出て来るのはよくあります。しかし大家族で、しかも介護が必要になってから亡くなるまで半年ぐらいしかなかった昔と、核家族化が進み、介護期間も大幅に長くなった現在とで、同じやり方で対応するのは無理がある話です。勇気が必要ですが、こうした親戚に対しては時代や環境の違いなどを説明したうえで、主張を取り下げてもらうように頼みましょう。