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2013年2月13日更新

「こんな暮らしがしたい!」あなたの夢や希望を実現するスタイルをご紹介します。

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オープンスペースで子どもがのびのび育つ家

関東平野の真ん中にある埼玉県熊谷市。M邸は駅から車で10分の閑静な住宅地で、家の前が公園というという恵まれた環境にあります。5人家族の木造2階建ての住まいは、日当たりのいい2階吹き抜けのリビング、対面式のキッチン、ダイニングを中心に、どこにいても家族の気配が感じられる明るく開放的な住まいです。
行き止まりをできるだけつくらない回遊性の高い間取りは、奥様にとっては家事がしやすく、子どもたちにとっては走り回れる理想の空間です。
リビングのサッシを開け放すことで、外・庭・デッキ・リビングが一体化。家族一緒のあたたかい雰囲気の中で、子どもたちがのびのびと育つ理想の住環境が実現しています。

Point

  • 1.どこでも家族の気配を感じるオープンな暮らし
  • 2.リビング階段を中心にした明るく開放的な空間
  • 3.子どもが片づけやすい部屋
  • 4.いろいろなコミュニケーションが生まれるリビング
  • 5.気候風土を大切にした住まいで、のびのびと育てる

1.どこでも家族の気配を感じるオープンな暮らし

M様ご家族は、ご夫婦と長男(7歳)次男(5歳)長女(3歳)の5人家族です。
新築するにあたってM様が建築家に要望したのは、「みんなが自分の部屋にこもってしまう家ではなく、どこにいても家族の気配を感じるオープンな暮らしがしたい。」「共働きで忙しく、子どもも小さいので、家事をできるだけスムーズにできるようにしたい。」「来客時に広々と使える空間が欲しい。」「建て替えることで解体した祖父母やお父様の住んだ築80年の和風住宅の建具をできるだけ再利用したい。」などでした。
何よりご夫婦は、3人の子どもたちと一緒にのびのびと育っていける住まいをお望みでした。
そのための住まいの空間は過保護にならず、自分たちの創意工夫で遊んだり、学んだりでき、お互いの気配も感じ合える自由な空間が必要だと考えておられました。

南向きの大開口部のあるM邸は、オープンであたたかな印象。

2.リビング階段を中心にした明るく開放的な空間

M邸の外観は、祖父母が暮らした思い出の詰まった伝統的和風住宅を意識して“和”のテイストを持たせた、落ち着いた切妻型です。また、以前の建物には、縁側や開放的な玄関があり、外に対して開かれたつくりだったことを意識して、2階吹き抜けのリビング(約40m2)は、南側が1、2階ともに大開口で、外にデッキ(1階)とベランダ(2階)を設け、明るく開かれた空間です。
間取りは、1階にリビング、ダイニング、キッチン、和室などで構成。2階に主寝室、子ども室、ちょっとした遊びや勉強などに使えるコモンスペースなどがあります。家の中央に配置したリビング階段で、1、2階の各室・スペースは階段を取り巻くように配置され、機能的な動線になっています。
キッチンはリビングと対面。食事などを作る際にも絶えず子どもたちに目が届き、家族が一緒の時間を過ごすことができます。

階段を中心にキッチンとリビングは、ぐるぐると走りまわれる間取り。
階段を中心に右側のブリッジと左側のコモンスペースもしきりがなく、どこからでも行き来しやすい

3.子どもが片づけやすい部屋

M邸には、各部屋に収納スペースや造り付けの家具があり、すっきりとした空間になっています。建築家は「子ども自身が気づいて、考えて、行動するために、片付けはよい勉強の1つ。しかし、片付けには決められた収納場所があることはもちろん、訓練も必要」ともおっしゃいます。M様は「共有のスペースに収納があるので、急な来客時も一緒に片付けたり、親や兄弟を見ながら自然と片づけができるようになった」と話されます。
2階にある子ども部屋は、ひとりになりたいときのプライバシー空間や受験時など集中したい時の部屋と考えました。しかし、こもりきりにならないようにしています。可動式の収納を背合わせにすると2つの独立した部屋になりますが、ロフトはつながった空間にして、完全な個室にはならないようにしています。

ロフト付きの子ども部屋。黄色と黄緑の扉の可動式収納が部屋のアクセントになっている。

4.いろいろなコミュニケーションが生まれるリビング

リビングは、デッキと連続。サッシ戸を開ければ庭を含めて1つの広い空間として使えます。今では保育園仲間と40人のバーベキューパーティーを開くこともあるとか。建築家は「来客が多い家は、さまざまな世代の人とのコミュニケーションが生まれ、子どもが礼儀作法を自然に覚えることができます。」と話されます。
小さな子どもは少しでもお母さんのそばにいたいもの。それは、お母さんが料理をしている時も同じです。そこで、子どもたちは、階段の中段に上がり、のぞきこみながら、料理をするお母さんと会話をするようになりました。どんな時でも会話ができるリビング階段とキッチンは、今では奥さまの一番のお気に入りです。

階段の中段から台所をのぞきこむ子どもたち

5.気候風土を大切にした住まいで、のびのびと育てる

熊谷市は、内陸性の気候で夏は猛暑が続き、冬は乾いた強い季節風が北から吹き抜ける寒い土地です。外との温度差を和らげるため、厚さ10cm以上の断熱材を外壁・床・天井に入れて、窓はペアガラスを採用。外からの暑さ寒さの影響を防いでいます。冬は、リビングにある2階吹き抜けの開口部からキッチンまで陽射しが入るようにひさしの長さが計算されています。さらに換気も考えて、住宅の四方には窓を設け、どこからでも風が抜けるようにしています。
住宅に用いた木材は、祖父母の代からの土地を受け継ぐ郷里への思いから、すべて埼玉県産のものを使用。天井や柱などは杉、床は針葉樹の中でも柔らかいさわらを採用し、夏は素足で心地よく過ごせます。
土地に根付き、故郷の風土や人を大切にした住まいで、3人の兄弟はのびのびと元気に育っています。

山紅葉、松など祖父母の代からの庭木が受け継がれ、ご主人が手入れをしている。

■建築概要

所 在 地

埼玉県熊谷市

設   計

一級建築士事務所アトリエ・ヌック

構   造

木造2階建て

敷 地 面 積

326.19m2

建 築 面 積

91.80m2

延 床 面 積

134.22m2

竣   工

2010年

工   期

195日

●主な外装仕上げ

屋根
:ガルバリウム鋼板
:そとん壁

●主な内装仕上げ

天井
:杉板、和紙貼り
:シラスを主とした天然素材
:ひのき縁甲板、さわら縁甲板

■平面図