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広島県東広島市の高台にあるA邸は、広々とした田園風景が広がる眺めのいいお住まいです。幹線道路に近く、いずれは高速道路のインターチェンジが近くにできる予定で、交通の便にも恵まれています。現在、関西にお住まいのA様ご夫婦は、将来に備えて、高齢になられたご両親の近くに住みたいと考え、実家の敷地内に戸建て住宅を建てられました。母屋とのつながり、水まわりの利便性、ライフスタイルの変化などに対応できるように考えられ、ご両親とご夫婦の暮らしの両方が快適になるように設計されたお住まいをご紹介します。
現在、関西のマンションにお住まいのA様ご夫婦が、新しい住まいを検討し始めたのは、高齢になられた奥様のご両親を心配されたことからでした。
ご実家は、新幹線の広島駅から車で約1時間の自然に恵まれた盆地にあります。近くに幹線道路が通っていて、将来は家から10分ほどのところに高速道路のインターチェンジができる予定があり、車での移動が便利な場所にあります。帰省には便利な場所なのですが、できれば近くに住んで安心させたいと考え、ご実家の敷地内に戸建て住宅を建てられることにしました。
住まいづくりを検討される際、ご夫婦は「家を建てるなら、今までやってみたかったことをすべてしてみよう」と考えられました。バリアフリー対応はもちろん、天然無垢材を使う、リビングに本棚を作る、オープン階段にする、吹き抜けを設ける、照明は建築化照明に、リビングからの景色を確保する、など「やってみたかったこと」は多岐にわたりました。
設計で一番に考えられたのはバリアフリーの対応でした。ご両親は、ご高齢になられたとはいえ、毎日、畑仕事をされるなどご自分たちの生活ペースをしっかりと持っておられることから、母屋と新居を隣接して建てることにしました。将来のことを考えて、新居の1階をバリアフリーとし、表玄関へは母屋からスロープで上がれるようになっています。
ご両親がよく使われる洗面・バスルームまでは玄関から一切段差がなく、スムーズに移動することができます。洗面室の扉は、上吊り式の引き戸を使っているので、床にレールの段もありません。また、バスルームはユニットバスを採用したことで、冬場でも暖かく、ドアは三枚引き戸で、開口部が広くなっています。お母様は、お風呂が暖かくて快適になったと、とても気に入られているそうです。
スロープとは別に母屋からは、隣にあった蔵を通路として利用し、雨の日でも濡れずに新居と母屋を行き来できるように工夫されています。
今回の新築にあたっては、ご実家を建てられた地元の工務店に依頼されました。実家の構造を理解されている工務店だったので、母屋とのつながり部分も含め、スムーズに施工が進んだそうです。
ご夫婦がぜひとも実現したかったのが、天然無垢材を多く取り入れることでした。床は硬くてキズの付きにくい「くり」、階段には素材感が気に入ったという「杉」を使用、大黒柱は5寸角の「ひのき」、窓枠は「ひば」を使っています。
無垢材の床は素足で歩くと温もりが伝わってきます。冬は暖かく、夏はさらっとした感触になることや、使っていくうちにツヤがでて、無垢材ならではの風合いが楽しめます。
リビングの横の階段は、念願だったオープン階段に。階段の横には、奥様がいつでも大好きな本を眺められるようにと本棚を作られています。二階までつづく壁一面の本棚は建築現場で使われる足場板を利用したもの。棚板の位置は、自由に変えられるようになっています。
今回建設された地域は、寒暖の差が大きい盆地のため、設計で快適になるように温熱環境を考えられています。庇の出を深くし、パーゴラでほどよく日差しを遮り、リビングの前にあるウッドデッキで反射熱を抑えることで、夏の暑さ対策をしています。冬は、インナーテラスのタイル素材が蓄熱体として太陽熱を蓄える性質があるので、吹き抜けを通して2階にも暖かさが循環します。
大きくとられた吹き抜けの窓からは室内奥まで日差しが届くように工夫されています。寝室や洗面室の窓は、高い位置に設置されているので、室内が明るく保たれていることと、外から家を見たときにも、室内がちょうど見えない位置になっています。
断熱材には、ロックウールを利用、窓もペアガラスを採用し、断熱等級4の高いレベルを実現した高気密・高断熱住宅です。
間取りは、1階玄関から入ると、左手に対面のキッチン、正面に洗面、バスルーム、トイレなどの水まわりが一カ所に集められています。右手にリビングが広がり、リビング階段を上がると、吹き抜けからの景色が正面に見える位置にご主人の仕事机が備え付けてあります。その奥が寝室スペースになっています。
1階のリビングの前には、開口部の大きな窓があるため、どこに座っても田園風景が美しく見えます。夜、窓の近くに座ると、家の中から星空が見えると話されます。暖かい日は、ウッドデッキに座ってゆっくり過ごされることもあるそうです。
A様邸には、仕切りがありません。これは将来のライフスタイルにあわせてフレキシブルに対応できるようにという考えからです。
仕切りがないことで、使い方にも想像が膨らみます。家は、建てて終りではなく、暮らしながらどんどん変化していくものという考えです。「汚したらダメとかキズがいったとか、そんなことは気にしません。大黒柱には孫の背比べのしるしを入れました。最近の家はキレイすぎて、キズがつくことが悪いように思えるのですが、記憶に残る家にしたいと思ったのです」。とA様ご夫婦は今からどんな家になっていくのか楽しみと話しておられます。
所 在 地 |
: |
広島県東広島市 |
設計・監理 |
: |
有限会社 松大 |
施 工 |
: |
川崎工務店 |
構 造 |
: |
木造2階建て |
敷地面積 |
: |
764.5㎡ |
建築面積 |
: |
44.71㎡ |
延床面積 |
: |
76.17㎡ |
竣 工 |
: |
2010年12月 |
工 期 |
: |
約5カ月 |
LED照明、リビングライコン、アラウーノ、ココチーノ、ウツクシーズ、リビングステーション、エコキュート、ケナボード(構造用耐力面材)