スープ作家の有賀薫さんが20年近く暮らしたマンションをリフォームしたのは、「新しいキッチンのあり方」を考えたかったからだといいます。日々の食を豊かに、楽しく、そしてシンプルに。有賀さんの提案する、「スープのある暮らし」と「これからの時代の食のスタイル」についてうかがいました。
7年間、毎朝スープを作ってきた有賀さんの新しいキッチン
優しい朝の光がたっぷりと降り注ぐリビング・ダイニング。その一角に、テーブルのように椅子に囲まれた、小さな「キッチン」がありました。スープ作家の有賀薫さんが、「わが家をある種の実験場にして(笑)」、これからの時代を生きる人たちにとって、本当に使いやすく、美味しく食べられて、しかも家事がラクになる「新しいごはん装置」を考えてみたというのです。
95×95センチの四角いテーブルは、中央にIHコンロ、脇に小さなシンクがついています。シンクで洗った野菜をまな板で切り、コンロにかかった鍋に加えていく有賀さん。できあがればそのままテーブルに配って、パンもみんなへ切り分けて。さあ楽しい食事の始まりです。
料理が「大変!」と感じる人にスープを通じて伝えたいこと
スープ作家としてレシピを伝える立場になったとき、有賀さんは「皆さんが、スープって大変な料理と思っていることに驚いてしまって」といいます。ブイヨンを何時間も仕込んだり、いろんな材料を時間差で入れて、複雑に味付けをしたり。「そういうスープは、料理屋さんのスープ。家でつくるスープは、お味噌汁のように作ればいいんです。出汁は煮干しや昆布でも、ベーコンやソーセージでもいい、もちろんインスタント出汁でもいい。それで季節の野菜を煮て、最後に味噌を入れたらお味噌汁になるし、塩とオリーブオイルで味付けしたらスープになりますよ」。豚汁のように肉を入れたり魚を入れたら、ボリュームたっぷりのメイン料理。パスタやご飯を入れたら、お腹にやさしい夜食にも。
身体にやさしくて、あったまる!有賀薫さん冬のおすすめスープ
緑野菜のミネストローネ
材料(4人分)
たまねぎ 1/2個
にんにく 1片
ほうれんそう 1/3束
ブロッコリー 1個
かぶ 小2個
ズッキーニ 1/2本
じゃがいも 1個
ソーセージ 3~4本
オリーブオイル 大さじ3
塩 小さじ1と1/2
作り方
- ①たまねぎ、にんにくを、みじん切りに。ほうれんそうとブロッコリーは(軸も含め)、細かく刻む。かぶとズッキーニ、じゃがいもは1~1.5センチぐらいの角切りにする。かぶの葉は刻む。ソーセージは細かく切る。
- ②オリーブオイルを鍋に入れて中火にかけ、たまねぎとにんにくを炒める。2~3分炒めたらブロッコリー、ズッキーニ、かぶを加えて炒める。ほうれんそう、かぶの葉を加えてさらに炒める。
- ③約5~6分、全体がしんなりとしたら、水800mLとじゃがいも、ソーセージ、塩を加えて煮る。30分ほど煮て、ブロッコリーが煮崩れたら味を見て、塩で調節する。
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毎朝スープをつくる有賀薫さんが「つくる・食べる・片付ける」理想のキッチンを求めて、
どのようにキッリンリフォームを行ったのか、そのプロセスをご紹介します。
Profile
有賀薫 Kaoru Ariga
2012年から家庭で朝のスープを作り始め、50歳で「スープ作家」に。各種媒体にスープのレシピを提供するとともに、執筆やイベント、展覧会などで活動中。『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)で第5回レシピ本大賞入賞。最新刊『朝10分でできる スープ弁当』(マガジンハウス)もたちまち重版、好評発売中。
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