日々を楽しむ小さな工夫
カラーデザイナー 秋山千恵美さんvol.1
「インテリア、特に壁の色は
住み心地を大きく左右するんですよ」
輸入塗料や壁紙を扱う会社で、建築カラーデザイナーとして活躍する秋山千恵美さん。以前はフラワーデザインの仕事をしていましたが、花の背景となる空間づくりに関心を持ったことが現職のきっかけになったそう。現在は、住まいや公共施設、オフィスなどさまざまな空間のニーズに合わせて、デザイン性と機能性に配慮したカラーデザインを提案しています。
「実は空間の色と居心地のよさは関係が深く、その点で壁の色は重要です。たとえば暖色系は交感神経、寒色系は副交感神経に働きかけると言われていて、気分に影響を与えるんです。視覚的な影響では、広く見える色、暑さを感じる色というのもありますね」と秋山さん。個人の住宅であれば、そこに住まう人の色の好みも重要視すべきポイントになります。
「同じスペースでも壁の色に配慮するだけで、住空間の快適さがグンと変わってくるはず。日本でも、もっと気軽に楽しんでいただけたらと思っています」。
「たとえば白ひとつをとっても、
色調はさまざま。
自分なりの“こだわりの白壁”から
始めるのがおすすめ」
色壁というとカラフルな色をイメージしがちですが、秋山さんの提案は必ずしもそうではありません。むしろ初心者の方へのおすすめは、白に近いニュアンスカラーだとか。
「明るくて清潔感のある白壁は定番の人気ですが、“真っ白”は光の反射率が高くて意外と目が疲れるんです。好んで取り入れている場合は別ですが、少し黄味がかっていたり、グレーがかっているだけで程よく落ち着いた雰囲気になりますよ」。
日本でも壁に色を取り入れる人が増加傾向にあり、グレージュに代表される“ニュアンスカラー”が人気なのだそう。やさしい色合いなら気負うことなく取り入れられそうです。
「壁の一面に色を加えると、
部屋の雰囲気がガラリと変わります」
また、部屋の壁のうち1面だけ色を塗る“アクセントウォール”にも注目が集まっています。
「一面だけでも好きな色壁にすると、部屋の雰囲気も居心地も変わりますよね」と秋山さん。
「花を飾ったり、音楽を流したりするように、住まいを色で演出するのは特別なことではないと考えて欲しいんです。色壁なら、自分で“ペイント”するのが手軽でおすすめ。気軽にトライして欲しいです」。
空間を個性的に見せる色壁のアレンジ
空間のアクセントとして人気の高い色壁。その延長として、数色を使ってデザインし、より印象的な部屋づくりを楽しむ方も増えてきているそう。写真は壁をセパレートに色分けをしてデザイン。個性豊かで楽しい演出になっています。
隣室の壁とのコーディネイトで
カラーウォールを効果的に見せる
隣り合う部屋との色の取り合わせにも配慮すると、住空間の雰囲気がさらにアップします。秋山さんの河口湖にある別宅では、イエローの色壁と奥の部屋の壁紙をコーディネイト。奥行とインパクトのある壁面を演出しています。
一部画像提供/
カラーワークス、株式会社ヤマダタッケン
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vol.2 住まいに色を取り入れる際の
ポイントにクローズアップします。
Profile
秋山千恵美 Chiemi Akiyama
建築カラーデザイナー。体に害のない環境ペイントや壁紙を扱う「カラーワークス」副社長。一般社団法人日本カラーマイスター協会代表理事。一般住宅や店舗、オフィス、病院など、さまざまな空間の色のコンサルティングを行う傍ら、セミナーやワークショップなどでも色の楽しさを伝えている。
一般社団法人日本カラーマイスター協会
https://color-meister.com/
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