日々を楽しむ小さな工夫 
文筆家 甲斐みのりさんvol.1

日々を楽しむ小さな工夫029-vol1 たくさんの“好き”に囲まれて日々楽しく、ときめいて暮らす

「パンやお菓子、雑貨は、
私にとってアイドルのような存在」

ご当地感あふれる個性的なパンやお菓子、そしてその包み紙や箱、土地の歴史や文化が窺える郷土玩具、レトロ建築、雑貨類……。驚くほど守備範囲の広い“好き”を持つ甲斐みのりさんは、文筆家として趣味の世界をテーマに文章を綴るほか、雑貨のプロデュースや雑誌などでもご活躍中。
アトリエにはこれまで出合ったさまざまなお気に入りがところ狭しと並びますが、どれも甲斐さんにとって元気とときめきをもらえる“アイドル”的な存在なのだそう。目の届くところで愛でたい、大切な品ばかりです。

  • アイスやパン、郷土玩具、おやつ、レトロ建築など、甲斐さんにとっての“アイドル”が著書のテーマに。

  • 甲斐さんが企画や監修をしたバッグ、紅茶缶、カプセルトイなど。これらも“好き”から派生した思い入れのある品。

  • 初めて企画、販売した雑貨がマッチ。喫茶店や雑貨店などのレジ脇に置いてもらうことから始めたそう。

「モノの量に罪悪感を持った
時期もありましたが、
今はこの暮らしが
自分に合うスタイルだと思っています」

今でこそ、モノを持ち続ける覚悟を決めたものの、コレクションの物量に罪悪感を抱えた時期もあったそう。
「ある頃から、シンプルな暮らし=スマートで素敵という価値観が広まったので、自分の暮らしや買い物の仕方を見つめ直すべきか葛藤しました」。
実際に、モノを減らすよう努めたものの、「シンプルに暮らすことが自分にとってもしあわせなのか?」と疑問を感じるようになったのだそうです。
そんな頃にたまたま見たのが、大好きな作家の向田邦子さんや森茉莉さんの自宅の写真。好きなモノがたくさん集まった暮らしの空間は、見る人を不快にするどころか、その人らしさがあらわれていて、とても好感を持ったのだとか。
「シンプルな暮らしも、モノを多く持つ暮らしもどちらも素敵なこと。今は、“自分ならどうしたいか”を優先することが大事と思えるようになりました」。

「モノが幸せに暮らせるように、
使い方や生かし方を
いつも考えているんです」

“好き”のアンテナに引っ掛かったら、躊躇せずに購入しているという甲斐さん。理由は、「好きなモノに対してお金を使うことで敬意を表したい」から。そうすることで、作り手の人たちを応援し、支えたいという思いがあるそうです。
同時に、手に入れたモノが“幸せに過ごせる”ように責任を持つことも日頃から心掛けているそうです。
「気に入った器が“大事すぎて使えない”と思う時期があったのですが、今は日常のなかでちゃんと生かすようにしています」。
さらには、自分よりもっと大切に、喜んで使ってくれそうな人に出会ったら、躊躇なく譲ることも。“モノ・ファースト”とでも呼びたくなる愛で方は、本当にアイドルに想いを寄せるかのよう。たっぷりの愛情を注ぎながら、お気に入りとの暮らしに日々幸せを感じています。

  • 器も大好きなアイテムのひとつ。京都の料亭で働いていたことがあり、その際に器についての知識を積んだそう。

  • お菓子やパンのような“消えモノ”も、日常的に積極的に購入して、日々の食卓で楽しんでいるそう。

  • アトリエの三面を囲む本棚に本がぎっしり。愛読書云々というよりも、「本という存在自体が好き」と甲斐さん。

一部画像提供/甲斐みのり

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vol.2 甲斐さんの2つ目のルール
「自分のアンテナに触れるものを
積極的に探しに行く」をご紹介

Profile

甲斐みのり Minori Kai

甲斐みのりさん 写真

文筆家。雑貨やイベントなどを企画するプロダクション「loule」主宰。旅や散歩、地元パン、お菓子や包み紙、クラシック建築、雑貨など、心ときめかせるモノやコトをテーマに、執筆活動や商品プロデュースなどを行う。著書に『くらすたのしみ」(ミルブックス刊)、『日本全国おみやげおやつ』(白泉社刊)、『地元パン手帖』『お菓子の包み紙』(ともにグラフィック社刊)など。

http://www.loule.net/

@minori_loule

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