日々を楽しむ小さな工夫 整理収納コンサルタント 本多さおりさんvol.2
「効率のいい収納は分類から。
使う物を1と2軍に分けて
配置するのがベストです」
「使いたい物がさっと手に取れず、作業がモタつくのが昔から苦手なんです」。
そう語る本多さんのお住まいでは、常用する調理器具や洗面用具などの生活用品は“一軍”と位置づけ、オープン収納を基本に。物の形状によって立てたりハンギングしたりして、“ワンアクション”で出し入れできるように心がけています。
その一方で、必要だけど使用頻度の低いものは“2軍”とし、視界に入る場所に出しっぱなしにせずに扉の中や引き出しの中などにしまうことで、空間が煩雑にならないようにしています。
「使わない物は“3軍”。
手放す候補として別の場所へ避け、
これからの暮らしに必要か検討します」
必要な持ち物を使用頻度に合わせて分類するのが本多さん流のおすすめ整理術ですが、“1軍”にも“2軍”にも属さないけれど、仕分けするうちに処分するには惜しいと感じる物も出てくるはず。それらを“3軍”と考えます。
「3軍のアイテムが限りある収納スペースを圧迫すると、使いたい物が見つかりづらく、出し入れもしにくくなるんです。もったいないですよね」。
とはいえ処分の決心がつかないものは、どうにもなりません。そこで本多さんがすすめるのは、風呂敷に包んだり、箱に入れたりして、収納場所を別にすること。ある程度時間を置いて見直したときに、“やはり使わない”と感じたら処分のタイミング。元の収納場所にゆとりが生まれて物の出し入れがラクになれば、「ない方がいい」と認識する機会にもなりそうです。
持っている物をただしまうのではなく、あくまで“使いやすい方法で”収納すること。それには、必要な物を見極め、整理することが、成功の秘訣のようです。
ワンアクションで手にしたい
1軍アイテムの収納方法とは?
毎日使うものは、引き出しや扉の中にしまい込まず、手に取りやすく、元の位置に戻しやすいオープン収納に。「特に掃除道具や調理道具はワンアクションで取れるとストレスがありません」。
- 洗濯機の後ろは、水廻りで使う小物の収納スペース。棚板にバーをつけて、S字フックでハンギングしています。右2つは、隣り合う洗面台の掃除道具、左は洗濯の部分洗いなどに使う道具。
- 洗濯機からすぐ手が届く位置にハンガーバーをつけて、ハンガーをハンギング。本多邸では、壁面に可動棚のレールを設置して、棚板やバーを自在に取りつけられるようにしています。
- 毎日使う調理道具はバラバラ配置すると雑多な印象になるので、バットにまとめて。自立しないものはスタンドを使い、全部立てて収納。色を揃えているので、見た目がすっきり。
- キッチンとダイニング双方で使うハサミは、空間の境目に定位置をつくりました。棚板に釘を打ち、ハンギングして収納。「ハンギングは、使いたい場所に独立させて収納できるのがいいですね」。
“浮かせる収納”にすれば
使いやすいうえに掃除もラク
壁に固定したり、ハンギングしたり___。床に置かずに浮かせた収納は、わかりやすくて使いやすいだけでなく、掃除をするときに邪魔にならないというメリットもあるのです。本多さんは有孔ボードやフックなどのツールを使って、随所で実践しています。
- 就寝時に必要な照明が床に置いてあると、掃除の際にいちいち避けなければならず、邪魔。そこで、コンセントの近くに壁づけできる棚を付けて定位置に。掃除機がけもスムーズです。
- スナップボタンがついたベルトで、ダイニングテーブルの脚にティッシュボックスをハンギング。テーブルを拭くときにいちいちどかす手間を解消しています。取り出すときも座ったまま手が届いて便利。
- 1の照明と同様、電源タップも浮かせれば掃除がラクです。壁にハンギングした有孔ボードに電源タップを固定。下につけた箱には、携帯電話など充電が必要な物を入れて一か所にまとめています。
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vol.3 すぐ実践できる整理・
収納のヒントにクローズアップ
Profile
本多さおり Saori Honda
整理収納コンサルタント。暮らしをラクにまわす工夫に日々想いをめぐらせて心地よい暮らしを探究し、メディアや個人邸の整理収納サービス(※)でさまざまなアイディアを発信している。夫、長男(5歳)、二男(3歳)の4人家族。著書に『暮らしをそのままの自分に寄せて』(主婦の友社刊)、『今の暮らしを快適に変える収納レッスン』(宝島社刊)、『暮らしをまわす ためず まよわず よどみなく』(エクスナレッジ刊)など。
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