日々を楽しむ小さな工夫 整理収納コンサルタント 本多さおりさんvol.1
「整頓が好きだった子ども時代。
社会人生活を経て
仕事として整理収納を意識し始めました」
著書や雑誌の企画、コンサルタント業務を通して、自身の収納セオリーを伝えている本多さおりさん。収納が苦手な人にも「やってみたい!」と思わせる身近でわかりやすいアイディアが人気です。整理収納への興味は実は子どもの頃から強かったそう。
「整頓が好きで、整えた引き出しの中身などを見ては満足していたんです。社会人になると、仕事の流れがよりスムーズになるように、書類のしまい方を工夫していました」と本多さん。
あるとき、職場の同期の方にその能力を絶賛されたことが、“整理収納”の道を意識するきっかけになったとか。ちょうどその頃に退職、そして結婚生活が始まり、意識は家事をスムーズに行うための物の配置や収納法まで広がりました。その後現職へ。日々暮らしを見つめ、快適な収納のアイディアを練っています。
「持ち物は使うためにあるもの。
それを使いやすく
スタンバイするのが収納です」
収納を計画する際には、まず認識しておくべきことがあると本多さん。
「そもそも収納ってなんのためにすると思いますか? 部屋をきれいに保つためって考えがちですが、それは結果論。まずは、持っている物をきちんと生かすために、“取り出しやすく、片付けやすく”することが第一の目的なんです」。
そのためには、使う場所の近くに収納場所を確保すること。そして、頻繁に使うものほど出し入れしやすい収納法にすることを大切にしているそう。
「とてもシンプルなことですが、それだけで部屋が片付いた状態を保ちやすくなるんです。日常の小さな不便って、慣れてしまうと意外と気づかず、解決することなく過ごす方が多いんですよね」。
「使いやすさに問題があると、
住まいの収納は成立しません」
あわせて本多さんが心がけているのは、家族にとっても使いやすいこと。たとえば、小さな子どもの持ち物なら、ポンポンと投げ入れるだけの簡単な形式に。大人でも片付けが苦手な人なら、立ったままできる、座ったままできる、ワンアクションでできるなどの収納法で解決策を探しています。
「家族の行動や癖をよく観察して『こうしたら使いやすいかな』と思いやりを添えて提案しています。場合によっては、一緒に収納法を考えるのもおすすめです。子どもならその過程自体も有意義な体験になると思いますし、家族を巻き込んで収納をつくるのがいいですね」。
“なんとなく収納”していると見失いがちな、収納の本当の意味。認識新たに見直せば、改善点がたくさん見えてきそうです。
家族に目線を合わせた収納方法をひと工夫
本多家は、持ち物の整理や収納が得意ではないご主人と5歳、3歳のお子さんの4人家族。日頃から3人の行動を観察して収納法を検討しています。時には一緒に考えたり、意見をもらって刷新したりすることも。
- よく読む本とおもちゃは遊び場となるリビングの棚にセット。おもちゃは1ボックスに1ジャンルを収納し、イラストや写真のラベリングでわかりやすく。「遊んだら玉入れみたいに投げ入れてリセットします」。
- 大きなおもちゃはキャスターつきの木箱に収納。遊ぶ場所まで箱を引っ張って来られるのが大きなポイント。例えば、距離のある引き出しの場所まで往復しながら片づけるより簡単です。かいじゅう、ブロック類と分類も簡単に。
- バスタオルの収納場所は、バスルームの扉脇の、子どもの手に届きやすい位置にセット。最近、ふと気づいてこの場所に移動したばかりなのだとか。自分で取り出すことができるので、子どもの自立心も促せます。
- 無意識に分散置きしがちなご主人の持ち物は、玄関からリビングへの動線内にバスケットを用意。帰宅時にバッグやポケットの中の物を出して、迷子を予防します。携帯電話の充電もここで。上の引き出しは使用頻度の低い物を収納。
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vol.2 使用頻度で収納場所を
分ける工夫にクローズアップ
Profile
本多さおり Saori Honda
整理収納コンサルタント。暮らしをラクにまわす工夫に日々想いをめぐらせて心地よい暮らしを探究し、メディアや個人邸の整理収納サービス(※)でさまざまなアイディアを発信している。夫、長男(5歳)、二男(3歳)の4人家族。著書に『暮らしをそのままの自分に寄せて』(主婦の友社刊)、『今の暮らしを快適に変える収納レッスン』(宝島社刊)、『暮らしをまわす ためず まよわず よどみなく』(エクスナレッジ刊)など。
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