日々を楽しむ小さな工夫
切り絵作家 YUYAさん
パン・お菓子研究家 スパロウ圭子さんvol.1
「壁面を目いっぱい使って、
レイアウト変更が
可能な仕組みを作りました」
東京都・中野区に住まいとアトリエを兼ねて構えた「アトリエ・フォーク」。切り絵作家のYUYAさんと、パン・お菓子研究家のスパロウ圭子さんの活動の舞台です。5年前にこの物件を手に入れ、リノベーションして暮らしやすく整えました。
扉を開ければ、YUYAさんの作品やおふたりの大好きな民芸品が目を楽しませてくれます。
「以前はマンションで仕事や趣味を楽しんできたのですが、人を呼び込んでそれらを共有できる場を作りたいと思うようになったんです」とYUYAさん。
1階は生活空間であり、イベント時にはオープンアトリエとして開放。そのため、壁面には可動式のオープン棚を設け、イベントの内容や生活シーンに合わせてレイアウトを変えやすくしました。また、2階は仕事場とリビング、ロフトは民芸品や本を集めた趣味のスペースとし、各階の使用目的をきっちりすみ分けしています。驚くのは、どこもおふたりの好きなモノが実にたくさんあること。限られた空間でも煩雑に見えないよう、たくさんの工夫が凝らされています。
「大好きな器や食の仕事道具は、
使用頻度や素材で
配置を決めています」
キッチンのある1階は、日常の食事の支度に使うほか、食の提案をする圭子さんのアトリエも兼ねていて、ときには教室を開催することも。おのずと調理道具や器の数が多くなるはずです。
ここでポイントとなっているのが壁面収納。ワークトップ上には、手の届きやすい場所から天井までみっちり可動棚を設えたほか、吊り棚も備えました。
「焼き型など、雑然として見えそうな物はリビングダイニング側から見えない位置の吊り棚に。器は使用頻度や重量によって、置く棚の位置を決めていますね」。
また、来客時など限られた場面で使う器は、キッチン外のディスプレイ棚に。器の多くは大好きな作家や民芸の品なので、目に留まる場所に配置すれば気分も楽しくなります。
「モノは多くてもいいけれど、
不便はダメ。
今の形は、
私たちに快適なスタイルです」
限られた空間のなかに可変性のある収納スペースを創出し、シーンに合わせてモノを入れ替えたり、棚を組み替えたり……。そんな作業をおふたりが楽しんでいるのは、“好きなモノ”だけに囲まれているからかもしれません。触れるほどに愛着が湧き、移動して見え方が変われば新たな発見もありそうです。
「荷物を減らすことで快適に暮らす方もいますが、私たちは好きなモノと一緒に暮らすのが快適です」とスパロウ圭子さん。
自分たちにとっての快適さは何かしっかり見つめ、アイディアたっぷりの収納でお気に入りと楽しく暮らせるインテリアを実現しています。
壁面の有孔ボードと可動棚で
レイアウト変更を自在に
大学卒業当初は建築の仕事に携わっていたYUYAさんは、この住まいをリノベーションする際に収納計画までしっかり詰めて、友人の建築家に形にしてもらったそう。1階でも、有孔ボードを背面に設えた可動棚の仕掛けが光っています。
- 壁一面に造りつけた棚。可動式の棚板は、目的に合わせて数や高さを変えて使います。背板には白い有孔ボードを使い、展示品が映える彩りに。写真では、YUYAさんの切り絵の作品を壁面に飾り、棚にはオリジナル商品を陳列しています。
- LDKの壁面。元々あった出窓部分は、奥行きを生かして可動棚を設置し、お気に入りを飾っています。出窓サイズの有孔ボードをはめることで、全面壁にアレンジすることもできます。
食まわりの品は使いやすく分別し、
見映えも考えた配置に
入り口側からの見た目とは違い、キッチンに一歩入って驚く収納のボリューム。壁面にまとめているので作業スペースがすっきりして使いやすく、見せたいモノと隠したいモノを区別することで、見映え良く整った空間にしています。
- 壁面を存分に活用した棚が目を引くキッチン。ワークトップ頭上は器専用に設えた可動棚。
- 天井に近い段になるにつれ、棚板の奥行も深くたっぷりと。できるだけ容量を確保しながら、動線を邪魔しないようにと考えたアイディア。
- 入口側から死角になる吊り棚には、硬質な印象の焼き型やボウルなどを収納。
- 正面からよく見える木製の壁面収納棚。見映えに配慮して扉の取手はつけず、壁と一体化したデザインに仕上げました。
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vol.2 仕事部屋の収納にクローズアップ
Profile
YUYA・スパロウ圭子
YUYA・Keiko Sparrow
個展の開催や各種媒体でのイラスト・デザインの仕事、商品制作など幅広く活動する切り絵作家のYUYAと、天然酵母を中心としたパンやお菓子、ジャムの販売や教室などを行うパン・お菓子研究家のスパロウ圭子。夫婦で東京・中野の「アトリエ・フォーク」を運営している。
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