日々を楽しむ小さな工夫
エッセイスト・整理収納アドバイザー
柳沢小実さんvol.2
「見た目のよい収納の第一歩は
中身が一覧できる空間のゆとり」
クローゼットに収納する物量は、8割を目標にすると使いやすいと言われますが、柳沢さんは常にジャストシーズンの衣類のみを出し、見やすく出し入れしやすい環境をつくりたいと、7~8割程度を目指しているそうです。
「経験上、クローゼットって忙しいと荒れるんです。だからこそ、扉は開け放しにして、ほどほどに整っている収納を意識するようにしています」。
衣類のほとんどはハンガー収納が基本。理由は、ワンアクションで出し入れでき、手持ちの服が一目瞭然だから。手前から奥に向かって、トップス、パンツ、ワンピース、コートの順に色別に掛けて、探しやすく見やすいようにしています。
バッグも同様にハンギングし、型崩れが気になる大切なものは上段に。ニットなど伸びやすいものに限り、バスケットワゴンに収納しています。
「ハンガー選びやしまう向きで
衣類の見え方がきれいになります」
「見映えのよさはハンガー選びも大切」と語る柳沢さんは、使用するハンガーのメーカーを厳選。服が型崩れしないフォルムで滑り止めもついたものを中心に、肩をしっかり支えたいコート用、パンツ用の3種類を愛用しています。
「クローゼット内のバーに掛ける際、自分の立ち位置に対して服の正面が見えるように、身頃の向きを揃えると見映えがいいです。パンツの場合は2つ折りにして専用ハンガーに掛け、ヒップ側が奥になるように揃えています」。
こうしたアイディアは、ご自身で試行錯誤するほか、ショップのディスプレイから得ることも。
「お店は見せるプロですから、参考にできるアイディアがたくさんあります。クローゼットにもお店のような見せ方を取り入れたら、きれいに保つモチベーションにもなりますよね」。
また、くつをしまうときには、つま先が手前になるように配置。随所に心ときめく要素を取り込んで、収納を楽しいものにアレンジしています。
「洗濯物の干し方にもひと工夫すれば
家事の手間はたくさん省けます」
クローゼットにきちんと服をおさめるのは、シンプルな作業ですが案外手間。そこで柳沢さんは洗濯物を干す→しまうの動作をできるだけ簡略化できるように、寝室内で完結できる仕組みをつくりました。
基本的に年間を通してすべて部屋干し。衣類を干す時と収納する時のハンガーは同じものを使用し、クローゼット脇に設けた干し竿に干します。乾いたらそのままスライドするようにクローゼットへ。下着やくつ下などは、収納しているチェスト前に物干しスタンドを立てて乾かすため、取り込みから収納まであっと言う間です。
「リビングルームに山積みになった洗濯ものを畳んで運ばないと……」というありがちなプレッシャーから解放され、クローゼットの“すっきり”に役立つシステムです。
アクセサリーは取り出しやすく
チェスト上に飾って‟乙女コーナー“に
アクセサリーに限っては、数に限度を設けず増やし続けているそう。
「その代わり厳選します。好きだからこそ、簡単には増やしません」。
小学生の頃に海外で買ってもらったブレスレットから作家もの、ハイブランドの製品、手作りなど多様で、チェストの上は柳沢さんの思い出アルバムのようです。
「寝室に少し乙女っぽさを演出するような場所が欲しいなと思ったんです」。
アクセサリーはどれも思い入れのあるものばかり。シンプルなインテリアを保つ一方で、こうしたディスプレイコーナーを設けることで、趣味や思い出を取り入れる楽しさも味わっています。
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vol.3 ワードローブの
ルールにクローズアップ
Profile
柳沢小実 Konomi Yanagisawa
エッセイスト。整理収納アドバイザー。ファッションや料理、器、インテリア、旅など多くの趣味を持ち、それらにまつわる著書は30冊以上。もともと片づけが苦手だったのを克服して以来、収納に楽しみを見出し、整理収納アドバイザー1級を取得。ストレスなく身軽に暮らすためのアイディアを常に考え、提案している。
近著に『おうち時間の作り方』(だいわ文庫)、「これからの暮らし計画』(大和書房)など
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